7月前半の読書


床屋さんへちょっと (集英社文庫)床屋さんへちょっと (集英社文庫)感想
宍倉勲とその家族の物語。あるときは二代目社長、あるときは商社の課長、あるときは新人社員。夫であり父であり、あるいは祖父。時代が遡っていったと思えば今に戻る。終始どんと構えていたのは奥さんである。会社における待遇の性差についても問題提起しているが、未だに解決に至っていない現状を我々はどう対応すべきなのかについても考えさせられます。
読了日:07月14日 著者:山本 幸久


美晴さんランナウェイ (集英社文庫)美晴さんランナウェイ (集英社文庫)感想
ラッツ&スターのランナウエイは1980年だったのですね。今はできない黒塗りの顔が印象的でした。それにしても美晴さん、随分わがままのし放題で困ったちゃんではありませんか。身近にこんな人がいなくて本当に良かった、なんて感想を書きたくなります。梅雨の季節の読書にちょうどよい一冊でした。
読了日:07月14日 著者:山本 幸久


せき越えぬせき越えぬ感想
いろいろな時代小説に登場する箱根の関所。27歳の武一(ぶいち)は御先弓方として箱根番士を務めることになった。身分を超えた友人騎市、足軽の衛吉、武具預方の越坂晋輔らとともにお勤めを果たす上で人間としてのあり方を学んでゆく。その結果、自ら守るべき関所を破ることになるとしても。西條奈加氏の作品はいつも楽しく読み終えられます。

読了日:07月13日 著者:西條 奈加


([は]9-1)翔ぶ少女 (ポプラ文庫)([は]9-1)翔ぶ少女 (ポプラ文庫)感想
ギリシア神話に登場する勝利の女神ニケ。スポーツ用品ブランドのNIKEの語源でもあるようです。有名なのはルーブルにあるサモトラケのニケ。この辺りは原田マハ氏らしいと思うのですが、描かれているのは1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災です。テレビに映された横倒しの高架道。燃え続ける家々。抗いようのない自然災害の数々。今日も豪雨災害の状況をテレビは伝えています。女神は被災者の冷たい心を温めてくれるでしょう。
読了日:07月13日 著者:原田 マハ


芸者でGO!芸者でGO!感想
「アヒルバス」繋がりで再読。アヒルバスを読んでいたほうが、ずっと楽しめる作品でした。置屋がムーミン、冷気をまとったモラン、旅人のスナフキン、ちびのミイはムーミン村の登場キャラクター。トテキとニニは何者だろうか?さてさて、岡田毬子ははたして・・・。
読了日:07月13日 著者:山本 幸久


風と共にゆとりぬ風と共にゆとりぬ感想
重厚な装丁に自虐的な内容。作家、編集者、装丁者など関わった皆さんで楽しく作ったように感じました。第三部「肛門記」は笑うに笑えない、でも笑っちゃう内容でした。
読了日:07月12日 著者:朝井 リョウ


月曜日の水玉模様 (集英社文庫)月曜日の水玉模様 (集英社文庫)感想
レインレインボウの関連で探した作品でしたが、読んでいるときにはその事をすっかり忘れていました。「日常の謎」派のミステリ作家(解説より)として北村薫の作品を想起しました。慈愛に満ちた清冽そのものの作風(解説より)でとてもハートウォーミングな作品でした。シングルマザーの出番が多いのも、そのように感じる一端かもしれません。つける曜日は決まっていませんが、黒字に黄色の水玉模様のアスコットタイを持っています。
読了日:07月09日 著者:加納 朋子


夏の庭―The Friends夏の庭―The Friends感想
1992年の作品。手にしたのは2001年発行の改訂版です。わが市の図書館では小学校高学年向きの推薦図書に指定されています。ルビ付きですが、読み終えるまで気づきませんでした。そのくらい作品の中にのめり込んで読みました。小学六年生の私はどうだったでしょうか。戦争の経験を話できたおじいさん。30年後の今ではそんな人は残っていないでしょうね。小学生が向き合う「死」。淡々とした中にも冒険や思いやりや悲しみなどが散りばめられた作品でした。
読了日:07月08日 著者:湯本 香樹実


医療ミステリーアンソロジー『ドクターM』 (朝日文庫)医療ミステリーアンソロジー『ドクターM』 (朝日文庫)感想
いやはや、医療をテーマにしたミステリーでアンソロジーが出版されるとは。海堂尊、久坂部羊、近藤史恵、知念実希人、篠田節子、長岡弘樹、新津きよみ、山田風太郎の各作品。それぞれについては解説で関根亨氏が詳しく解説しています。新津きよみ氏は初読みでした。山田風太郎氏は忍法帖しか知らなかったのですが、こんな作品もあったのですね。ハンセン氏病が伝染しやすい病気のように扱われているのは1949年の作品だから仕方がありませんね。一気に読み終えました。
読了日:07月08日 著者:海堂 尊,久坂部羊,近藤史恵,篠田節子,知念実希人,長岡弘樹,新津きよみ,山田風太郎


楽園のカンヴァス (新潮文庫)楽園のカンヴァス (新潮文庫)感想
アンリ・ルソーで検索すればたくさんの作品画像を見ることができます。でも何かの折に目にしたことがあるのは数点。 ニューヨーク近代美術館展示の「夢」もその一つです。読んでいて感心したことの一つは芸術作品にまつわるお仕事の多岐にわたることです。キュレーターは原田マハさんのお仕事でもあったとのことで知っていましたが、監視員というお仕事。展覧会のときにお見かけしますが、作品に詳しい方とは思ってもおりませんでした。現代から過去へ、そして再び明るい未来を見つめる。時空の流れの中にミステリーを描き込んだ素敵な作品です。
読了日:07月07日 著者:原田 マハ

 


クドリャフカの順番―「十文字」事件クドリャフカの順番―「十文字」事件感想
なかなか理屈っぽい内容で途中で何度投げ出しそうになったことか。題名の「Кудрявка」、なぜそうであらねばならなかったのか、。「陸山」だって陸山会事件の印象が強い我々世代には「くがやま」とは読みにくい。カンヤ祭での謎解きにはなんとかついていけたものの、消化不良のまま読了しました。
読了日:07月05日 著者:米澤 穂信


笑う招き猫 (集英社文庫)笑う招き猫 (集英社文庫)感想
女漫才師コンビ「アカコとヒトミ」の始まりの物語。アカコさんの歌、すごいですね、面白いですね。ヒトミさんのレッドバロン号、おかずクラブのオカリナさんかと思ってしまいます(時代が違う)。巻末の解説によれば登場人物やエピソードのヒントはおしなべて「ラーメンズ」から得ているそうで(笑)。この十年後「天晴アヒルバス」にヒトミさんがお一人で参加されてます。あちこちの作品にあちこちの人物が登場するので山本幸久氏の作品は注意深く読まなければなりません。楽しいひと時でした。
読了日:07月03日 著者:山本 幸久


([や]2-3)幸福トラベラー (ポプラ文庫)([や]2-3)幸福トラベラー (ポプラ文庫)感想
幸福ロケットの後日談。二学期から新聞部長になった中2の春生クン、取材に訪れた上野恩賜公園で修学旅行中の素敵な女子中学生に出会う。アヒルバスのデコさんとクウちゃんにもちょっと背中を押された甘酸っぱい恋。上野の森が色々と出てきてよく行く私には、その光景が目の前に現れるようでした。春生が読書会でお世話になっている「幸福ロケット」で十才だった香な子、国立大学で学びながらデザイン事務所でアルバイトに忙しい。今夜は中学の同窓会に行こうとしている。会場に行き着けない香な子を探しに来てくれたのは。懐しい作家名続出です。
読了日:07月02日 著者:山本 幸久


([や]2-1)幸福ロケット (ポプラ文庫)([や]2-1)幸福ロケット (ポプラ文庫)感想
五年生11歳のピュアなラブストーリー、と言ってしまえばそれまでなのですが。最初の章で主人公「香な子」の家族の紹介から始まりますが、作家の軽快な語り口でどんどんページが進みます。次の章からクラスの様子や、友達のグループが提示され、塾に通っている様子、塾帰りの電車、等々紹介しながら主人公の立ち位置がわかるような仕掛けです。ところが最終章では一転、この登場人物誰だっけ?と思わせる4年後の中学3年生になったクラスメートたちでした。続きは幸福トラベラーか?
読了日:07月02日 著者:山本幸久


凸凹デイズ凸凹デイズ感想
凸凹と凹凸の違いを調べちゃいました。凸凹は口語で使う名詞なのに対し、凹凸は名詞の他副詞としても使われるそうです。弱小デザイン事務所が舞台ですが、デザイナーってこんなに大変なんでしょうか。ウエブサイトデザインからエロ本のレイアウトデザインまで、普段見ることのない世界を覗いたような気分です。山本幸久著「ある日アヒルバス」アヒルの「アルヒ」くんのデザイン会社が「凹組」でしたので手に取りました。名前の由来も分かったし、素敵な未来を予測させる終わり方で楽しく読了。
読了日:07月01日 著者:山本 幸久


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