今日は新国立劇場にて、オペラ「アイーダ」を観劇してきました。
新国立劇場の5年毎の恒例行事です。

豪華さでは他に類を見ないゼッフィレッリさんの新国立演出ですが、個人的にはここまでしなくても良いかなとも思ったりもしてます。
馬や、4幕の墓のエレベーター式演出や、ここまで人数かけなくてもとか。
今回で5回目となるお祭りみたいな演目ですから、これはこれで豪華さを純粋に楽しめば良いと思って観てますが、他人事ながら新国立の収支が心配になります。

今日は、アムネリス役のエカテリーナ・セメンチュクさんが、秀逸でした。
そもそも判官贔屓が好きな日本人にとって、アムネリスのほうがアイーダよりも感情移入しやすい役柄となってますから、アムネリスの出来が良いと主役が交替したようなストーリーに感じてしまいます。
それだけセメンチュクさんの個性が前面に出た熱演だったと思います。
もちろんアイーダ役のイム・セギョンさんも非常に安定した音程をしっかりと置いていく歌唱で安心して聴けましたし、声もとても通ってました。
セギョンさんも良かった。
(ちなみに東京シティバレエのキム・セジョンさんも出演してましたが、名前が似てますね。)
セメンチュクさんのキャラが強すぎたのかも。
マヴリァーノフさん、上江さん、妻屋さんほかの男性陣も素晴らしく、豪華な前半よりも後半の掛け合いや美しさのほうが印象は強く残りました。
4幕の新国立合唱団は美しく妖艶で、合唱をバックに奏でる二重唱は聴きごたえ十分。
個人的には、この部分が一番好きです。
(一番の聴かせどころですからベタではあります)
ストーリーは大雑把でも、音楽としてのアイーダは緻密な計算で出来てると改めて感じました。
パオロ・カリニャーニさん指揮の東フィルは、アイーダの大掛かりな設定をもり立てる、こちらも素晴らしい演奏。
東フィルとアイーダは合ってると思います。
アイーダで大事な金管も華やかでした。

余談ですが、リスト編曲の「アイーダ~神前の踊りと終幕の二重唱」は、ヴェルディのメロディメーカーの才能と、リストのピアノの美しさを引き出す才能が合わさって出来た名曲だと思います。
今日のような豪華な演出と歌唱での二重唱も美しいですが、ピアノだけの音で織り成す二重唱も奇跡的に美しいと思ってます。
あまり演奏される機会が多くはありませんが、4~5年くらい前にアヴデーエワさんが弾いたこの曲は彼女の最高の演奏だったのではないかと思えるくらい素晴らしかったです。
ちなみに楽譜もあまり売ってなくて、輸入譜のブダペスト版全集2ー13巻にに収録されています。
話しがそれましたが、やはりアイーダは名作であり、作品に負けない演出と歌唱、演奏、舞踏を魅せてくれる新国立劇場に感謝です。

また5年後楽しみにしてます。