2024.6.11.
あのひとが、天に召されたと。
わたしのフランソワーズ。
フランスにひとり旅をしたとき。
エールフランスの機内で流れていた曲が素敵すぎて、
落ち着いた雰囲気の、端正な顔立ちをしたフランス人クルーに尋ねた。
「これを歌っているのは誰? 曲のタイトルは?」
歌っていたのはフランス・ギャル。
彼女の夫であるミッシェル・ベルジェが、フランソワーズ・アルディのために作った曲を、ギャルがカバーしていたのだった。
フランス・ギャル&ミッシェル・ベルジェ夫妻と、フランソワーズ・アルディ
物腰の柔らかいハンサムなクルーは、彼の体臭とピッタリ合ったトワレをふわりと香らせながら、彼のメモ帳にさらさらとタイトルを書き込み、それを手渡しながらそっとわたしに耳打ちする。
「フランス・ギャルのもいいけれど、やっぱりオリジナルのフランソワーズ・アルディが歌っている方がおススメだよ👍」
ウィンクを投げかけてきた。
あれから何十年経ったのだろう。
いまだに、あのときの彼のトワレを鼻腔の奥で感じる気がするのだが
パリに着いてすぐ、ギャルのCDとともに、フランソワーズ・アルディのCDを買い込んだ。
それが、はしめてのフランソワーズとの出会いだ。
以来、彼女は
ずーっと、憧れの存在で
可愛い💕
愛息トマの誕生、夫のジャック・デュトロンとともに
年齢を重ねれば重ねるほど
それを、恐れるどころか
むしろ、変化してゆき
経年の味わいを楽しみながら
ますます、
研磨されてゆく石のよう。
夫ジャックと
わたしの母もそうだったが
年齢を重ねることなど恐れず、
幾つになっても堂々と答えていた。
あなたも、
自然で、ありのままの生命の輝きが
煌めいていた。
なんだか
発することばが、すべて空疎で
フランソワーズを追悼するには、値しない。
わたしのフランソワーズ、
あなたは憧れのひと。
もうすぐ、梅雨がやってくる。
そして、わたしがあの日機内で聴いた、
フランス・ギャル。
わたしのフランソワーズ、
出逢わせてくれて、ありがとう
歌声に包まれながら、
あなたをそっと、悼みます。