こんにちは

トータルコンディショニング研究会の奥川です。

 

私は施術家、トレーナーとして両方の仕事で「姿勢評価」を、割と重視しています。

と言うのも、姿勢と動きは関係無いと仰る方もいらっしゃるかもですが、私は十二分に関係していると思っているからです。

 

さて、姿勢と言う言葉を聞くと「静止状態」をイメージされる方が多いと思いますが、実は「静的姿勢」「動的姿勢」の二種類があります。

静的姿勢は分かると思いますが、動的姿勢とは何でしょうか?

動的姿勢とは「ジャンプ姿勢」などの運動時の切り抜きのような状態の事です。

言われてみたらそうですよね?
私たちは「今のジャンプ姿勢は良かった!」とか知らない内に普通に使っていますが、頭の中で姿勢を考える時にはついつい「静止立位」を考えてしまいます。

 

と言う事で、姿勢という言葉は割と大きな枠組みでして「動的姿勢」などは動きの評価と言っても過言ではないと思います。

なので、姿勢評価は動きと関係無いという事は私自身は無いと思っております。

 

<いわゆる立位での「良い姿勢」はニュートラルポジションのこと>

静止立位での良い姿勢の事を「ニュートラルポジション」と呼びます。
これは車の「ニュートラルギア」から発想されたそうです。


ニュートラルギアは「前」にも「後ろ」にもすぐにギアが入る場所になります。

そこから姿勢のニュートラルポジションも「すぐに色んな方向に重心移動が出来る」姿勢だと考えた人が作った言葉の様です。

姿勢のニュートラルポジションは静止立位が基準になります。

その中でも私は静止立位での骨盤アライメントが重要だと思っています。

以下は座位での骨盤ニュートラルポジションのチェック法です。

 

 

立位も座位と同じ方法でチェック出来ます。



ちなみにこの記事では骨盤アライメントのニュートラルは動画にある
・左右の上前腸骨棘と恥骨結合を結んだ三角形が立位、座位では垂直、仰臥位、背臥位では水平とさせていただきます。

さて、立位姿勢改善の要は骨盤のニュートラルポジションだと思っています。
というのも、骨盤は家で言うなら「土台」になります。
背骨は家で言うなら「柱」になります。
胸郭や頭部は「屋根」かも知れませんが、土台が方向けば柱や屋根も傾くのは自明の理だと思いますが、それを改善する時に屋根だけ直しても土台が傾いたままなら意味が無いように、姿勢が悪い人の骨盤を評価しないで姿勢改善するのは余り意味が無いと思っています。

よくあるケースが「猫背」のクライアントに胸を張る事を指導したり、背中の筋肉を鍛える事を指導するケースですが、結局のところ骨盤のアライメントが悪いのなら家の例えと同じく対処療法的になるので余り意味が無い。

むしろ、骨盤から改善しない事で無理に胸を張り、筋肉を緊張させる事で疲労が溜まりやすくなる可能性が高いと考えています。

さて、静止立位の改善は動的な姿勢においても重要です。

例えば「腰椎骨盤リズム」というのがありますが、これも静止立位で骨盤がニュートラルだから正常なリズムが生じます。

『腰椎骨盤リズム』

⇒ https://ameblo.jp/totalconditioning/entry-12263672722.html #アメブロ @ameba_officialより

 

例を出すと、後屈時の正常な腰椎骨盤リズムは「股関節伸展」→「骨盤後傾」→「腰椎伸展」です。

静止立位で骨盤が前傾している人は相対的に立位では股関節は屈曲状態なので、腰椎骨盤リズムにおいて股関節伸展や骨盤後傾が上手く出ない事が多く、腰椎の伸展に制限が掛かる事があります。

よく運動指導などで「反り腰」の人だから、ブリッジなどが出来るだろうと思って、体幹の伸展動作を見せてもらったら全然反れなかった事はないでしょうか?

それは反り腰の人は骨盤が前傾している事が多いので、正常な腰椎骨盤リズムが出ない事が原因です。

また、静止立位の骨盤アライメントはO脚、X脚にも関係します。

下行性下肢回旋運動連鎖では、骨盤が前傾すると股関節は「内旋」「内転」「屈曲」します。(下のイラストは骨盤後傾)

そうしますと脚は一般的にはX脚のような見た目になりやすいです。

骨盤が後傾すると逆にO脚のような見た目になりやすいです。

この投稿のスライドでは正常な下肢アライメントの方が、骨盤前傾、後傾でX脚、O脚になっている写真が取り上げられていますので是非ご覧ください。

最後に、姿勢を静止したものと考える人は勘違いで「いつでも、どんな時でも骨盤はニュートラルポジションが良い」と思いがちです。

ですが、当然骨盤がニュートラルでない方が良い時は沢山あります。

歩行ではやや前傾の方が前方への重心移動がしやすいので良いと言われています。

お客様の中にもいつでも骨盤ニュートラルが良いと勘違いされている方が時々いらっしゃるので、そのような方々に私は「骨盤のニュートラルポジションとは別名ホームポジションとも呼ぶんですよ」と説明します。

皆さんはパソコンのキーボードを打つ時に「ブラインドタッチ」で打つでしょうか?

私はブラインドタッチで打つのですが、ブラインドタッチの練習時に真っ先に覚えるのが「ホームポジション」です。

必ずホームポジションに指を置いて、そこから実際にはキーを見ないで文字を打つ練習をします。

そして、「ホームポジション」からどれくらいの場所にどのキーがあるのか?を都度フィードバックしてブラインドタッチを習得していく訳です。

姿勢も同じくで、日常では様々な姿勢を取る必要がありますが、骨盤のニュートラルポジションが分かっていると便利なのです。

つまり、パソコンのブラインドタッチと同じく「基準となる場所」があれば、自由自在に変化しても戻るべき場所に戻れる訳です。

パソコンのブラインドタッチももしかすると、めちゃくちゃ位置感覚の良い人ならホームポジション無くても出来る人いるかもですが…普通はあった方が良いですよね?

たまに「立位姿勢が悪くても動けたら良いじゃん」と言う人がいますが、それは以上の理由から難しいと思いますね。

つまり、動く為にも良好な立位姿勢が必要だと言う事なんですね。