『胸郭について③』

 

- 胸郭の運動学について -

 

 

皆さんこんにちは。TC研究会 理学療法士の梅澤です。

本日もコラムに興味を持って頂き本当にありがとうございます。

今回も前回に引き続き胸郭について少しお話させて頂きたいと思います。

 

前回は我々ヒトの胸郭の進化について簡単に説明させて頂き、なぜこの様な形態になってきたのかをお話しさせて頂きました。

今回はそれらを踏まえて、胸郭の解剖学について簡単にお話していきたいと思いますので、復習だと思い読んで頂ければと思います。

 

 

今回は胸郭なので胸椎のことを中心に述べますが、一応脊椎についても少しお話しますと、脊椎の役割の主なものは3つあり、一つは重力に対して下肢や骨盤からの力を頭や手に伝達させることと、反対に頭や手、上半身の重みを骨盤や下肢に伝えたりことで これらの作用により重力下でも直立二足などを可能とします。

2つ目は、頭や骨盤の間の動きを作り出すことで、これらが作用することで直立二足歩行で疲労を少なく効率的な歩行を可能としています。

3つ目は脳を含め、そこから続く重要な神経である脊髄を保護することです。

 

 

脊椎の中で胸椎は全体として後弯しています。特徴として、上関節突起は後方下関節突起は前方を向き、隣り合う上下の椎骨と関節をつくっています。

 

また、第1胸椎の椎体側面には1個の肋骨頭と関節をつくる円形の上肋骨窩と半円形の下肋骨窩があります。 

第2~9胸椎の椎体側面には上下に半円形の上肋骨窩、下肋骨窩があり、上下の椎骨の上肋骨窩と下肋骨窩が合わさって1個の肋骨頭と関節をつくっています(下図左参照)。 

第10胸椎は半円形の上肋骨窩のみとなります。 

第11、12胸椎は椎体側面の中央に円形の肋骨窩があり、1個の肋骨頭と合わさります。 

第1~10胸椎の横突起には横突肋骨窩があり、1個の肋骨結節と関節をつくっています(下図参照)。

 

 

 

 

  

 

以上の部分が胸椎椎間関節と肋椎関節(肋骨頭関節、肋横突関節)に関係する簡単な解剖となります。関節の特徴などは今後のコラムで詳細にお話させて頂ければと思います。

 

 

次に胸肋関節に関係する解剖について述べていこうと思います。

 

胸骨胸骨柄、胸骨体、剣状突起からなっています。 胸骨柄の側面には第1肋軟骨と関節をつくる第1肋骨切痕があります。 胸骨体は上面で胸骨柄と軟骨によって結合し、側面には第2~7肋軟骨と関節をつくる第2~7肋軟骨切痕があります。剣状突起は上面で胸骨体と軟骨によって結合します。

 

肋骨は肋骨頭、肋骨頸、肋骨体からなり左右12対あります(上図右参照)。

第1~7肋骨は第1~7肋軟骨が胸骨と関節面をつくるため 真肋と言い、第8~12肋骨は肋軟骨が直接胸骨に付かず 仮肋と言います。 第8~10肋骨においては、肋軟骨は1つ上位の肋軟骨と結合します。 第11、12肋骨は胸骨につかず、浮遊しているので浮肋と言います。 また、肋骨は1つ下位の肋骨と肋間腔を形成します。 ちなみに胸腔ドレーン(胸水に対してなど)はこの肋間腔から挿入します。

 

今回の内容は皆さん既にわかっている内容だと思いますが、この後に続く胸郭の関節などについてのお話で使用する部分のため 復習もかねて書かせて頂きました。

次回も引き続き 胸郭 についてお話させて頂きたいと思いますのでよろしくお願い致します。

本日もコラムを読んで頂き本当にありがとうございました。