-雪からTC(トータルコンディショニング)研究会発足を想う-

2月は日本各地で多くの雪が降り、私の住む埼玉県でも積雪の深さが観測史上1位の値を更新する地域もあり、記録的な大雪となりました。

当院でも転倒し骨折した患者様が多く来院されました。

その中でも高齢者はバランス能力や骨密度の低下が著明なため転倒により骨折する確率が高くなっています。

高齢者骨折の多くは、骨強度低下が原因で軽微な外力によって発生する脆弱性骨折で、多い骨折部位は大腿骨頚部/転子部、脊椎、上腕骨頚部、橈骨遠位端骨折の4つの部位となっています。

その中で大腿骨頚部/転子部骨折は歩行能力や日常生活動作能力の低下をきたし寝たきりになる確率が最も高いとされています。

今回はこの骨折について一般的な治療方法についてお話ししていこうと思います。

まず大腿骨頚部/転子部骨折の正確な部位として図1をご参照下さい。

大腿骨近位部骨折

図1のうち、骨頭骨折・転子下骨折は主として交通事故などの高エネルギー損傷の結果として生じ、頚部骨折・頚基部骨折・転子部骨折は主として高齢者の転倒による低エネルギー損傷の結果として生じます。

今回の対象は、後者の頚部骨折および転子部骨折(頚基部骨折を含む)となります。

ちなみに大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折とは、解剖学的・血行動態的に異なるため、骨癒合率・骨壊死率の発生率に差が生じ、手術方法の選択も異なります。

通常では血流が途絶えてしまう頚部骨折は人工骨頭置換術を血流が保たれる転子部骨折はCHS・γ-nailなどの骨接合術が施行されます。

これで全てが終了したわけではなく、ここからが最も重要になります。

何故なら手術は無事終了してもその後痛みや思い通りに動かないという方が多いからです。

それを解決することが私たちの使命ではないでしょうか。

その為に手術を理解することは必須となります。

人工骨頭置換術であれば脱臼の注意やインナーマッスルとして作用する外旋筋群の切離により骨頭の求心性作用が悪くアウターマッスルとして作用する中殿筋などがスムーズに働かなくなることを理解すること。

骨接合術であれば小転子や大転子の剥離、骨転位、テレスコーピングにより筋の走行や筋自体の長さの変化により正常通りに筋が作用しなくなること。

これ以外にも数えきれない程の知識と技術が必要であり、それを日々探究することが難しさであり面白さであると考えます。

最後になりますが、急性期病院では毎日何台も救急車で搬送されてくる患者様をみます。

場合によっては寝たきりになることや、完全に治癒せずその後の生活に支障が出る人も少なくありません。

そんな時は自分自身の無力さと何とかその前に防ぐ方法はなかったのかと悩むことが多くあります。

今年はTC研究会発足元年、様々な分野の方々が人の健康を全体的に捉え、そして真摯に考え・想い皆でそれを共有しそれぞれの場所で学んだことを発揮していくことでしょう。

そうなることで私の悩みの解決の一助となると確信しています。

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