昨今話題のFinTechですが、「今がチャンス!」と入ってくる企業さんもあれば、「いや俺らは昔からやってたし(ドヤ)」なんて企業さんまで様々です。
多分この2社の違いは、FinTech1.0、FinTech2.0、FinTech1.5と言われるものだと思っています。
FinTech1.0とは、「いや俺らは昔からやってたし(ドヤ)」のプレーヤーさん。所謂日本版金融ビッグバンをチャンスと捉えたり、または食われるくらいなら自分も参入しようという金融機関がネットに参入してきたもので、基本的には大企業さんがバックについていて、大企業さんの商流を使ったものがほとんどです。
当時で言えば、ソニー銀行(ソニー)、ジャパンネット銀行(さくら銀行)、イーバンク銀行(伊藤忠商事)、日本オンライン証券(伊藤忠商事)、イー・サンワ証券(三和銀行)、DLJディレクトSFG証券(CSFB)、イー・トレード証券(ソフトバンク)、日興ビーンズ証券(日興証券)、マネックス証券(ソニーと松本大さん)、ビットキャッシュ(DDIや丸紅など)、ビットワレット(ソニーやNTTドコモなど)、サイバーキャッシュ(ソフトバンク)がそうですね。
※松本大さんっていう商流はありません。
一方でFinTech2.0とは、2012年くらいに会社が設立され始め、2014年あたりから伸び始めたもので、何かの商流に乗ったものというよりは、決済サービスによって自ら商流を作って情報を作ったり、PFMで情報をとってきたり、世界中のETFを集めてきて、スマホやAWSや人工知能を使って効率的に金融をよくしていこうという流れだと僕は理解しています。
詳しくは、マネーフォワードの瀧さんの資料がわかりやすいかと思います。
そして、今回のFinTech1.5。
僕が勝手につけたものですが、FinTech1.0の時にはITベンチャーと呼ばれていたが、5年ほどの時を経て急成長したことで買収できる規模になり、様々な金融を買い始めたというプレーヤーのことを指しています。名をつけるなら、メガIT企業ですかね。
これらのプレーヤーは、調べてる限りライブドア(というかホリエモン)が先頭で率いてるイメージですね。
で彼らは何をしたかというと、外資系ファンドとともにカード会社やFinTech1.0でうまくいかなかった金融機関を買いまくったという認識です。(この頃ローンスターやリップルウッドやGEまでもが消費者金融を片っ端から買ってた。)
以下は、メガIT企業の金融への参入経歴です。
ヤフーによるあおぞら信託銀行買収、ライブドアと西京銀行の合弁設立は中止しています。また、オリエント信販はGMO経営陣の会社が、ライブドアの金融事業はアドバンテージパートナーズが買収しています。
調べた限りでわかった買収額
・ヤフー
ケーシー 227億円(Jトラストから買収)
ジャパンネット銀行 258億円
サイバーエージェントFX 210億円(サイバーエージェントから買収)
ネットトラスト 1.2億円
・楽天
あおぞらカード 74億円(オリックスクレジットとオリックスとあおぞら銀行から買収)
国内信販 165億円(日本産業パートナーズから買収)
DLJディレクトSFG証券 300億円(CSFBと三井住友銀行から買収)
アイリオ生命 156億円
ビットワレット 30億円
FXCMジャパン証券 73億円
・GMO
オリエント信販 270億円(ユニゾンキャピタルから買収)
FXプライム 33.2億円
エキサイトFX 0.8億円
・ライブドア
イーバンク銀行 34.5億円
日本グローバル証券 40億円(日興コーディアルグループから買収)
ビットキャッシュ 0.1億円
基本的にみんな買収で、特に2003〜2005年に結構買ってますね。
前述の通りですが、ライブドアが引っ張って行ったと推測。
最初は、銀行なんて作る気はなくてビットキャッシュで全てを変えたかったが、結局うまくいかず銀行を作る流れになったのかなと推測。
結局ライブドアは、バラバラになってしまいましたが、そのライブドアを買収したLINEがLINE Pay CardというFinTechのど本命を貫いてくるサービスを提供しているのは偶然なのか偶然ではなのか。
また、2003年にFinTech1.0の一つであった電子マネーのビットキャッシュを1100万円という二束三文で買ったのもすごい。
また、ライブドアを支えていたのがこの金融事業ですが、最近の楽天も営業利益の1/5、売上の1/3が金融であり、ライブドアのようにならないかちょっと気になります(楽天カードは現在業界3位)
ただ、その兆候はすでにあり、楽天市場そのものはうまく伸びてないし、楽天カードは古くからあるにもかかわらず、最近一気に伸ばしているのは楽天市場の伸びが頭打ってことからだと思っています。
ヤフーがあおぞら信託銀行を買収する予定だったとは知らなかったですね…
2社のつながりは、ヤフーの親会社がソフトバンク、あおぞら信託銀行の前身の日債銀信託銀行の親会社が破綻した日本債券銀行であり、その日本債券銀行のスポンサーがオンライン銀行を作りたかったソフトバンクだったというつながりです。
結局ホリエモンバブルの崩壊とスピード感の違いから解消していまいましたが。
その後ヤフーは、ジャパンネット銀行に出資し持分法適用関連会社に、あおぞら信託銀行は、GMOインターネットと共同でオンラインバンキングを作る方向になりました。(あおぞら信託銀行はずっと売りに出てたのかな笑)
イーバンク銀行は、皆手こずったようで、まずライブドアが出資するも揉め、次にGMOインターネットが出資するもうまくいかず、結局サブプライムショックの時に、楽天にさらっと買われました。
昨今FinTechや〜FinTechや〜と叫ばれる中、個人的に欧米で一番ホットスポットだと思っているのが、オンライン銀行(ちゃんと言うとモバイルファーストの銀行)だと思っています。(N26とかAtom BankとかGoBankとかMonzoとかMovenとかAvubaとかHolviとかStarlingとかOsperとか。銀行によっては数千万ドルが集まっています)。
(他にもソーシャルレンディングもホットと思いますが、海外はFinTech自体がもう冷めてきていて、成熟に向けて血みどろな戦いが行われているという認識です。)
では、今後日本では何が起きるか。
とりあえずどなたか一緒にモバイルファーストの銀行やウォレットを日本でも作りませんか?笑
っていうのはあるのですが、いわゆるITメガベンチャー(DeNAやグリー、メルカリなどの時価総額1000億円以上のtoC企業)がそろそろ本格的にFinTechに入ってくるFinTech2.5かなって思ってます。既にVoyageとエムティーアイさんは参入していますし、環境としては、FinTech1.5と似てきてるところはあると思っています。
「でもFinTechって儲からないでしょ?」
っていう方も多いかと思いますが、これからどんな企業もFinTechというか金融機能持ってないものは厳しいと思います。
端末やOSが海外だけでなく、みんなが平等に持てるはずのお金までもがAppleやSamsung、Googleなどに持って行かれたら…
ただこの領域はまだまだ市場規模が開拓しようがあるので、EC帝国の楽天が取るかもしれないし、通信キャリアのKDDIが取るかもしれないし、コミュニケーションのLINEが取るかもしれないし、小売のイオンが取るかもしれないし、スタートアップのカンムやAnypayが取るかもしれません。
最終的に推測するに、全てのウォレット(運が良ければ銀行も)はAPIで全て繋がるとは思います。ただ、大きいウォレットに対して小さいウォレットが何かを献上するというものになる気がします。
ただ、その小さいウォレットさえ持ってないとそのウォレットにもお金を払わなければいけなくなってしまいますし、広告なども含めた様々なサービスをその会社に依存することになりそうです。
ただそもそもこれらが起こるための土壌として必要なものは、日本人の金融リテラシーの向上なのですが。