神話
日本神話には天照大神がいます。太陽神として有名ではありますが、月神は知らない人が多いかと思います。月読尊と言います。彼は神話の世界から抹消されてしまいました。なぜでしょうか?彼の力はあまりにも自然の力と密接に結びついていたからと言われます。表舞台では太陽神でないと困る一族がいました。征服民族です。彼らは太陽神をあがめる天孫族。国譲りの主役となった神々の一族です。月読尊は天照大神の兄弟とされていますが、おそらくとってつけたものであるようです。
さてここで兄弟と書きましたが、天照大神は女神では?と言われる方もいるでしょうが、実は男神説も実はあります。平安末期の武士の台頭や神仏混淆による男系社会が強まると、一部に天照大神を男神とする説が広まりました。果たして本当はどうであったのかわかりませんが、世界の神話を見る限り男神説が本当であったようにも思えます。
ギリシャ神話の太陽神アポロは男神です。世界の神話で女性になってしまったのは日本だけではないかと記憶しています。元々は男性神でなければならないのです。実はここに日本独特の文化があります。日本の家督制度はその昔、実は母系制度でした。そのおかげで神話でも家督を継ぐのは女性神だったのです。平安時代には特にその傾向が強かったようです。男性は通い婚と言って女性の家に足を運んだそうです。出来た子供は女性の姓を名乗ったとも言われています。
さて、月読みの尊は実は月に結びついた農耕民族の神です。月を読み、その時々の様子を知り、自然の摂理を利用して政を行ってきました。お月見はその名残であります。月見は本来、月を直接見てはいけないものなのです。桶や池、川に映る月を見るのが本来の月見と言われています。直に見ることは神を侮辱するものと昔の人は知っていたようです。というか、それほど尊いものだったようです。