この春から、80を超えた両親と暮らしはじめ、
介護の機会を与えられた、どうも、わたしです。
父は順調に、着々と、少しずつ、
かつ脇目も振らず認知症が進み、
難解な行動や言葉を発することが増えてきた。
先日も何やら不思議なことを言い
わたしをおもしろがらせた。
「ちょっと後頭部のスイッチを押してくれ」
どうやら後頭部にスイッチが付いているらしい。
スイッチを押すと一日が始まる仕掛けのようだ。
おもしろそうなので、試しに押してみた。
「よし、あ、いや、まだ入り切ってない。もう一度押して」
「入った?」
「入った、入った」
またある時は、三本目や、四本目の足が
なくなってしまって不自由をしているらしい。
四つ足で歩いていた時代にタイムスリップしているのか。
時折まともなことも言う。
先日、宮崎空港の滑走路で、
戦時中にアメリカが落としたという
不発弾が爆発する事件があった。
管制塔で仕事をしていた父親は
「飛行機の通過後で本当によかった」と。
こうして度々地球と宇宙の間を行ったり来たり。
父は間もなく85を迎える。
そろそろ地球での旅を終え、
宇宙へ還る時期が近づいているのかもしれない。
宇宙と交信している父親はめちゃくちゃおもしろい。