『歌舞伎町での苦労話』第195話 | 竹仲法順の連載小説道場

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こんばんは。皆様、いかがお過ごしでしょうか?竹仲法順です。

 

『歌舞伎町での苦労話』、今日は第195話をお届けいたします。

 

それでは、ごゆっくりお楽しみくださいませ。

     195

 午前7時59分。新宿のマックに着き、店内へと入る。いつも、朝はここだった。貴子がスマホから目を上げて、

「混んでるわね」

 と言ってくる。

「オーダーしたら、すぐ食べような」

「ええ。お腹空いてるし……」

 お互い、スマホに目を落として、画面を見続けた。朝だが、栄養補給してないので、疲れ目がある。日頃から、ブルーベリーなどを取ってない。コーヒーは飲んでいても、目にいい成分というのを摂取してないのだ。

 さすがに、この街では、いろいろあった。悩みや葛藤など、尽きない。思う。日常など地獄だと。それも受け入れているのだった。確かに、いろんなことがある。毎日、戦いの連続だった。それに、歌舞伎町での仕事となると、終わりはない。

 ある意味、俺だって仕事師だった。日々頑張る。適当そうに見えて、気を入れるところは、入れているのだ。それに、ホストなど、基本的に3K労働である。きついことからは、逃れられない。

 午前8時11分。並んでいて、順番が来た。いったんスマホを仕舞い、レジで店員と顔を合わせる。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 訊かれたので、メニューを見て、

「このフィレオフィッシュのセットを一つ。飲み物はアイスコーヒー」

 とオーダーした。

 彼女が、

「ハンバーガーのセット。アイスコーヒー」 

 と言って頼み、またスマホを見始める。時間はいくらあっても、足りないのだろう。実際、ビジネスマンというのは、一刻を争う。それは分かる気がした。いくら、学歴や職歴がまともにないホストであっても……。もちろん、この仕事にプライドなどない。中年女性たちから、金をむしり取るのだから……。(以下次号)