こんにちは。皆様、いかがお過ごしでしょうか?竹仲法順です。
『歌舞伎町での苦労話』、今日は第193話をお届けいたします。
それでは、ごゆっくりお楽しみくださいませ。
193
翌朝の午前6時53分。目が覚めた。幾分眠いのだが、朝だから、起きないといけない。別に歌舞伎町で動いていて、いろんなことがあるのは分かっていた。そういったことを一々気に掛けない。実際、終わりのないようなことが続く。ホストなど、仕事は地獄だ。
「貴子、おはよう」
「ああ、おはよう。……眠い?」
「うん、少しね。でも、疲れたなんて言ってられないな。実際、日常なんて、容赦ないんだし……」
「いつも、仕事が続いてて、きついでしょ?」
「確かにね。それに、嫌なことだってあるし……」
「ケンジは、そんな時どうしてる?」
「適当だよ。ネットするか、街をぶらつくか」
「まあ、そうね。やり場がないこともあるもんね」
「俺は基本的に、嫌なことを溜めない方だよ。発散するんだし……」
「あたしも、いろいろあるわよ。毎日、追われてるから」
「貴子はいいよな。会社の人間と話せばいいから」
「そうも行かないわ。実際、溝なんて、いくらでも出来てるし……」
貴子はメイクする手を止めないまま、そう言った。コンパクトは、開きっぱなしである。化粧品の香りが、密に漂ってきた。ファンデーションのむせかえるような臭気など、女性なら、誰もがまとっているものだ。
普段から、いろいろある。実際、苦労など、終わらない。俺にとって、この街での出来事は雑事なのだが、見過ごせない。それに、夜眠れていても、昼間など、活動しっぱなしで、休まらない。思う。ある意味、地獄だと。こういったことは、普段から感じている。別にいい。
歌舞伎町は、夜昼ない。絶えず緊張状態が続く。もちろん、上手く休憩を取ることもあった。仕事と言っても、時間は限られているから、その間だけ、しっかり頑張るのだ。営業活動もやっていた。そういったことに、終点はない。必死だった。いろいろと制約などがあっても……。(以下次号)