三島由紀夫を見ると,しばしば数年前にみた美輪明宏さんとの場面が浮かぶ。

美輪さんが,相手の三島さんの体のことにふれ,目の前で「侮辱」的な発言をした。「あんた,身体がやわ(軟)なのね?」/「弱いくせに・・・」 だったかな? 

相手はふてくされて出て行った,と。バーかどこかで飲んでる際のエピソードだろうか。劣等感がなければ,全然気にせず楽しく愉快にかわすことができたろうに。あのエイトマーの歌手はスゴイな。それに引き換え,あのザマはなんだ,という気が起こったのを何度も思い起こしてきた。それほど嫌いなタイプの男性の象徴が三島さんだったのだ。 あゝ,俺だけじゃなかったんだなあ,と文面を見て,また発見だった。

みんなのほめそやし,世間の活気にほだされて・・・三島の書いた本を文庫本で買って読んだことがある。映画もテレビで拝見したこともある。決してこんな軽侮するような感情は起きない。作品は惹く。不思議だ。作家本人に接すると印象や感じ方が変る。「純粋な」青春の恋愛像があってもいいのではと本人が述べている。架空(理想)を描写しているのだろう。それがあたりだろう。しかし現実の姿はみすぼらしく醜い。それが自刃に結果した。あゝ,哀れだ。  合掌