2時間2分16秒。優勝はケニアのキプルト。予想は外れたようだ。世界記録は2時間00分だそうだ。日本人第一位が西山雄介選手。涙に暮れていた。2時間5分50秒のパリ五輪設定記録を超えられなかったからだ。悔し涙をずっと流していた。立ち直れないように見えた。≪ガンバってと祈りたくなった≫ 20キロ手前で転倒アクシデントに巻き込まれながらも日本人勢で一番手に踊り出て,期待された。30キロ付近でも日本人選手に負けなかった。時計を何度も見ながらペースを刻んでいた。特に上がったふうには見えない。日本人の一位になれば最後の枠に入るのかな,と思った。ところが,そうではなかった。あの時計で見ていたのは設定時間だったのだ。24.195キロ最後まで信じて走り続けたのだ。フィニッシュラインを過ぎて時間は2時間6分31秒。ああああ~~~。くずおれた。夢は閉ざされた。一生の不覚。みじめな姿を隠さなかった。カメラがあろうがあるまいが・・・・涙まみれの顔がズームアップ。痩せた骨と皮ばかりの顔は老けて見えた。過酷な現代の撮影技術よ。本性をえぐって見せる。路傍の応援する市民達の中にも,声援と共に見せるジェスチャーはカメラ向け。自分が映らんと欲するエゴ。これも人間の本質部分だろうか。

ランナーは,新見女子日本優勝者,フィニッシュ後,顔を隠している姿と重なる。自分のために走るというより,周りの声援してくれる人々のために走っている,と。楽しくて走っているわけではないのか? その境地の深さに驚かされる。遠く及ばぬ,3万6千人の普通?のランナーたちがその後にひかえている。私はフルマラソンに出たこともない,ガッツもない。

 大きな舞台に出場したいという熱い思いはひとしおだったに違いない西山選手に戻せば,ストイックに駈けすぎてきた中堅年代か。過去の栄光を背にして後から後から新たに誕生する若手ランナーに負けるなと走り込んできただろう。そして今日も命を懸けて走っただろう。ところが報われなかった。今後の抱負を聞かれても答えられようがないだろう。五輪三枠目をとれなかった,それしか頭になかったろう。涙に共感する。ヒーローやヒロインに感情移入してしまう。≪吾を忘れて≫

女子記者の質問の一つが良かった。それに答えるヒーローの言葉が良かった。 追い抜いて,後ろを走ってくる,競った後輩や先輩ランナーのことを聞かれて・・・顔が変ったように見えた。ハッとさせられる。周りが見えてなかったのでは? 

乱れた心の表れた言葉の調子が変った。冷静な言葉遣いに変ったように聞こえた。自分が頑張れたことや他の選手たちもガンバっていたんだということを知らされたのではないか。

もう一度見直して記録映像を停めながら見ると・・・知る選手が映っているようだ。きっとヤクルトで頑張っている青学・札幌山の手出身の駅伝ランナーだった彼が・・・陰ながら実業団に入り,頑張り通している,かつて脚光を浴びていた選手も一位にならないと,忘れ去られていく。カメラに追われるからイイというわけではない。注目されなくってもいいじゃないか。西山や,服部君や鈴木健吾選手,浦野選手といった脚光を浴びているランナーの陰に隠れるように走っていた。

 英雄と凡人と・・・凡人でイイ。乖離があるからこそ感情を移入し感動もあるのだろう。東京マラソンは桜のように咲いて散っていく。あの咲楽・井上さんも癌をのりこえゲンキを培っていた。WOWワンダフル。

春の日和 浅草寺は 賑わっていた ありがとう 映像を送ってくれて。

 スポットライトを浴びるのはほんの一握り。否,たった一人かもしれない。勝つのは一人だけ。一位しか脚光を浴びない。我々の関心は誰に向く? 

Yahooを覗くと,速報記事を書いた,記者も 招待外国選手の優勝選手名を間違えていた。優勝はキプラガト? キプルト? キプチョゲ? お疲れ様。

日本人よ,外国が待っているよ! 感謝合掌