トリップメーターをふと見ると
600キロを超えていた。
愛車MG-Fは通常走行で
平均燃費11キロ、
タンク容量は50ℓだ。
単純計算しても550キロで
ガソリンが無くなる。
それなのに残量計は
半分ほどをさしている。
給油するたびにトリップメーターを
リセットしている私は確信した。
「メーターが壊れてる。」
私は高速の入り口の手前にある
シェルで給油することにした。

ところが、
スタンドまで1キロほどの
中川に架かる橋の手前で
ガスが切れた。
なんとか惰性でこの橋を渡りきれば
後は下りでスタンドの近くまでたどり着ける。
しかしMG-Fは橋を三分の一ほど渡った
ところで力尽きた。
諦めた私は、いつものように保険屋の
レッカーサービスに電話した。
到着に30分ほどかかると言う。
橋の上は路側帯の狭さとは対照的に
片側二車線の道路が広く
大型トラックがかなりのスピードで
かすめて行く。
危険なため私は車を降りて
ガードレールを乗り越え
歩道で待つことにした。
夜中の12時を回った吹き曝しの橋の上は
想像通りの寒さだった。
欄干から見下ろすと、
折からの強風に煽られ
川面は激しく波立ち
今まで見たことも無い黒い川が
不気味に流れていた。