自宅までほんの数分の交差点でインプレッサWRCと並んで止まった。
この先500mの信号を青信号で左折し、そのまた先の交差点を青信号で
クリアするためには、信号が変わった瞬間にベタ踏みで走り抜けなければならない。
左隣のインプレッサのシートには小太りの走りや兄ちゃんが座っている。
嫌な予感がした。
ここは二車線だが500m先の交差点に到達するまでのちょうど中間地点で
車線は一つに合流する。
その一車線にインプレッサより先に進入しなければ信号はクリアできない。
信号が変わったとたん、僕はMG-Fのアクセルを一気に踏み込んだ。
だが隣のインプレッサもつられて加速する。
小太りインプレッサの半分ほど前に出たそのとき嫌な予感が的中した。
相手はターボチャージャー280馬力、こっちはせいぜい140馬力そこそこの
ノーマルアスピレーションだ。
小太りお兄ちゃんが踏めば太刀打ちできない。
あっという間に差をつけられた。
最初の交差点は青信号で通過した。
だが小太りインプレッサも左折していた。
その先の信号をクリアするにはアクセルを緩めてはいけない。
だが小太りインプレッサは勝ち誇ったように減速し行く手を阻む。
案の定信号はイエローに。
僕は小太りインプレッサの後ろに張り付き機をうかがった。
やつは殊勝にも信号にしたがって減速し停車する。
と、その直前
僕は右車線に飛び出し蹴っ飛ばすようにアクセルを踏んだ。
信号が黄から赤に変わるその瞬間に
僕は小太りインプレッサWRCターボチャージャー280馬力に
後塵を浴びせながら心の中で叫んだ。
「小太り兄ちゃん、邪魔すんな!」
この物語はフィクションではありません。