本日9月19日は、旧暦8月15日。

すなわち十五夜、秋の名月ですね 音譜 そして満月です 満月 

十五夜と満月が重なる事って、珍しいんですって 目

 

一茶の句に  名月を とってくれろと 泣く子かな  というのがありますね ニコニコ

いるんですねぇ、ホントにそういう子。 ここに 叫び

今だに母に言われます。あの時は、本当に困った、と…にひひ

 

真ん丸お月さま、ご覧になりましたでしょうか はてなマーク


 

さてさて、150年前は…

文久3年8月7日。 京都祇園北林にて相撲興行が行われました ニコニコ

 

木綿黒紋付、白嶋袴を着し、事之外行儀宜御座候。 (莠草年録)

だ、そうです チョキ

 

また、新八ちゃんによると

「当日は数万人の観衆」があって、「角力取の喜悦は素より、新選組の面々も大満足」であり

「市中の評判も為に一方でない」

という事ですよ アップ

 

さてさて、少し時を遡って、その前日の夜の事 にひひ

 

「どうも、佐伯らしいです。佐々木をそそのかしたのは」

歳三の部屋で、一が報告をする。

「佐伯? 佐伯又三郎か?」

「はい。勘定方を任されていますが、隊費を横領しているようです。島原通いの資金が欲しかったらしい」

島原は、京でも名高い遊郭である。

「芹沢はどこからか金を調達してきて遊んでいるようですが、その供で数回行くうちに味をしめ

通うようになった」

「で、隊費の横領か」

「はい。しかしそれが露見しそうになり」

「佐々木さんに罪を着せようとしたのですね?」

廊下からひっそりと小さな声がして、音もなく襖が開かれた。

 

「… そうじ…」

歳三が溜息をついて頭を抱えた。

「ヤだなぁ、またそんなお顔して。私はただ、夜の巡察から戻って、そのご報告にあがっただけですよ」

にっこり微笑む。

一が複雑な視線を歳三に向けた。

 

「続けてくれ」

「はっ。そこで佐々木に、恋人を芹沢が差し出せと言っていると吹き込み、さらにそれから逃れる為に

脱走をそそのかし、手を貸した」

「ところが、その途中でふいにばっさり、という事ですか? ううん、佐伯さんは佐々木さんに対して自分の立場を危うくしたという恨みもありましたからねぇ…」

「お前は黙ってろ むかっ

歳三が横目で総司を睨む。

もっとも総司は気にも留めていないようだが。

 

「あわよくば娘は自分のものにするつもりだったようですが、舌を噛み切って…」

歳三が眉間に立て皺を刻むように、頷く。

「それ、芹沢局長はご存知なんですか?」

総司が懲りずに口を出すのに、更に皺を深くする。

「薄々というところでしょう。今のところは証拠もないし、佐伯はもともと芹沢の腰巾着ですから」

 

「芹沢局長は、きっと信じたくないんですね」

「!?」

「だってわかちゃったら斬らなきゃなんなくなるでしょ。寂しいじゃないですか」

「しかしそうなると、今度は新見が黙っちゃいねぇだろうな」

歳三が総司に向かって言う。

 

一は、すっかり沖田さんの手中にはまっているんじゃ? と思いつつも、それをおくびにも出さずに

「新見には一人、張りつかせてあります」

含みを持たせた言葉を、口にした。

 

「そうか。ご苦労」

ふっと、総司が微笑む

「やっぱり早く隊士にしてあげないと。じゃないと今度は、歳さんが隊費横領しなくちゃならなくなりますよ」

パンチ!

少し涙目で唇を突き出した総司を、歳三がいたずらっ子のような顔をして見る。

一が、笑みを堪えるように、肩を震わせた。

 

「芹沢が、何かとんでもない事をしでかさなければいいが、な」

一瞬で戻った端整な顔で、一に鋭い流し目を送る。

ほんの僅か、一は顎を引いた。

総司が微笑む。

 

「ま、俺らは相撲興行の取締で忙しい。悪ぃが一、もう少し芹沢に付いていてくれ」

「承知」

「任せたぞ」

 

月を見上げる。

明日は上弦だな、と歳三は小さく呟いた。

 

   2013年9月19日   汐海 珠里

 

※)一 八月七日より 祇園北林ニおゐて相撲晴天七日興行  今度相立候ニは次第有之 昨年頃より大坂相撲と京角力之間不宜何か採合候所 此度壬生ニ罷在候浪士共立入 相片付候ニ付 中なをりとして大坂より出張中相撲相立候  扨日々ニ壬生ノ浪人多人数参り 取締致居候 孰も木綿黒紋付 白嶋袴を着し 事之外行儀宜御座候 

                         (莠草年録) 

※)8月1日から10日間という記述もある。

当月昨日から十日間祇園にて相撲興行御坐候  右は壬生に在留誠忠浪士取り持ちにて 興行も出来候由                  (塘報録)