シチリア島の内陸部、標高608mの高台にあるカルタジローネは、2002年、世界遺産に登録された町。バロックスタイルの建物が多いこの町は、Sigra dei Colori シニョーラ デェイ コローリ 色艶やかな貴婦人と評され、イスラム支配の時代から盛んな陶器作りが現在でも受け継がれているカラフルな町だ。










マヨルカ焼の装飾にはカルタジローネの歴史や戦い、植物や動物などが描かれている。また、イスラム支配が長く続いたこの町を象徴するかのように、アラビア王の伝記やイスラムの魔除けなども描かれている。

マヨルカ焼きはおよそ1000年以上も前からイスラム圏で盛んに作られていた陶器で、イスラム勢力がイベリア半島、スペインに拡大されたことにより普及して、地中海に浮かぶマヨルカ島を経由してシチリア島へ伝わった。

シチリア島では古代から陶器製作が盛んで、既に高い製作技術を持ち合わせていたシチリア人が、イスラム陶器に更なるオリジナリティを加え、より高品質で美しい陶器を製作。芸術性豊かなマヨルカ焼きはシチリア全土はもちろんのこと、瞬く間にイタリア各地に広がっていった。
ルネッサンス期に入ると、ファエンツァなどのイタリア各地で独自の色合いや技術が開発され発展し、より芸術性の高いマヨルカ焼きが誕生していった。





さて、カルタジローネの町のあちらこちらで見かける浅黒い肌の色をしたアラブ人男性と、白い肌が美しいシチリア人女性の頭部のマヨルカ焼き。悲しいけれど、美しい愛のお話しが残るこの2人の頭部についてご紹介しよう。

今から約1000年前、イスラム帝国の支配下にあったシチリア島。表向きはアラブ人と仲良く暮らしていたシチリア人、実は心の底ではお互いを敵対する気持ちが残っていた。

ある日、美しいシチリア人のお姫様に恋をしたアラブ人の王子様、勇気を振り絞ってお姫様に愛を告白。2人は直ぐに相思相愛の恋仲になったものの、お姫様の父上、シチリア人の王様は大激怒。なんと! アラブ人の王子様の首を刎ねて殺してしまった。悲しんだお姫様は王子様の後を追って自殺してしまう。

愛情を込め大切に育ててきたお姫様が亡くなったことを知った王様は嘆き悲しみ、お姫様の気持ちに沿うように、彼女の首を切り落とし、自ら刎ねたアラブ人の王子様の横に置いた。
すると、たちまち2人の頭部から美しい花々が咲き始め、天を仰ぐように育っていった。

それからというもの、カルタジローネやタオルミーナでは恋する2人の愛が実るように、シチリア人のお姫様とアラブ人の王子様の植木鉢に人気が集まっている。2人セットで恋愛成就のご利益があるわけだな!

悲しい愛のお話しもシチリア人にとっては、前向きな明るい恋愛物語に様変わりするのよねぇ (笑)! シチリア人のお姫様とアラブ人の王子様は、今も仲良く天国で暮らしているそうだ。

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