私は大変忙しく寝る暇もなく働き、睡眠は移動の飛行機の中で取るという具合でした。昔ガキの頃に、父に、何時間寝てる?私は7、8時間かな。と答えると、父が、アホか?その若さで何を考えている。1日8時間寝るということは、祖父の様に90歳まで生きたらそのうち30年寝る事になるのだ。そんなに寝て人生で何が残せるのか?睡眠は1日3時間で良い。それ以来私は睡眠時間が3時間余りであります。

そんなある日、古巣の北米部門を訪問しました。ヘッドマネージャーのウイリアム氏はディレクターになっておりマネージャーのホトキンス氏はヘッドマネージャーに昇格してました。彼らは私を歓待してくれてその日のランチを一緒させてもらいました。

事業部も私のクライアントの拡大により全エリアでトップの成績で、順調でしたね。その日はニューヨークのセントラルステーションの中にあるマイケルジョーダンの経営するステーキハウスに案内され、なんと憧れのマイケルと直接合わせて頂き、私は大胆にサインをもらいました。ウイリアムは黒人で今やアメリカンドリームを果たした人物。ニューヨークの黒人のハイソサエティ達との交流も盛んな様で、一度ロングアイランドの屋敷にご招待される訳です。そう言えば私も昔ここでは人種差別を受けていた訳で、苦い思い出も沢山あります。そして、話が進む中で私はある事実を知ります。

私が当時大変仲良くしていた友人が、交通事故に遭い歩行に問題が生じたことで、会社からリストラされたと聞いたのです。彼は成績も優秀で人柄もよく私は沢山彼に助けてもらいました。しかし、会社はなんのこだわりもなく本社の優秀な社員をリストラしたのです。アメリカではなんの保障も無い訳で、ましてや体を悪くしたのが業務中の事故とのことで、彼らも大変残念がっていました。けど、私の中ではそのことが消化出来ずに、逆に怒りを覚えた訳です。そして、本社に帰り役員に話を聞きに行くのです。

しかし、話は平行線を辿り結局何もできませんでした。私の中の怒りは少し収まりつつありましたが、きっとその時自分を勘違いしてたのでしょうね。大胆に社長にも抗議してしまったのです。

そして、夜ヒースローへ帰ります。自分の中では釈然としない事件ですが、壁は高く厚い訳で私には何も出来ない事も理解しました。

そして、その夜オーナーに誘われ食事に行くことになるのです。そして、私は現実の世界に引き戻されて我が身の将来にもリスクを感じるのです。