高タンパクのパワー!
〜常識を覆す最新報告〜



 

 

高タンパクのパワー!

〜常識を覆す最新報告〜

プロテインの摂取量はよく話題となりますが、研究は多くありません。

💊新しい研究では、運動からの回復時におけるタンパク質摂取の同化反応に関する詳細な研究を提供しています。

運動後に異なる量のタンパク質を摂取して効果を比較しているわけですね。

特に、タンパク質摂取と筋タンパク質合成、アミノ酸吸収、体全体のタンパク質代謝との間の用量反応関係を調べています。

 


主な結果

🔸1. タンパク質合成と吸収:

大量のタンパク質(100g)を摂取すると、少量(25g)を摂取する場合と比べて、より大きく長時間にわたる代謝反応が観察されました。これはタンパク質摂取に対する代謝反応の上限があるという従来の考えに挑戦するものです。

🔸2. 筋タンパク質合成反応:

タンパク質を多く取った群では、タンパク質摂取による筋タンパク質合成反応が長時間化し、より顕著でした。これには混合筋、筋繊維、筋結合タンパク質の合成率の増加が含まれます。

筋原線維タンパク質合成に関しては、100g摂取群は25g摂取群と比較して、最初の4時間で、最大20%、残りの8時間で、最大40%、12時間を通してみると約30%高いという数字が出ています。

🔸3. アミノ酸の生物利用可能性と組み込み:

タンパク質由来のアミノ酸の生物利用可能性とその筋タンパク質への組み込みも、摂取するタンパク質の量とともに増加することが示されました。重要なことに、タンパク質摂取に対する代謝反応の大きさと持続時間には制限がないようにみえることです。

🔸4. 食後の筋肉生理学的および分子的反応:

この研究は、食後の筋肉生理学的および分子的反応の分離も探究しています。タンパク質摂取後の代謝シグナルの活性化は観察されていますが、これらの分子的反応は代謝反応と比べると短時間であることが示さました。

🔸5. 研究の限界と今後の研究:

この研究では、今回の知見を広くを異なる集団や状況に適用することについて注意を喚起しています。各個人や集団、状況により結果が大きく変わることが考えられるからです。

💊まとめると、この研究は運動後の体がタンパク質をどのように扱うかに関して重要な洞察を提供していますね。

タンパク質代謝に関する既存の概念を一部覆しているかもしれません。

特に運動後、身体が筋肉合成のためにタンパク質を利用する能力は、以前考えられていたよりも大きいこと、またその能力は従来考えられていたよりも長時間にわたって続くことが示唆されています。

 


💊プロテイン摂取量とアナボリズム(筋肉増大反応)の関連について、最近の研究では次のような関係を示しています。

🔸1. 高齢者における反応:

高齢者では、高いタンパク質摂取量がタンパク質分解の抑制を通じてより大きなアナボリック(筋肉増大)反応を引き起こすことがわかっています(Kim et al., 2017)。

🔸2. 筋力トレーニング中のアナボリックホルモン反応:

筋力トレーニング中に摂取する食事タンパク質量は、血清基底テストステロンレベルと有意に相関し、アナボリックホルモン反応に影響を与える可能性があります(Sallinen et al., 2004)。

🔸3. 筋肉タンパク質合成への影響:

必須アミノ酸/ロイシンの摂取は、栄養状態や病気の進行に関わらず、筋肉タンパク質合成と正味のアナボリズムを高めることが示されています(Engelen et al., 2015)。

🔸4. 炭水化物/タンパク質比とアナボリズム:

高い炭水化物/タンパク質比はアナボリック反応の向上と関連していますが、高タンパク質と低炭水化物はアナボリック反応の減少と関連しています(Mielgo Ayuso et al., 2017)。

これらの研究も、タンパク質摂取量がアナボリック反応に大きな影響を与えることを示しています。

💊同化されやすいタンパク質の種類はどうでしょうか?

最近の研究は以下のような情報を提供しています。

🔸1. 動物性タンパク質とビタミンの補足:

動物性タンパク質が主体の食事と容易に同化される二糖類、そしてビタミンの補足は、アルプス地方の人々の酸塩基代謝を改善し、より高いA/G比率を維持することが示されています(Aldashev et al., 1979)。

🔸2. 卵白タンパク質の同化:

一般には卵白タンパク質は有効なタンパク質と考えられます。それでも小腸で利用されない卵白タンパク質があり、その結果として尿中に発酵代謝物が回収されています(Evenepoel et al., 1999)。

🔸3. アミノ酸の吸収とタンパク質代謝:

腸粘膜はアミノ酸の吸収とタンパク質代謝において重要な役割を果たし、タンパク質の高い分画更新率とアポリポ蛋白質への顕著な貢献があります(Alpers, 1986)。

これらの研究は、タンパク質の同化において、タンパク質の種類や食事の組成、個人の健康状態などが重要な要因であることを示唆しています。

💊タンパク質を摂る一般的なタイミングはどうでしょうか?

タンパク質摂取のタイミングに関する研究は、その重要性について様々な見解を提供しています。以下にその要点をまとめます。

🔸1. 筋力と肥大におけるタイミングの影響: 

 

タンパク質のタイミングは筋力や肥大にとって重要ではなく、適切なタンパク質摂取と抵抗運動が筋タンパク質蓄積を最大化するための鍵である(Schoenfeld et al., 2013)。

🔸2. 高齢者におけるタンパク質摂取: 

 

高齢者に対するタンパク質摂取量の推奨量は不十分であり、一日の食事でのタンパク質のタイミングと分布が筋量と機能の維持に同じくらい重要である(Deer & Volpi, 2015)。

🔸3. 朝食時のタンパク質摂取: 

 

朝食時の高タンパク質摂取は、エネルギーバランスと制限中の肥満男性における飽満感を即座にかつ持続的に高める(Leidy et al., 2008)。


💊赤身肉 or NOT?

赤身肉は筋肉を付けるのに有効とされていますが炎症性が高いので避けたいところです。

赤身肉とそれ以外のタンパク質源では、筋タンパク合成に違いは出るでしょうか?

最新の研究結果は次のように示しています。

🔸1. 赤身肉の筋タンパク質合成への影響:

高齢者においても、一般的なタンパク質豊富な食品(例えば赤身肉)の摂取後の筋タンパク質合成に老化は影響を与えないことが示されています(Symons et al., 2007)。つまり高齢になったからといって一般的に同化されやすいとされる赤身肉にわざわざ切り替える必要はないということです。

🔸2. 植物性タンパク質と動物性タンパク質の比較:

魚、大豆、乳製品、牛肉、卵、大豆ホエイ、エンドウ豆などのタンパク質源は、筋タンパク質合成を同程度に刺激するとされています(Roeseler et al., 2017)。

🔸3. 異なるタンパク質源の筋タンパク質合成への影響:

リジンを豊富に含む植物ベースのタンパク質ブレンドを摂取すると、健康な若い男性において、同量のチキンを摂取した場合と同程度に筋タンパク質合成を刺激することが示されています(Kouw et al., 2021)。

これらの研究は、赤身肉と他のタンパク質源の間で筋タンパク質合成に大きな違いがないことを示唆しています。

赤身肉は筋肉の成長と修復をサポートする必須アミノ酸を提供しますが、他のタンパク質源も同様の効果を持つ可能性があります。

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今回の考察を総括すると、やはりタンパク質を多く取った群(100g)では、(25g摂取群に比べ)タンパク質摂取による筋タンパク質合成反応が長引くうえに、より顕著であったということが特筆されますね。

プロテイン摂取後の筋タンパク合成が、12時間にわたって30%も高くなるわけです。


筋トレをしている人で筋肉を発達させたい人にとってこの知見は重要といえるでしょう。

この記事がライフスタイル改善の一助となれば幸いです。

またお友達にもこの記事を教えてあげて下さい。
 

 

堀江 俊之
 

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Reference (出典)

 

1. Trommelen, Jorn, Glenn A.A. Van Lieshout, Jean Nyakayiru, Andrew M. Holwerda, Joey S.J. Smeets, Floris K. Hendriks, Janneau M.X. Van Kranenburg, et al. “The Anabolic Response to Protein Ingestion during Recovery from Exercise Has No Upper Limit in Magnitude and Duration in Vivo in Humans.” Cell Reports Medicine 4, no. 12 (December 2023): 101324. https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2023.101324.

2. Kim, Il-Young, et al. (2017). "Anabolic response with higher protein intake is largely achieved through suppression of protein breakdown in older adults." The FASEB Journal. doi: 10.1096/fasebj.31.1_supplement.1036.2.

3. Sallinen, J., et al. (2004). "Relationship between diet and serum anabolic hormone responses to heavy-resistance exercise in men." International journal of sports medicine. doi: 10.1055/S-2004-815818.

4. Engelen, M., et al. (2015). "High anabolic potential of essential amino acid mixtures in advanced nonsmall cell lung cancer." Annals of oncology : official journal of the European Society for Medical Oncology. doi: 10.1093/annonc/mdv271.

5. Mielgo Ayuso, Juan, et al. (2017). "Relationship of long-term macronutrients intake on anabolic-catabolic hormones in female elite volleyball players." Nutricion hospitalaria. doi: 10.20960/nh.763.

6. Aldashev, A., et al. (1979). "[Effect of the supplementary administration of vitamins in the ration on metabolic indices in people under alpine conditions]." Voprosy pitaniia.

7. Evenepoel, P., et al. (1999). "Amount and fate of egg protein escaping assimilation in the small intestine of humans." American journal of physiology. Gastrointestinal and liver physiology. doi: 10.1152/ajpgi.1999.277.5.G935.

8. Alpers, D. (1986). "Uptake and fate of absorbed amino acids and peptides in the mammalian intestine." Federation proceedings.

9. Schoenfeld, B., A. Aragon, and J. Krieger. (2013). "The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis." Journal of the International Society of Sports Nutrition. doi: 10.1186/1550-2783-10-53.

10. Deer, R., and E. Volpi. (2015). "Protein intake and muscle function in older adults." Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care. doi: 10.1097/MCO.0000000000000162.

11. Leidy, H., et al. (2008). "Effects of increased dietary protein and meal patterning on appetite during short‐term energy balance and energy restriction." The FASEB Journal. doi: 10.1096/fasebj.22.1_supplement.441.5.

12. Symons, T. B., et al. (2007). "Aging does not impair the anabolic response to a protein-rich meal." The American journal of clinical nutrition. doi: 10.1093/AJCN/86.2.451.

13. Roeseler, D., et al. (2017). "Muscle Protein Signaling in C2C12 Cells Is Stimulated to Similar Degrees by Diverse Commercial Food Protein Sources and Experimental Soy Protein Hydrolysates." Journal of agricultural and food chemistry. doi: 10.1021/acs.jafc.6b05460.

14. Kouw, I. W., et al. (2021). "Ingestion of an ample amount of meat substitute based on a lysine-enriched, plant-based protein blend stimulates postprandial muscle protein synthesis to a similar extent as an isonitrogenous amount of chicken in healthy, young men." British Journal of Nutrition. doi: 10.1017/S0007114521004906.