心臓の肥満を減らすMCT
〜中鎖脂肪酸・カプリン酸のパワー〜
心筋に中性脂肪が溜まってしまう病気、「心臓の肥満」とも呼ばれている、
中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)という難病がある。
この難病の発見者は大阪大学の平野賢一氏である。
平野氏はかねてよりこの心筋に蓄積した中性脂肪を分解するサプリメントの開発に取り組んできた。
そのサプリメントはトリカプリンと呼ばれる特殊な脂質である。
平野氏は最近の研究で2名のTGCV患者において、びまん性冠動脈硬化症が顕著に抑制されたと発表した。
トリカプリンはカプリン酸というMCFA(中鎖脂肪酸)が3つグリセリンに繋がったもの(トリカプリン酸グリセリル)である。
「被験者両名ともTGCVと診断されるまでは、難治性の胸痛と糖尿病を患っていましたが、トリカプリンの摂取により症状が緩和されました」と平野氏は語った。
MCTオイルの用途は多岐にわたるが、トリカプリンの形で摂取すると、心臓の肥満が解消される可能性がある。
今後の展開に期待したいものだ。
なお、カプリン酸はココナッツの脂質に含まれている。
Reference (出典)
Hirano, Ken-ichi, Masahiro Higashi, and Kenichi Nakajima. "Remarkable regression of diffuse coronary atherosclerosis in patients with triglyceride deposit cardiomyovasculopathy." European Heart Journal (2022).