今日のブログは、昨日のブログの続きで「政治資金規正法の改正について思うこと。国民のレベルにあった政治家が選ばれるのです。国民の側の意識改革がないと、同じことの繰り返しです」というお話です。

 

昨日のブログでは、芸能人の不倫報道などで、政治資金規制問題が国民から忘れさられてしまうのではないかと書きましたが、それはもしかしたら東京都知事選挙かもしれないなと思いました。石丸市長が当選すれば状況は変わるかもしれませんが。

 

さて、政治活動にはお金がかかります。事務所を構え、秘書や事務員さんを雇い、広報資料を作成するなどかなりのお金が必要となります。お金があればあるだけ知名度アップのための活動を行うことができ、選挙に有利になります。

 

1980年代にリクルートからの献金が非常に多くの政治家に送られていて大問題となりました。それを受けて1994年に小選挙区制が導入され、自民党が選挙で敗北して政権交代が起きましたが、一連の政治改革の一つとして、税金を元にして政府が政党交付金(助成金)を交付する制度が導入されました。

 

その時には、公的な資金を投入する代わりに、企業からの献金を禁止する予定だったのですが、30年経過した今も実現していません。今回の改正で、この点を改めて指摘するマスコミが非常に少ないのがとても残念です。

 

アメリカでは、企業から政治家に対する献金額が無制限となったため、大企業や大金持ちの影響力が非常に強くなり、政治が変質したと言われているくらい、企業献金の取り扱いは民主主義にとって重要な課題なのです。

 

民主党が2009年に政権を取った時に、企業献金を禁止すればよかったのに、できませんでした。このため、政治活動に必要なお金(政治資金)は、①政党交付金と、②政治家本人や政党が集めてきたお金の二本立てとなっています。これ以外に、税金で政治家と秘書の給料や交通費が賄われています。

 

政党交付金は国会議員個人ではなく各政党に交付されます。日本の人口に250円をかけた額を総額として、議員数や得票などに応じて各政党に配分されます。令和2年国勢調査人口で計算すると、約315億円です。内訳は以下のとおり。

 

■ 自民党:159億円

■ 立憲民主党:68億円

■ 日本維新の会:33億円

■ 公明党:28億円

■ 国民民主党:11億円

 

では、この政府からの政党交付金は、各党にとってどの程度、重要な収入なのか。

 

自民党の収入については、総務省のサイトで確認することができます。関心ある方は、収入の総括表のアドレスを以下に張り付けてありますので、確認してください。自民党の総収入は464億円。前年度からの繰越金が210億円で、それを除くと約254億円。そのうち、政党交付金は約150億円です。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/000060119601.pdf

 

自民党の支出の内訳は、以下のアドレスにアクセスすると見ることができます。政策活動費の支出先として政治家個人の名前が並んでいます。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/000060119605.pdf

 

この政党交付金の315億円ですが、皆さんは、多いと思われますか。それとも少ないと思われますか。制度制定後、30年が経過しているのですから、単価を上げて交付金額を増やし、その代わりに国政選挙については、企業献金を禁止したらよいのにと思います。

 

政党交付金の金額が多い少ないかについては、国民の側にも改善すべき点が多々あります。一つは、積極的に公約を知ろうとする態度をとることです。私が政治活動をしていた時の経験から言うと、多くの人は、選挙の公約を詳しく見ようとしませんし、演説会などにも行こうともしません。政治家が自分の政策を広く知ってもらうためには、ものすごい努力が必要となります。イギリスのように総選挙が近づくと、有料のマニフェストが出版され、それを国民が買い求めて比較する、議論する。そんなことが当たり前になれば、どれほど政治にかかる費用が減ることでしょうか。

 

政治資金報告書ですが、オンラインで見ることはできません。以下のサイトで閲覧手続きについて説明してあります。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seiji_koufu_index.html

 

政府はDX化の旗を振ります。政治家が選挙管理委員会に政治資金の収支を報告する際には、オンライン申請が可能です。できるだけオンライン申請するように努力することが政治家には義務付けられていますが、実際にオンライン申請している政治家は1割程度です。

https://kyoudou.soumu.go.jp/kyoudou/GK020201

 

また、政治家の収支報告書を閲覧することも、先日までは、オンラインではできませんでした。今回の法改正では、オンライン閲覧できるようになるそうですので、一歩前進とは言えます。ただ、政治家個人への政党からの寄付については、使途不明のままで良いというのでは、オンライン閲覧ができたとしても抜け穴はありますが。

 

なお、オンライン閲覧ができたとしても、政治がクリーンになるかというと、ほぼ関係がないと思います。理由は、選挙民の大部分がそんなことには関心がないからです。

 

私も政治活動をしていましたが、市民の皆さんが、納税者として政策に関心を持ってもらい、演説会にも積極的に参加し、よりよい政策は何かを市民同士で議論してもらえるとどんなに良いことかといつも思っていました。市民の皆さんが、自分の政策を実行してくれそうな政治家に対して寄付などの資金援助もしてもらえると、どんなに政治家の資金が楽になることか。クリーンでいられることか。ホントに寄付してくれる人は少ないのです。

 

政治家がダメなのは、国民が政治に無関心という意味で国民がダメだから。その反省がなければ、同じことを繰り返すだけではないでしょうか。