今日のブログは、「4年ぶりの福岡市シルバー人材センター訪問」というお話です。数回続きます。

 

私が考える福岡市が抱える課題の一つとして、今後40年以上、65歳以上の人が増え続けるという問題があります。福岡市に住んでいると、実感が湧きませんが、データで見ると、今後、福岡市の人口のうち、増加するのは65歳以上だけとなります。コロナで少子化が約20年分加速しましたので、この問題が益々、深刻となります。なぜなら、シニアを支える側の人数が益々減っていくからです。

 

福岡市役所が作成した人口予測の根拠となるデータを見てみると、2065年までの人口の予測のデータがありまして、シニアの人口に限ってグラフ化すると、以下のようになります。

福岡市はシニアの人口が増え続けるだけでなく、80歳、85歳以上の高齢者が増え続けるのです。今のところ、85歳を過ぎると3人に一人は認知症になりますので、2050年頃には認知症に効く薬ができていると良いのですが。

資料:福岡市役所作成の人口予測の根拠資料を基に木下が作図

 

なお、このように寿命が延びるという予測はありますが、食生活が洋風化し日本本土に先駆けて1960年代からファーストフード店が展開した沖縄は、長寿の県から滑り落ちました。日本も食生活の洋風化やファーストフードの浸透が影響すると、寿命は短くなると予想しているドクターもいらっしゃいます。もちろん、非公式な場でのお話ですけど。

 

このシニアが増え続ける問題ですが、九州のいわゆる地方においては、この問題はすでに次の段階であるシニアの人口も減り続けるという段階に入っています。例えば、みやま市などは、高齢者の人口だけでなく、死亡者数も減少が始まっています。

 

データはないのですが、木下の体感として、福岡市は文系のシニアの男子が多い町だと感じています。理由はいくつかありますが、九州大学の理系の人はドクターを除くと、多くは九州外に就職します。また、支店の町なので、管理系の人が多いですし、福岡市に本社を置く七社会も管理部門の多くは文系だと感じます。

 

この文系シニア男子、65歳を過ぎて、企業の再雇用のルートからも外れると、仕事がありません。ハローワークで仕事を探しても、資格は運転免許しかなければ、これまでの管理職的な仕事はほぼありませんし、これまでの総務や人事的な仕事もほぼありません。肉体労働的な仕事が多いのですが、その肉体労働的な仕事も、65歳を過ぎ、70歳を過ぎると、労災の発生などを恐れて企業側がシニアを雇うのを躊躇する実態が、コロナ前まではありました。

 

働きたいシニアが家の中にいてごろごろしていると、老化も進みますし、消費もがた落ちします。消費がガタ落ちすることは商業都市にとっては致命的な大問題です。

 

そこで、私はコロナ前の2018年、19年にかけて、文系シニア男子の仕事をあっせんしたり、積極的に雇用を作り出している企業・組織を訪問していたのです。その一環として、2019年12月に福岡市シルバー人材センターを訪問していました。

https://www.fukuoka-sjc.org/

 

その結果は2020年の以下の三つのブログにまとめています。

1.2020年1月22日記事「シルバー人材センターは75歳以上の仕事を作れるか?」

https://ameblo.jp/toshiyuki-kinoshita/entry-12568858226.html

 

2.二回目の記事「75歳以上の仕事を作るには、仕事の「切り分け」がポイント。」

https://ameblo.jp/toshiyuki-kinoshita/entry-12569009443.html

 

3.三回目の記事「シルバー人材センターは、自ら仕事を作り出していました。」

https://ameblo.jp/toshiyuki-kinoshita/entry-12569399067.html

 

なお、シルバー人材センターは高齢者の雇用を促進する法律に基づき設置されている公的な機関で、あっせんする仕事は短期・臨時的な仕事となっています。実際は、月に10日、労働時間として週に20時間以内の仕事です。

 

今回の訪問は、以下の点について取材することが目的でした。

① 当時、会員の平均年齢が70歳に近づいており、その後、さらに平均年齢が高くなっているのか。

 

② 70歳、75歳以上の仕事を作り出そうと努力されていたが、この4年間の間に新型コロナの蔓延があり、仕事をするシニア側と、仕事を発注する企業側にどのような変化があったのかなかったのか。

 

③ 週に20時間までの制限については、県知事の許可があれば、介護の仕事に限っては週に40時間まで延長できるけれど、2019年当時はまだ県知事に申請されていませんでした。その後、申請したのかどうか。

 

④ タイミーなどの単発の仕事をあっせんするアプリがシニアの間にも普及しつつあり、その影響があるのかないのか。

 

①についてですが、会員の平均年齢は75歳に近づいていました。生きがいを求めてのことなのか、年金だけでは生活が苦しいからなのか、理由はわかりません。シルバー人材センターで働く人は、過去の職歴や学歴のデータを公表していませんので、特に大卒の文系シニア男子が多いのか少ないのかもわかりません。データがないので、深い考察はできないのが残念ですが、担当者の説明では、大卒の事務系の男子もいらっしゃるようだとのことでした。

 

シルバー人材センターは60歳以上でないと入会できないのですが、2023年3月末年齢別の構成比は以下の通りです。

 

・60~64歳  3.7%

・65~69歳 16.7%

・70~74歳 37.9%

・75~79歳 28.9%

・80歳以上 12.8%

 

2019年3月末と2023年3月末のデータを比較すると以下の通りです。

・60歳代:  32.0% ⇒ 20.4%

・70歳代:  60.6% ⇒ 66.8%

・80歳代:   7.5% ⇒ 12.8%

 

次回以降、詳しく取材内容を書いていきたいと思います。