今日のブログは、「地場企業の生き残り策には三つの道がある」というお話です。

最近の私の講演の主要なテーマの一つが、九州全域を相手にしてビジネスをしている九州の地場企業に対してのメッセージで、今後、2050年までは確実に減少し続ける九州全体の人口の動きを踏まえると、三つの道がありますよというメッセージです。どれも当たり前のことなので、新規性はないのですが。

 

これから福岡の地場企業には3つの道があります。

1.思い切って海外に進出する

2.縮小するマーケットの中で「残存社利益」を取りに行く

3.人口が維持される東京市場、もしくは拡大が見込まれる後期高齢者市場に参入する

 

1.海外に進出する場合には、その会社の業種によって有望な地域は変わりますが、私が関わっている海外進出の一つとしてベトナムとヨーロッパのマーケットがあります。物の輸出と現地生産ですが、それ以外に、現地の会社に出資するというやり方があります。

 

例えば鹿児島のある建設会社は10年以上前にベトナムの設計の会社と資本提携し、技術指導を行いました。その会社は今ではベトナムのトップ10に入るところまで成長しているとのこと。果実の回収はこれからですが、輸出企業でなくても海外進出は可能です。

 

現実にはベトナムやマレーシアなどでは日本企業の進出が進み、これからまだ進出の余地があるのは、インドネシアやスリランカなどでしょうか。和食用の食材などではヨーロッパでの現地生産が可能性がありますが、遠いので日本企業が行きたがりません。今から進出すれば大チャンスです。

 

ただ海外進出は簡単な道ではありません。リスクも大きいので、内部留保が大きくない会社の海外進出は現実的ではないかもしれません。

 

2.次が縮小するマーケットの中で生き残りを図り、売上と利益を増やしていく作戦です。残存者利益戦術とでも申しましょうか。マーケット自体が縮むものですが、それを上回る速度でライバルが減っていけば、生き残ったところは、ある程度の期間は売り上げも利益も増やすことができます。

 

そのためには、企業買収などを積極的に行い、規模拡大を図っていかねばなりません。ドラッグストア業界はこの動きがとても活発です。九州市場を対象としている会社にとって。これまで約1300万人いた人口が、2050年には1000万人ほどに減るのですから、なかなか厳しい戦いです。勝ち残ったとしても、マーケット全体が縮んでいきますのでいずれは、他の分野に出ていくか海外に出ていくかしかないでしょう。

 

3.三つめが、人口が維持される東京市場に出ていく作戦がありますが、どこの地方の企業も同じことを考えるので、とても厳しい市場です。また、70歳以上の人口はまだまだ増えていくのですが、これもすでに介護事業に多くの異分野の企業が新規参入しましたが、同様に新規参入者が多く、厳しい展開となっています。

 

この拡大するマーケットの中で、まだこれからなのが、これまで何度かお話ししてきた「団塊女子」を対象とする戦略です。世代の中で最も人口が多く、旦那さんが死んでから平均して10年間、一人暮らしをします。遺産相続でお金が手に入るのですが、この団塊女子が一体何を欲しがり、何にお金を使うのか?まさに、未開の新大陸ですが、この分野は女性の活用が必須となります。

 

人口減少を踏まえ、会社の未来を考えている社長さんは、すでに行動を起こしています。昨日、ある業界の懇親会で講演をしてきましたが、懇親会の席である建設会社の社長さんが話しかけてこられました。すでに5年前からベトナムに事務所を出して、10年前からは東京にも事務所を出しているとのことでした。

 

ある農業機械のメーカーは、コロナの少し前からアメリカに進出していて、メキシコの国境沿いに壁を作る工事を見て閃き、コンクリートを運ぶ簡易な建設機械の販売で大きな利益を上げています。

 

このように、時代の先を見ている会社は、生き残りをかけてすでに動いています。地場企業の東京への進出、さらには海外への進出は大きく行動されませんが、水面下で頑張っている企業がたくさんいることはとても嬉しいことです。

 

どの道を選んでも楽ではありませんが、一刻も早く取り組んで欲しいものです。