今日のブログは、「今こそ、改めて徹底した省エネ投資・活動を始めましょう」ようというお話です。

 

ついに電気代が40%以上値上がりすることになりました。政府の補助金がなければ、もっと早い段階でこのダメージが会社や一般の消費者に伝わるはずでした。総選挙の前に政府が電気代値上がりの補助金を打ち切るとは夢にも思いませんでしたが、これで少なくとも消費者物価は1%以上上がります。

 

今年の春闘の結果、大企業の給料が多少上がったところで、中小企業の賃上げは難しいところに電気代の値上げです。電気代がこれだけ上がれば、これに連鎖して、各種製品やサービスの値上げが予想されます。その結果、実質賃金はおそらくマイナスになることと思います。

 

ケーキ屋さん達と話をしていると、4月、5月の売り上げがかなり下がっているという話を聞きます。値上がりに先行して、賢い日本の消費者は消費を抑え始めているのかもしれません。

 

日本全体の貿易収支では、エネルギー関連は大幅なマイナスです。海外の貿易で稼いだお金を中東やエネルギー産出国に渡しています。海外に支払うエネルギー代は、為替の動向とドル建てのエネルギー価格の関係で決まります。2022年度の鉱物性資源による赤字は30兆円を超えていましたが、2024年5月に資源エネルギー庁が公表した資料「エネルギーをめぐる状況について」によると、2023年度の赤字額は26兆円と少し減少しています。

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/055/055_004.pdf

 

 

この鉱物性燃料の赤字を自動車などの輸出で埋めて行く構造ですが、モノの貿易で赤字となったとしても、海外への投資や海外の工場からの上がりが国内に還流されるのことによる利益が経常収支として大幅にプラスとなります。しかし、このエネルギー代の支払いは減らせるものなら減らしたいものです。その分、国内に富が貯まります。

 

なお、このような貿易構造ですので、円安になるとより儲かる輸出産業から、円安で輸入価格が上がって困っている家庭に対して所得移転をすることは決しておかしなことではありません。

 

2015年の福岡市の域際収支(福岡市が外に物を売ったり外から来る人が福岡市で消費する分から、福岡市が外のものを買ったり外で消費する分を差し引いたもの)のうち、外部に対して富が流れ出ている分野は以下の通りで、エネルギー関連の流出は第6位となります。これは、エネルギー価格が上昇する前の円安でもない時期ですので、現在は、これ以上の流出額となっていると思われます。

 

 

2011年に東日本大震災が起こって福島第一原発が爆発し、全国の原子力発電所が停止した時には、町中の照明を暗くするなど、電気の消費量をともかく減らそうとする動きがそこかしこで行われていました。それに比べ、ここ数年のエネルギー価格上昇に際しては、エネルギーの消費を減らそうという動きは、ここ福岡でも、全国でも、盛り上がりません。

 

私は省エネの仕事をしていた時がありましたが、その際に訪問した企業の多くは、省エネ投資(より効率の良い機会への更新や新技術の導入など)は、節約されるエネルギーコストの3年分で回収されないなら、投資はしないというものでした。この感覚は、SDGsと言われるようになって、少しは改まったのでしょうか。

 

これだけ電気代が上がると、省エネ投資の回収期間が短縮されるかもしれませんし、一方で、省エネ機器と工事費用の値上がりにより、回収期間が長くなっているのかもしれません。どちらの可能性もありますが、改めて、社会全体で省エネ投資を促進するための制度を強化しなければならないと思います。

 

一般の家庭には、新築の場合は窓の二重化を義務付け、既存の家に対しても、改築を促していく制度が必要です。同時に、水力発電や地熱発電など、自前のエネルギー資源の確保のための予算を大幅に増やすべきと思います。財源は、国債で良いと思います。長期的にリターンが見込める投資だからです。

 

また、自動車の購入も上記の域際収支の表では11番目のマイナスですし、自動車の利用は、石油などのマイナスを拡大します。できるだけ自動車の利用を控え、チャリチャリや公共交通機関やタクシーの利用、車のシェアに切り替えていくよう市役所が市民にキャンペンーンを行うことも、意味のあることだと思いますし、市民自らが取り組める活動だと思います。