今日のブログは、日曜日に参加した玄洋社の事績を巡る半日ツアーに参加して感じたことです。福岡の人は玄洋社がどんな活動をしていたのかを全く知りませんが、戦前は大アジア主義を掲げ欧米の植民地支配に苦しんでいたいるアジアの人々を解放していくために、平等な立場でアジアの人々と手を取り合って頑張っていこう、そんな主張の団体でした(木下の意訳です)。

 

これからアメリカが日本やアジアから軍隊を引き上げる可能性があり、私は2028年頃にはそれが現実になるのではないかと考えていますが、その時に日本がどう振る舞っていくかを考えないといけません。その際に、玄洋社の考え方行動を振り返るのはとても意義があることだと思っています。多くのヒントが得られるのではないかと思います。

ツアーでは最初に遠山満さんなど玄洋社の幹部の方たちのお墓が並んでいる玄洋社墓地がある崇福寺を訪問しました。崇福寺は黒田家の菩提寺で歴代の黒田家の藩主のお墓も奥の方にあります。山門は福岡城の門を移築した立派な門です。これを見るだけでも価値があると思います。臨済宗の禅寺なので、とても落ち着いた雰囲気がある素敵なお寺です。

 

境内を歩いていくと一角に玄洋社の墓地があります。ちょうどその日は雨だったので、通路は舗装されていない普通の砂地で雨水もたまっていました。参加者の皆さんは大変歩きにくそうでした。玄洋社墓地は有志の皆さんのお力によってきれいに整備されていたので墓地自体は綺麗になっていましたが、後で述べるように観光地として開発するならば、市役所がお金を出して歩道を整備する必要があると思います。

 

この玄洋社墓地などがなぜ観光地となりえるのか。それも台湾や中国の方たちに対して。そのキーワードは「孫文」です。

 

孫文は中華民国の建国の中心となった方で、台湾の中華民国政府や中華民人民共和国では「国父」として大変に尊敬されている方です。その孫文さんが清王朝を打倒し中華民国を建国する辛亥革命を起こすのですが、その活動の支援を玄洋社の人々がずっと行っていたのです。

 

地元で歴史を掘り起こす活動をされている歴史作家で郷土史家の浦辺登さんによると、中国の方を玄洋社墓地に案内してその活動の歴史を話すと、お墓に対して深々と頭を下げるそうです。

 

孫文さんは一度革命に失敗して日本に亡命してきていますが、その際も福岡で匿われています。また、実際に革命が成功した後にも福岡市に来られて、玄洋社の皆さんに対してお礼を言いに来られたこともあります。そのくらい、玄洋社は孫文さんを応援していたんです。

 

残念ながら、そのことを現在の台湾や中国の人たちもあまり知りませんし、それ以上に福岡市民は全くこのことを知りません。しかし玄洋社の活動や孫文さんが匿われていた場所、孫文さんが独立した後に福岡市に来られて演説された場所などを巡るツアーを浦辺さんのような方が説明して案内していくツアーは、立派な観光資源になります。

 

日曜日にこの半日のツアーに参加して、建物はすでになくなっているものが多いですけども、それなりに楽しめる歴史ツアーになると実感いたしました。これを定期的なツアーにしていくためには、案内板や石碑を整備していく必要があります。現在は、電柱に民間の有志の方が宣伝として「ここはどういうものがあったよ」ということを説明しているものがあるくらいで、市役所が建てた石碑は玄洋社の最後のリーダーで福岡市長だった進藤一馬さんが建てたものが、ひっそりと立っているだけです。

 

日本の近代史に触れると、ともすると炎上する可能性もあるので、政治家の皆さんが恐れる分野ではありますが、玄洋社が孫文の独立革命活動を支援したことは福岡市の輝かしい歴史です。子供たちに語り伝え、中国にも発信していかねばなりません。

 

またツアーの内容を考えると、男性が設計してはツアーが成り立ちにくいなと感じました。

午前中ずっと歩きっぱなしでトイレ休憩がありませんでした。これは女性には辛いですね。

また県外からの参加者を増やすことを考えると、途中休憩して地元の美味しいお菓子とお茶、とくに八女茶を一服する場所を作る必要があるなと思いました。

 

総福寺の境内に入るとお饅頭屋さんがあるんですが、そこのお饅頭もお餅もとっても美味しいんです。コンビニで売られているものと違っておそらく防腐剤などほとんど入っていない素晴らしく良いお味でした。素敵な境内で抹茶を一服飲んで休憩できる。そういうものが組み込まれていたら、5000円以上払ってもいいよということを参加者の女性が言っていました。

 

このようなツアーを定期的に行うためには、ガイドの方たちに崇福寺にもある程度のお金を渡して仕組みを作らないといけないです。これからこういうツアーを行った際には満足度調査、できれば0点から10点までの11点満点で何点だったかとか、何円までなら料金を払えるかとか、よかったところや変えた方が良い点は何かとか、そういったものもきちっとアンケートを取るようにして、これを定期的なツアー化していくことを考えねばならないと思います。

 

浦辺 登さんがよく言っておられることは、「福岡市は観光資源が何もないなんて、とんでもない間違いです。」ということなのですが、私も今回のツアーに参加してみて、全くその通りだと思いました。立派な建物があって、それを見て回るだけが観光ではありません。明治時代、そしてさらにその前に活躍した人たちのことを我々は全く忘れ去っています。それを掘り起こして伝えると立派な観光資源になるものがたくさんあるんです。

 

まずは市民に玄洋社を知ってもらうこと。そのためには、福岡市立美術館か博物館に玄洋社の事績を説明するコーナーを作るべきです。そして、その活動をまとめた小冊子を作って郷土の誇りある歴史として子供たちに教えていく必要があると思います。玄洋社は GHQ が言うような戦争賛美の右翼団体ではありません。 これからアメリカが撤退した後に日本も含めたアジアのあり方を考えるとき玄洋社が唱えた大アジア主義は大変に参考になると思います。