今日のブログは、シニアの乗り物の有力候補である電動三輪自転車についてです。

このままいくと、人口密度の薄い地域では、シニアの交通手段がなくなります。鉄道やバス路線はもともと少ないうえに、人口減少で収益が悪化するので、路線の廃止や減便が相次ぎ、ますます使いにくくなっています。タクシーについても、福岡県の一部の地域では、運転手さんが足りず、待ち時間が長くなっています。

 

私は都市部でウーバーのような仕組みを入れるのは反対の立場です。運転手さん不足対策なら、まず運賃を上げて運転手さんの給料を上げることが本質的な解決策だからです。しかし、人口密度の薄い地方部で運転手さん自体が少ない地域では、ウーバーのような仕組みを認めるべきだと思いますが、政府の規制緩和の検討は遅々として進みません。

 

また、多くの自治体の財政難は加速する一方で、バス路線を維持したいと思っても、政府が拡大財政に転換して地方自治体への補助金を増やさない限り、ほぼ不可能です。数年前までは、私はその解決策としてバスの自動運転技術に期待していたのですが、現在の状況では数年以内に実用化する可能性はほぼありません。

 

残った手段は、自転車か電動車いすです。電動車いすは、2023年時点で介護保険による貸し出し件数は82.3万件。これが多いのか少ないのかの判断は難しいですが、車の運転免許返納の動きが強まるとともに、貸出件数は増えているようです。自費で日々の移動用に購入して利用する人がどの程度いるのかはまだわかりません。電動車いすは、法律により速度が時速6キロメートルで制限されています。利用者に、課題が何かを聴いていかないといけません。

 

もう一つ可能性があるのが自転車です。ママチャリの車輪が小さくなって安定したように、転びにくくなっています。しかし、人口密度の薄い地域は道路のアップダウンがあることも多く、脚力が弱くなってくるとつらいこともあるかもしれません(この点もヒアリングが必要です)。そこで、私は電動自転車、それも転びにくい電動三輪自転車の普及が有効な手段ではないかと考えていました。

 

ところが、先日、日本全国で中古の自転車を幅広く取り扱うAさんとお話をする機会があり、自分の認識を改めることとなりました。「木下さん、新品の電動三輪自転車が、買ってから最も早く売りに出されるのをご存じですか。その理由は、お年寄りが使うと、意外と乗りにくいからなんです。カーブで速度を出したり、歩道が傾斜しているところで、よく転ぶのですよ。」と言われたのです。

 

転ぶ・・・とても意外でした。Aさんによるとその原因は自転車の幅が法律で60センチに制限されていることだと言われました。

 

これも意外でした。自転車の幅など考えたこともありませんでしたが、制限があったのですね。法律を調べてみると、道路交通法第63条の3、道路交通法施行規則第9条の2の2により歩道を通行できる自転車は普通自転車に限られており、「車体の大きさが長さ190㎝以内及び幅60㎝以内であること」となっていました。

 

Aさんはあと10cm幅を広げて70cmにすれば転倒はかなり減るのではないかと言われたのですが、この点はAさんも私もシミュレーションしたわけではないので確認が必要です。しかし、本当にその規制を緩和して事故が減り、三輪自転車が普及するなら、規制緩和にチャレンジする意味もあります。主幹省庁は警察庁でしょうか。

 

規制緩和に可能性があるなと思うこともありまして、道路交通法第57条第2項により、積載物そのものの長さに基準があり、「積載装置の幅に0.3メートルを加えた数値以下であること」となっています。ということは自転車全体の幅としては90cmとなります。

 

調べていくと、国民生活センターが2019年に「三輪自転車の走行特性に注意-高齢者が転倒し骨折した事例も-」という調査結果を発表していました。

https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190314_2.html

https://www.kokusen.go.jp/kiken/pdf/351dl_kiken.pdf

 

この報告書の内容を私なりにまとめますと、前輪にスイング機構がついているかどうかで運転の仕方が変わるので、高齢者がそれを理解して運転する必要があるというものです。ピザの宅配などで利用されている三輪バイクがカーブで体を傾けて運転しているのを見た方もいると思いますが、前輪が傾かなければ、サイドカーの運転のようにドライバーが体を横に傾けなければなりません。この情報を普及すれば、電動三輪車の事故が減るなら、有難いですね。

 

最近の規制緩和で電動キックボードが公道を走れるようになりましたが、その規制に合わせて電動の4輪のものを開発している会社がありました。エレモーズというベンチャー企業の製品です。乗ったことはないですが、とても可能性を感じる製品でした。このような会社が成功すると良いですね~規制緩和して、夏や雨の時に備えて屋根がつけられるとさらに良いですね。いつか試乗してみたいです。

https://elemos.jp/threefour/?gad_source=1&gclid=Cj0KCQjwxeyxBhC7ARIsAC7dS38nLYAS2VI57oRkrQr7lIGDxy3l57Vo22heNfP9x4QpejEZXnerJc0aAt-fEALw_wcB

 

 

資料:同社のサイトから引用