今日のブログは「福岡市営地下鉄の今後の輸送力増強対策は検討されているのか」というお話です。

 

最近、福岡市営地下鉄、特に七隈線の混雑ぶりがよく報道されています。東京のラッシュ経験が長かった私から見るとそこまでひどい混雑ぶりとは思えません。利用者がなぜか奥の方に入らずに入り口の近くに固まっており、これを東京の鉄道利用者のようにできるだけ奥に入って行くということをすれば、もうちょっといいのかなとは思います。

 

まあ私は東京にいた時は、ラッシュが大嫌いだったんで、通勤時間をずらして朝早く通っていましたけども、伊藤忠さんがやっているように早朝出勤した時にも残業代同様に賃金が25%アップするのとと同じような仕組みを福岡市内の企業が取り入れたら良いのにと思います。

 

さて、2025年春に福岡空港の2本目の滑走路が共用開始になると言われているんですが、そうなった場合に外国人入国者数はおそらく1.3倍は増えるんだろうと思います。毎月九州交通九州運輸局が外国人の入国者数のデータを発表しています。それを見ると2024年1月のデータでは、外国人入国者数はコロナの影響を受ける前のピークだった2018年1月の数字を30%も上回っています。飛行機が大型化したんでしょうかね。

 

資料:九州運輸局

 

なぜ2018年の数字と比較するかというと、2019年は韓国と日本の間で政治的なトラブルが発生し、韓国人入国者数が途中からがた減りしたからです。円安で今、韓国からたくさん旅行者が来ていますけども、先日の韓国の国会議員選挙は与党がまた負けてしまいました。いつまた韓国が日本と外交的な問題を起こし、韓国人が突然来なくなるかもしれませんので、韓国人に頼っている飲食店は要注意ではないかと思います。

 

話を戻しますと、外国人入国者数が既に1.3倍と増えていますけどもこの状態をベースとして外国人入国者数が来年にはさらに1.3倍になるとすると、1日あたりでだいたい2650人ぐらい入国者が増えることになります。出国者も入れると2650人の2倍の5300人が地下鉄にさらに乗ると考えられます。これは、地下鉄の混雑にどのような影響を与えるでしょうか。

 

福岡市市営地下鉄のホームページの情報を見てみましょう。以下の報告書の28ページをご覧ください。

https://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway/about/pdf/subway_05.pdf

 

2018年平均で福岡空港駅は1日に27,742人の利用がありました。博多駅は8万2154人の利用、天神駅は8万4380人の利用となっています。外国人の入国者の方々は大きなトランクを抱えていますので利用の人数以上に大きな面積を取ります。市営地下鉄だけではなく、トランクを抱えてバスに乗る人も1.3倍になるとしたら、京都市営バスのように地元住民が利用できなくなるなんてこともあるかもしれないですね。

 

一日、8万人の利用がある博多駅で、約5,000人増えたところで、たいしたことはなのかもしれませんが、このような予測に対して、専門家である福岡市営地下鉄当局は、はどのような準備をしているのでしょうか。

 

もう1つは天神ビッグバンによる利用者の増加です。現在、多くのビルがまだ工事中ですが、ここ数年のうちに次々と完成が見込まれます。私はすぐには、床は埋まらないとみているのですが、福岡市役所はすぐに埋まるとの見方ですから、1日に3万人、4万人といった単位で通勤者の増加が見込まれることになります。そうなると天神駅のホームは大変な混雑になると思います。

 

現時点でも、夕方にホークス戦があるような時に会社から帰る人と重なった時などは、ホームから人が溢れるんじゃないかと思う時もありますが、これにトランクを抱えた外国人の入国者が増え、さらに通勤の人たちが何万人も増えると一体どうなるんでしょうか?

 

だいぶ前にJR九州の初代社長の石井さんとお話ししていたら、「福岡市役所は、天神ビッグバンは本当にうまくいくと思ってないんじゃないの。うまくいくと思っているんだったら、今から交通対策を講じないともう全然間に合わないはずだけどね。」と仰ってました。

 

自分で推測していてもしょうがないので、私は4月9日月曜日に以下のメールを福岡市役所交通局総務課に送りました。まだお返事は来ていませんが、お返事が来たら皆さんにお伝えしたいと思います。多分何も答えないだろうとは思いますが。

 

・・・以下、メールを引用・・・

 

福岡市役所交通局

総務部総務課 御中

 

こんにちは。福岡大学経済学部教授の木下敏之と申します。

福岡・九州の地域振興政策について研究しているものです。

公共交通基盤の整備がその都市の将来の発展を決めるとの立場です。

 

さて、お忙しいところ恐縮ですが、以下の点について質問がありメールをいたしました。お時間のある時に、答えられる範囲でお答えいただければ幸いです。

 

1.2025年春に福岡空港の二本目の滑走路が供用開始の予定ですが、これにより国際線の利用者が30%前後増加すると見込まれています。

そうなると、福岡市営地下鉄の利用者はどの程度増加すると予測されているのか。七隈線と空港線の内訳などありましたら、有難いです。

 

2.二本目の滑走路の供用開始後、ある程度の地下鉄利用者の増加は見込まれると思いますが、それに対してどのような対策を講じられるのか、講じられないのか。

 

3.将来的な話となりますが、天神ビッグバンの完成により最終的にどの程度の地下鉄利用者の増加が見込まれ、それに対してどのような対策を検討中なのか。

 

なお、お答えは、論文・講演・ブログ等で対外的に公表することもありますので、あらかじめお伝えしておきます。

対外的な公表がまずいものについては、非公開と指定していただければ外部には公表いたしません。どうぞよろしくお願いいたします。

 

・・・以下、メールの引用終わり・・・

 

福岡市市営地下鉄の財政状況を見ると、コロナで打撃を受けていますが、ものすごい痛みを受けているわけではないように私は解釈をしています。これであれば交通機関の利用者が増加することへの対策を講じる事業を早急に行うべきではないかと思います。これは市長の決断が必要ですね。

■ 福岡市営地下鉄の借金(地方債)残高の推移

資料:福岡市営地下鉄のホームページから引用

 

それと同時に、 私が自分の本でも提唱していたように、 福岡市営地下鉄を延伸し、福岡空港国際線ターミナルビルへ乗り入れる。 paypay ドームの前を通って、福岡タワー前あたりまでの地下鉄の枝線を建設する、というような積極的な方針が次期福岡市交通計画に盛り込まれることを強く願います。

 

福岡市は商業の町です。商業の町は「人と物の流れをどんどん良くしていく」ことがとても大切です。ぜひ皆さんも福岡市役所や市議会議員の方に対して、ドームの前に地下鉄を通せ、福岡空港国際線に地下鉄を乗り入れよ、ということをメールで提案してみてください。

皆さんが言えば政治家は動きます(私が言っても福岡市役所は動きませんが(笑))。