今日のブログは「福岡市は地方最強」、「福岡市は成長し続けている」と思い込むことによる弊害についてお話したいと思います。今朝の西日本新聞の一面で取りあげていた福岡市西区にあるマリノアシティが8月に閉鎖するという報道です。

※マリノアシティのサイトはこちら https://www.marinoacity.com/

 

この報道によると、福岡地所さんでは、数年前から維持管理費がかさむようになり今後の展開を検討していたとのことですが、2022年4月にJR竹下駅近くにできた「ららぽーと福岡」が売り上げに悪影響を及ぼしていたとのこと。8月に閉鎖し、三井不動産かどこかに運営を委託して、アウトレットにするとのこと。福岡地所さんとしては正しい選択でしょうけど、これが典型的な「福岡市 地方最強」、「福岡市は成長し続けている街」という思い込みがもたらす福岡市全体にとっての悪影響なんですね。

※ ららぽーと福岡のサイトはこちら https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/fukuoka/

 

福岡市の人口が増えていくのは65歳以上だけとなりました。働く世代はじりじりと減少し、しかもリモートワークが定着。福大生の購買行動は7割がネット通販、映画も見ないでネットフリックスで済ます学生が四分の一。このような中で、頼みのインバウンドは、福岡空港の二本目の滑走路が完成しても、着陸容量は1.26倍。物価が上がり実質賃金は長期低落中。

※ 福岡都市圏の人口のデータは週末に見直しが完了しますので、来週のブログで取りあげる予定ですが、福岡市の周辺人口も少子化が進んでいます。

 

チャンスは、海外展開か、南海トラフ地震を理由として東海地方の企業を誘致することくらいしかありません。

 

それにもかかわらず、天神ビックバンと博多コネクティツドを進行しながら、百道浜のドーム周辺の開発、西新駅周辺の開発(これは少し小規模です)、ららぽーと福岡の開発、そしてこれからどんな計画となるかわかりませんが、九州大学の旧箱崎キャンパスの跡地の開発。こんなに次々に開発を行っていたら、先に開発したところが十分な利益が取れないか、利益を取れたとしても、次の再開発に着手できません。

 

その点で、お手本にすべきは、シンガポール政府の開発です。福岡市役所もシンガポールを見習うと言ってませんでしたっけね?

 

シンガポール政府のすごいところは、1つの区画が開発に成功して参加者がある程度の利益を収めるまでは次の開発に着手しないで更地のままで寝かしておくことです。そして、開発に着手した場合には、人が集まる仕掛けを必ず準備してきます。

 

ところが福岡市での開発のスタイルは、同時並行で次から次にいろんな開発に着手します。今朝の報道によると次はアウトレットにするっていう話なんですけども、アウトレットは、もともと市街地から100km 以上離れた遠いところに作って純正品と食い合いしないというコンセプトで始まったと思います。関東の御殿場にできたアウトレット が最初だったですかね。

 

ところが、その後どんどん、どんどん市街地に近いところにアウトレットができるようになりまして、福岡市からとても近い鳥栖市にアウトレットができ、土日ともなると天神の西鉄バスセンターからたくさんの人が買い物に行っています。

 

今度、マリノアシティのところに三井のアウトレットができるとなると、鳥栖に行く人は 減るんでしょうね。

 

これは商業施設に限りません。似たようなことが福岡市内いたるところで行われています。例えば、アイランドシティに大きなマンションが何棟か完成すると、そこの小学校が児童で溢れてしまう一方で、博多区などの中心部の小学校は人口が減って子供達が減ってしまい、小学校を統廃合します。アイランドシティに小学生が増えたと思っても、また20~30年経つとその地域全体が高齢化してしまい教室はガラガラになるかもしれません。長期的に見ると大変無駄ですね。焼き畑農業です。

 

そろそろ福岡市役所も何らかの形で流入規制をして、長期的にその地域が持続するようなことを考えるべきではないでしょうか。高さ制限を緩和してビルをどんどん建てる時代ではないんですけどね~

 

福岡市は地方最強、成長し続けてるって思い込んでいる人にはこんなこと言っても馬の耳に念仏でしょうけど。それと、開発する主体は、東京の大手ではなく、福岡地所さんのような地場のデベロッパーさんを大事にして欲しいですね。