今回は、二回前のブログに書いた
「長崎新幹線建設の際の地元負担と固定資産税」
の続きです。フル規格での工事に伴う地元負担額が
全てゼロになるのではなく、25~30%の軽減に
なるらしいです。
昨日、フル規格化の旗を振っているAさんと、
そのお仲間のBさんと、佐賀駅でお会いしました。
二日前のブログで、フル規格の場合の事業費
6,200億円のうちの地元負担額年間15~22億円
(30年償還の場合)が、鉄道・運輸機構から沿線
自治体に納付される固定資産税で、ほぼチャラに
なるとの情報があると書きました。
この資料を作成されたAさんに内容を確認してみると、
二つの問題点があるそうです。一つは、固定資産税の
増加が丸まる市町村財政の増加額にはならないこと。
これも私が見落としていたことですが、地方税収だけで
その町の行政需要に必要な財源を賄えない自治体は、
政府から地方交付税交付金が支給されます。
この交付金の計算方式はかなりややこしく、基準財政
需要額を計算し、それと地方税収の差額を交付する
仕組みです。
新幹線が完成し固定資産税が増えれば、地方税収が
増えることとなりますので、収入増の一定割合を
地方交付税交付金から差し引くこととなります。
関係者の情報を総合すると、増えた固定資産税の
25~30%程度が沿線自治体の実質的な収入増と
なるらしいです。
もう一つは、新幹線の工事費の地方負担分はまずは
県庁が負担することとなりますので、新幹線の沿線
市町村の税収の実質増加分を、県庁が何らかの形で
吸い上げる仕組みが必要となります。
吸い上げてもよいですし、増加分見合いを県庁から
市町村に出している補助金から減らすなど方法は
いくつも考えられると思います。
工事費全額が実質的に0になることはありません
でしたが、それでも25~30%も工事費の負担が
さらに低下するのですから、大きな意味があります。
ただ、このように負担額が少し減ったとしても、
長崎本線の上をフル規格で新幹線を通す案は、
佐賀市民にメリットがあるのかどうか、市民には
判断がつきません。それは、非常に重要な情報が
JR九州から市民に提供されないからです。
フル規格になった場合に、朝晩の通勤時間帯の
佐賀―博多間の列車間隔と料金の情報です。
今は、在来線特急の2枚切符でも片道1,150円。
高速バスよりも20%以上も高いです。もし片道
1500円に値上がりすると、利用者はかなり減る
でしょう。
この重要な情報、私が佐賀にいた15年前にもJR九州
に強く要望しましたが、明らかにされませんでした。
値段のわからない料理を注文せよと迫れば、お客は
決して注文することはありません。この点は、政府が
責任をもって明らかにしないといけません。
今日の春日市での講演でも感じましたが、福岡市
近郊の交通の便の良いところはかなり家の値段が
高くなっています。
佐賀市はそれに比べると安いですし、駅前周辺の
小中学校は佐賀市でも教育レベルが高いです。
その利点を手放すような新幹線建設だとしたら、
絶対に反対すべきでしょう。
なお、佐賀県側の政治関係者のフル規格派の中でも、
佐賀空港ルートを主張する人はほとんどいないそうです。
とても残念ですが、これも現実です。
佐賀県知事は、数年間は結論を出さない可能性が
高いとの話も聞きました。長崎新幹線が決まらないと
東九州新幹線の話が進みません。これは北九州空港の
活用を考えるととても困ることなのです。
私は山口知事に会ったこともなく、結論を出さない
理由が本当かどうか確認もできませんが、政治家の
「情念」を考えると、あり得る話でしたので、そのうち
ブログで書いておこうと思います。