今回は、前回のブログで書いた、自宅のリモート

ワーク用の部屋の設計は、快適なオフィスの設計に

知識・経験のある設計士との協働が必要であることを

思いついたきっかけとなった本のご紹介です。

 

昨年の10月30日に出版された

「室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる」

という本です。

 

笹井恵理子さんというジャーナリストが

建物の温度や湿度、壁の色彩、照明の温度などの

建物の環境と、人間の健康や仕事の生産性の関係を

研究している学者さんを数多く取材し、それを彼女

なりに取りまとめられたものです。

 

私は夏も冬も、殆どエアコンを使わない暮らしを

しているのですが、だんだんつらくなってきました。

また、高血圧は克服しましたが、ひどい肩こりや

腎臓系の病気などもありまして、このまま寒い部屋で

冬を送ることに疑問を感じていたのです。

 

そのような状態のときに、たまたま入った大橋駅の

本屋さんで目に飛び込んできたのが、この本でした。

サブタイトルが

「寒い家に住んでいると、早死にします。」

というとても気になるものでした。

 

また、最近、眠りが浅いと思うことが多く、夜中に

トイレに行くために目が覚めることも増えてきて、

「歳を取ったから仕方ないね」では片付けたくないと

思っていたので、この本をすぐに手に取りました。

 

前書きをさっと読んで、目次を見て、第5章が

「仕事と勉強がはかどる空間を作る」となっていた

こともあり、すぐに購入しました。858円です。

 

とても読みやすい本でした。私は佐賀市の市長を

していたときに、シックハウス対策、シックスクール

対策を徹底して行った経験がありましたし、省エネ

にも真剣に取り組んでしましたので、建物の塗料や

省エネ性能には知識がある程度あります。

 

しかし、健康になるための部屋の温度・湿度だとか、

仕事がはかどる温度、壁の色彩、照明の色などに

ついては全く知識がないどころか、考えたことも

なかったので、この本に書いてあることは本当に

勉強になることばかりでした。

 

これから自宅を建てようと考えている人にも、

オフィスを改造しようとしている人にも、入門書

として最適だと思います。購入を強くお勧めします。

 

この本に引用されている学者の論文などを詳しく

読めば、注文住宅の設計などで、子供がやる気を

出す勉強部屋とか、子供の成績が上がる勉強部屋で

売り出すこともできると思います。自治体なら、

学校の設計に反映できます。

 

昨日のブログでは、リモートワークに向く部屋の

設計は、その人の職種によって違うのではないかと

書きましたが、この本の192Pには「テレワークに

最適な色は、作業の種類によって異なります。」と

書いてありました。

 

「緑色は「生産性」と「集中力」が向上するという

報告がある」そうです。カラー・コンサルタントの

領域ですね。

 

この本の第1章の小見出しには、衝撃的な言葉が

並びます。

 

・寒い家に住む人は脳神経の質が低下する

・寒い家は暖かい家の1.6倍、頻尿になる

・「省エネ=寒さや暑さに耐える」は間違い

・室温が5度温かいと、脳神経は10歳若くなる

・降圧剤よりも室温の方が血圧に影響する

 

どれも自分のことかと思いました。では、一体、

室内の温度は何度が良いのでしょうか?

 

それについては世界的な基準をWHOが定めて

いるそうで、2018年に「冬の室内温度として

18度以上」を強く勧告したそうです(同著4P)。

 

英国では、「家の寒さと死亡率の関係」を数十年に

わたり地道に調査して室温の指針を出している

そうで、これがWHOの勧告の根拠の一つとのこと。

 

・18度・・・・許容温度

・16度未満・・呼吸器系統疾患に影響あり

・9~12度・・血圧上昇、心疾患リスク

・5度・・・・低体温症リスクあり

(同著47P)

 

この本では、室温計を買うことを推奨していますので、

私も、早速、室温と湿度が図れる温度計を買いました。

600円と安いものもありましたので、私の書斎、

寝室、洗面所、大学の研究室に置いてみました。

 

結果は冷え冷えでした。書斎も寝室も10度前後。

今日のように5年に一度の寒波が来ると5度前後

になりますので、この本を読んで以降は、暖房を

フルに回しています。

 

新型コロナやインフルエンザのようなウイルスは、

部屋の空気が乾燥すると良くありませんが、部屋を

加湿する時に、部屋の湿度を計っている人はまず

いません。

 

湿度計の目盛りを見ると40~60%のところが

青い色になっていますので、それを下回るような

部屋であれば、加湿しないといけません。

 

昨日のブログで書いたように室温は25度前後が

最も生産性も上がり子供も活発になる温度なので、

これからは、オフィスでも、温度は25度前後にし、

湿度も50%前後にコントロールすることに気を

付けないといけませんね。

 

もちろん、この本には、適切な換気の回数も書いて

ありますので、是非、購入して、生産性も上がり、

ウイルスも不活発化するオフィスの空気管理を

いたしましょう。

 

なお、このようなことは新しいビジネスに直結します。

そのネタが盛りだくさんな本でもあります。