【12月26日の藻谷浩介講演会のお知らせ

地方創生のカリスマ 藻谷浩介氏のオンライン

講演会を12月26日16時から行います。

コロナの現状と来年の景気の見通しがテーマです。

お待ちしてます。ここをクリックして下さい。

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今回も昨日の講義に来られた角田隆巳先生の話の

続きで、地元の農家と組んで認知症予防の画期的な

お茶を作り出したというお話です。日本の研究者の

凄さと、日本が抱える技術開発の問題点、日本社会の

シニア活用の無策を感じます。

 

全開のブログでは、角田さんが72歳で、有名な

伊藤園の中央研究所長をされていて、カテキンの

研究で伊藤園に大きな貢献をされたという話を

書きました。

 

また、それとは別に、お茶に含まれるテアニンの

研究もされていて、最近、伊藤園が抹茶で認知機能の

低下防止をする機能があることでトクホを取った

お話も書きました。

 

角田さんの商品開発の基本は、マーケットインです。

消費者が求めているもの、必要とするお茶を作り出す

のです。日本の製造業が不得意とするところです。

 

すでに、日本全体の高齢者数は横ばいとなりましたが、

75歳以上の後期高齢者数、さらには認知症になる

割合が3割前後となる85歳以上の高齢者の数は

今後も、増え続けます。

 

私もそうですが、歳を取ってくると、物忘れが増えて

きますし、人の名前をすぐに思い出せなくなることも

多いです。認知症にはなりたくないと多くの人が

思っていますが、薬はしばらくできそうにありません。

 

伊藤園の認知症予防のお茶も画期的なのですが、

その商品の元となった研究は角田さんがされて

いたことです。角田さんは競業禁止規定に引っかから

ないように退職して2年が経過したのちに、個人で

研究を再開されています。

 

角田さんの実家は、八女市内で10ヘクタールの

茶畑を持つ大お茶農家にして製茶もする角田製茶

という会社です。

 

福岡県はお茶の生産量はあまり多くありませんが、

お茶の価格(荒茶)では、日本一なのです。八女の

お茶は高値で取引されるのです。そして、角田製茶は、

八女市の中でも特に良いお茶が取れるとされる

上陽町にあります。

 

このような条件にも恵まれていたこともあり、

少し前までは、福大の理系の研究所の客員教授も

務められていたので、研究施設を借りて使うことも

できました。

 

現役の時のように研究費はありませんが、苦労して

研究開発を継続されていたのです。死ぬまで研究を

続けたいという熱意に、頭が下がります。50Gの

お手本です。

 

そして、ついに昨年、「奥八女緑茶抹」という商品を

発売されました。

※ 角田製茶のサイトから引用

 

このお茶、伊藤園の認知症関係のトクホを取った

商品と何が違うのかと思われるかもしれませんが、

テアニンの含有量が伊藤園の抹茶に勝るとも劣ら

ないくらい多く含まれているのです。

 

まだ大々的にそのことを強調されてはいませんが、

今年の講義では、テアニンの含有量を増やす技術の

特許が申請中という段階まで進んだので、今回は

講義でもこのことを具体的にお話になりました。

 

もともと八女茶は、テアニンの含有量が多いのだ

そうで、そこからさらにテアニンの量を増やすための

製法特許を申請中とのこと。どの程度増えるのか

楽しみです。

 

伊藤園が抹茶で認知症予防のトクホを取ってくれたし、

これから大いに宣伝もしてくれると思うので、社会的

にお茶に含まれるテアニンが認知症予防に効果が

あることが知られていくでしょう。

 

それとともに、八女茶の評価も上がりますし、八女の

角田製茶の「奥八女緑茶抹」の評価もさらに上がる

でしょう。伊藤園さまさまです。

 

奥八女緑茶抹ですが、1グラム入りのスティックが

20本入って税込み864円。一本43円です。一日に

二本飲んだとしても80円。伊藤園の製品よりも

かなり安いです。

 

特許取得後は、テアニンが多く含まれるお茶として

価格も上げて世界展開してもらいたいと思います。

福岡市のシニアも飲んで欲しいですね~

 

心配なことは二つあります。一つは、某国の人が

この製品に目をつければ、あっという間に買い占め

られてしまう恐れがあることです。また、技術を

盗みに、角田製茶にアクセスするかもしれません。

要注意です。

 

もう一つは、八女茶の生産量があまり多くないこと。

注文が殺到するとすぐに欠品となります。

八女は規模拡大が進まないのですが、製品が高く

売れて稼げるようになれば、拡大も進むのではない

でしょうか。

 

鹿児島県などはお茶の生産が拡大し続けていて、

最規模化にも成功しています。数年以内に静岡県を

抜いて日本一の産地となります。

 

特許使用料を支払ってもらって、他の産地がこの

技術を使ってテアニンが多く含まれるお茶を生産し、

世界的な商品として展開するのもありだな~と

思います。

 

なお、この緑茶抹ですが、見た目は抹茶です。

※角田製茶のサイトから引用

 

私も角田さんから頂いたお茶を、研究室で淹れて

みましたが、茶道をしていない人に「抹茶です」と

言ってお出ししたら、抹茶と思うでしょう。

 

これはお茶業界の闇の部分でもあるのですが、

本物の抹茶の原料の倍近い流通量があります。

アイスクリームなどに使われているものの多くは

緑茶抹だと思われます。

 

本当の抹茶は高いので、一本100円程度のものに

抹茶を使うとコストはあわないのです。

 

もう一つとても残念なことがありました。

 

角田さんは毎年講義をしていただいているのですが、

福岡大学は70歳以上の外部講師の起用に非常に

厳しくなり、講師として来ていただくことが厳しく

なっているのです。

 

日本企業も日本の大学も、一律に年齢で解雇します。

素晴らしい技術と熱意・経験を持った人は特例で

使えるようにしたらよいのにと思います。

 

角田さんは日本の産地を守る意識が強いので、

熱心に誘ってくる中国には行かれませんでした。

しかし、企業がシニアの技術者をきちんと処遇しない

ので、かなりの技術が流出しました。

このままでよいのでしょうか?

危ないですよ~