今回は、「天神ビッグバンの需要不足を補うもの」
というお話です。
※ 福岡市役所のサイトから引用
木曜日の朝のラジオで天神ビッグバン構想の期間延長
についてお話をしましたが、福岡市以外の人には、
天神ビッグバンって何のこと?だと思うので、簡単に
説明しておきます。
天神ビッグバンとは福岡市の天神交差点から半径
500メートル圏内にあるビルの建て替えを促進する
計画のことです。
耐震性の高いインテリジェントビルに建替える
場合には、航空法に基づく建物の高さ制限を緩和
したり、市役所独自の政策として容積率を緩和したり
することによって、古いビルの立て直しを促すのです。
ビルの高さは最大約115メートル、容積率は最大
1400%まで認められます。市役所の発表によると、
計画完了後は、この地区のビルの延べ床面積は
1.7倍、働く人の数は2.4倍になるとのこと。
但し、締切りがありまして、2024年末までにビルが
完成する必要があります。
この天神ビッグバンという構想、コロナがはやる前の
2015年に計画されたもので、床面積を増やしても、
東京の企業や外資系企業がやってくるという不思議な
前提に立っている計画です。
私は、元々、これだけの床を埋めることは不可能だと
思っていました。博多湾岸、竹下の青果市場跡、
箱崎の九大跡地など、複数の再開発が同時に行われる
だけでなく、福岡市の人口増加がもうすぐ止るからです。
そして、コロナの蔓延です。
マイナス要因を整理してみますと、以下のとおりです。
1.金融機関のIT化により金融機関支店の統廃合が
加速し、必要とする床面積が大幅に縮小する
2.コロナによりシニア層にまでネット通販の利用が
浸透し、小売店の売り上げの減少が見込まれる
(高い家賃が払えません)
3.働く世代の減少がまもなく始まり、オフィス
面積の縮小が見込まれる。
4.インバウンド需要が激減し、当面、ホテルは
過剰となる。
5.竹下青果市場跡、箱崎九大跡等での再開発が
同時並行に行われ床の供給が過剰となる。
そこにコロナによる大きな変化がもたらされました。
6.リモートワークが一定程度、普及し、オフィスの
縮小が始まる
7.出張者が減り、ビジネスユースのホテルの需要が、
今後、継続して減少する
8.消費者が、無意識に「密」を避ける行動様式が
定着し、飲食店などの売り上げが減少する
一方、プラス要因もありまして、
1.ソーシャルディスタンスを取る必要があるため、
社員が同数の場合、より広い面積が必要となる。
2.東京の上場企業が本社機能の一部を地方に移転
する可能性がある。
3.香港の金融機能やアジア統括機能が、福岡に
移ってくる可能性がほんの少しある。
こう考えると、立ち止って構想を再検討する方が
良いと思うのですが、市役所はコロナ対応をした
ビルについてはさらに容積率をアップするなど、
方向性は変えないようです。
すでに天神ビジネスセンタービルは建設中で、
だいぶ出来上がってきましたので、完成後に床が
埋まるのかどうかは一種の賭けと言えるでしょう。
噂では、坪3万円の賃料ということですが、東京の
ビジネス地区の平均賃料は坪23,000円です。
果たしてどんなテナントが入るのでしょうか。
これから、建物を壊すビルについては、2022年末
までに計画概要を市役所に提出すれば、建物の
完成期限を2026年12月末までに延長できることと
なりました。
多くの企業は、実質的に練り直しでしょう。コロナ
後のオフィス需要の動きを見てから再検討という
ことになるのでしょうね。
東京の不動産情報ツウによると、渋谷駅周辺の
新しいビルのオフィス需要が急速に落ち込んで
いるそうで、入居企業も賃貸面積を減らす動きが
目立つとのことです。
天神ビッグバンには成功してもらいたいと思います。
働く人が倍になると、ある程度の所得のある人が
数千名単位で福岡市に引っ越してくるからです。
成功するかどうかのポイントの一つは、東京にある
企業の本社機能の一部移転先となるのかどうかです。
東京の上場企業の本社幹部がどう考えているのか?
特に、コロナ後に考え方がどのように変化したのか?
藻谷さんの予測では、結局、大部分の日本企業は
そのまま東京にいるとの予測ですが、2%程度は
動くだろとのこと。直感レベルの予測ですが、彼の
予測はよく当たります。
そうなると人口では70万人に相当します。
そのうちの何割が福岡市に来るのか。
私が知りたいのは、東京の人がミニ東京のような
天神や博多駅周辺の、東京ならどこにでもあるような
ビルに引っ越してきたいかどうかです。
しかも、人口100万人当たりのコロナ陽性者数は、
福岡市は東京23区に次ぐ全国第二位。
また、実際に社員が引っ越すことまで考えると、
良い学校がどくくらいあるのかとかまで考えます。
そう簡単なことではありません。
なお、株式会社パソナグループは、東京の本部で
行ってきた人事・財務経理・経営企画・新規事業開発
などの本社機能を、兵庫県淡路島の拠点に分散する
ことを公表しました。
9月から段階的に移転するそうで、2023年度末
までに、本部機能社員約1800名中、約1200名が
淡路島に移動するとのこと。
果たして、このような動きがこれからの主流となるか、
それとも政令市レベルの都市に本社機能を移すのか。
私には何とも予想ができませんが、出来れば、福岡市に
大企業のオフィスが続々と引っ越してくると良いですね。
長くなりましたので、続きは次回に。