今回も、九州大学など他大学の学生さんとの議論の

中で感じたことで、福岡市役所は観光行政の戦略を

大転換するチャンスが来ているのです。

 

最初に、福岡の「食の強み」を活かしてアメリカや

ヨーロッパの人に来てもらうためにどうしたら

よいかということですが、最初にすべきことは

「もっと調査する」ということです。

 

データがないと「こうしたらよいのではないか」

との仮説すら立てられませんが、武漢コロナの影響

により、今後数カ月はヨーロッパやアメリカから

福岡への観光客の流入が止まります。そうなると、

調査するにも一苦労です。

 

そこで、学生さんには、この問題をさらに追及する

のならば、一人当たりの観光消費額が多い国の人で

福岡・九州に住んでいる人に接触して、福岡・九州の

食や観光地に魅力はあるのかインタビューして

みることを奨めました。

 

ただ、福岡・九州が好きで住み着いている人が多い

と思われますので、これらの人々の意見が全体の

意見ではない可能性が大きいことを意識して

おかねばなりません。

 

武漢コロナの影響が落ち着いてからは、顧客にする

と狙いを定めた国で観光事業に携わっている人を、

旅費などを福岡市役所や福岡県庁が負担して、

福岡・九州に来てもらい、意見を聞くことを

繰り返さなくてはなりません。

 

また、誘致に関係する日本人も、狙いを定めた国を

旅してみるということも欠かせません。相手への

理解なくして人を呼ぼうと思うこと自体がかなり

無理があります。

 

学生さんたちが今後も観光事業にかかわろうと

思うなら、どこでもよいのでまずは一か国を旅して

もらいたいですね~

 

次の質問が、「福岡市が欧米豪からのインバウンド

受け入れのために解決すべきと考える点が食分野

以外にあったら教えて欲しい」というものでした。

 

これは、割と明快に答えられます。

ヨーロッパやアメリカ、さらには中国の旅慣れた方

たちは、クルーズ船の客でごった返す太宰府天満宮

のような場所は好みません(私も行きません)。

 

福岡市役所が行うべきは、

戦術の研究ではなく、戦略の転換です。

 

現在、福岡市役所はクルーズ船や格安航空会社

(LCC)でやってくる所得の低い中国人観光客の

数を増やすことを戦略としています。特にクルーズ

船の誘致に力を入れていましたが、クルーズ船の

客を増やすことと富裕層の客を増やそうとする

ことは同時には成り立たない戦略です。

 

幸い、武漢コロナ問題により、クルーズ船のリスク

が少しは一般の方にも知れてきました。地元経済に

はクルーズ船の経済的利益は、殆どありませんので、

方針を大転換すべきです。

 

目標とすべき指標は、目的とする国から来た人の

延べ宿泊数、さらには消費額の合計(できれば地元

経済に落ちた金額)にすべきです。

これには定期的な調査が必要です。

 

福岡市長はクルーズ船の日帰り乗客の増加が

非常に重要との立場ですので、簡単には戦略転換が

できないはずですが、武漢コロナ問題が発生です。

これを利用して、クルーズ船の誘致政策を転換する

と言えばよいのです。

 

1年もすると、また中国からクルーズ船がやって

きかねません。そうなると、戦略転換は難しく

なります。また同じことの繰り返しとなりますので、

この一年内に大きく政策転換すべきだと思います。

 

この戦略転嫁がないのなら、アメリカやヨーロッパ

の人々を誘致しようとしても、すぐ限界にぶつかる

でしょう。

 

「戦術は戦略に如かず。」

 

戦略が間違っていたら、戦場で将兵が優秀な戦術で

勇戦敢闘しても、戦いには勝てません。

 

この禍を奇貨として、

福岡市の観光戦略を大転換すべきタイミングだと

感じます。