今回は、なかなか広がらない福岡市の実態のお話です。
※私の講演を何度も聞いている方はスルーしてください。
久しぶりに福岡市内で企業向けの講演をしたのですが、
「福岡市はこれからも若者が増え続けていく」
と思い込んでいる人ばかりでした。
昨年、福岡市を礼賛する本が相次いで出版されました。
「福岡市は地方経済最強」というデマが書かれた本ですが、
それがある程度は売れました。今も本屋に並んでいます。
福岡市長が福岡は凄いと強調することも相まって、
福岡市は成長し続けると錯覚していた経済界の人たちの
思い込みがさらに強化されています。
福岡市内では10年以上前から、藻谷浩介さんが
講演のたびに、「福岡市の人口の伸びは止まる。
高齢者が増え続ける大変な状況になる」
と訴え続けておらえましたが、まるで広まりません。
私も、藻谷さんと同様にこの5年間、
福岡市の人口の実態を講演で話し続けてきましたが、
ますます思い込みが強化されていると感じています。
昨日講演をしながら、
このままではやはりまずいなど思いました。
福岡市役所の政府も手を打たないのですが、
企業ができることが沢山あります。
ところが、福岡市は良か!と企業人が思い込んでいれば、
自社でもできることが実行されないのです。
それで、最近は福岡市の婚姻数や出生数の減少の話しか
書いていなかったことを反省しまして、久しぶりに
福岡市の人口の今後の見通しを書いておこうと思います。
昨日の講演で話したのが、福岡市が昨年からの一年間で
人口が1万人増えたということについてです。
確かに1万人増加していますが、参加者の皆さん、
若者が増えているのだと思い込んでおられました。
確かに若者の減少まだ始まってはいませんが、
1万人のうち76%は65歳以上の増加ですと話すと、
ビックリされておられました。大半は若者の増加と
思い込んでおられたのです。
このように福岡市民が思い込んでいることについては、
マスコミの報道姿勢が大きく影響しています。
福岡市役所を忖度しているのか、それとも記者が、
全く気が付いていないのかはわかりませんが。
7月11日の西日本新聞の「福岡市の人口1万人増加」
などの記事が典型例です。
テレビも同じスタンスでの報道でした。
その西日本新聞の記事の中で、
「福岡市はJR博多駅周辺や天神地区の再開発に伴い、
企業誘致や創業が活発化。」と書いてあるのですが、
天神地区や博多駅地区の再開発は始まったばかりで、
新しく完成したビルはまだ一つもありません。
雇用を増やすのはまだ先のことです。
この記事は続けて
「九州の大学・短大・専門学校のうち
約2割が集積し若者が流入したことも
人口増を後押しした。」
と不思議な解説をしています。
福岡市に大学が集積しているのは昔からのことで
新設の大学ができたわけではありませんし、
九州大学は糸島市との境に移転しました。
マイナス要因です。
政府統計を基に世代ごとの変化を表にしてみました。
増加1万人のうち、65歳以上の人が76%です。
「人口は1万人増えたが、65歳以上が約7600人」
と報道すべきでしょう。
年少人口のうち、0~4歳人口は851人も減少しています。
「人口は1万人増えたが、少子化対策が急務」
と報道するべきです。
こうなった原因は、日本全体の中で
福岡市が遅れて高齢化しているだけのことです。
これから働く世代が減り、高齢者が増え続けます。
2015年と2045年を比較すると以下の表になります。
2045年はあと25年ほどでやってきますが、
福岡市は最強と言われるような人口構成ではありません。
最強と言われたいなら、若者の数はもちろんですが、
社会を支える40歳前後が増えなくてはなりません。
これから消費を支える40歳代前後が急減します。
これでは家や車はますます売れません。
これからも地方経済最強などといえるでしょうか。
この表、是非、じっくり見てください。
そう遠くないうちに、福岡市の人口増加は終わり、
横ばいになります。その中身は、65歳以上が増加し、
それ以外の世代は減少しているという中身になります。
いまなら、まだ打つ手はいくらでもあるのですが、
福岡市は地方経済最強というデマが広まっているので、
福岡市役所も経済界も打つべき手を打っていない状態です。
何とも残念です。
次回以降、もう少し詳しく書いてまいります。