回は、藻谷浩介さんをリーダーとする不思議なシンガポール視察旅行で見聞したことの5回目となります。今回は、日本食や日本の食材についてです。

 

二日目は、最初に明治屋とドンキ・ホーテを見て回りました。日本の食品がどの様に売られているのか、日本資本のショッピングセンターがどの様に展開しているのかということを見るためです。

 

明治屋は、日本にある明治屋よりもずっと規模が大きいのですが、客層は日本の駐在員さんです。それで、午前10時過ぎに伺ったのですが、駐在員の奥様らしき若くておしゃれな女性が買い物をしておられました。日本の果物や野菜、さなか、調味料、すべてそろっています。八女茶も置いてありました。

 

日本から梨が空輸されていまして、1個が960円でした。青森のミニトマトは1パックが1000円でした。かなり高いですが、輸送費を引いた場合、生産農家はこれでどのくらい儲けているのでしょうか。福岡の久原本家のだしも売られていまして、こちらは値下げしてあり480円とのこと。地元企業が頑張っている姿を見るのは嬉しいですね。

 

一方、ドンキ・ホーテは日本とはかなり違う品ぞろえでした。藻谷さんの説明によると、もともとドンキ・ホーテは、海外進出はしない方針だったそうですが、海外に出るなら品ぞろえを変えてみようということで、日本食のお弁当やお寿司の持ち帰りを中心としたお店として出店しているそうで、すでに3店舗でているとのこと。

どれも現地の人に人気だそうで、日本で見かけるようなハンバーグ弁当だとか同じようなお弁当が売られていました。お客さんは現地の人が多かったです。

 

コンビニはセブンイレブンが進出していますが、日本のお店と比べると半分以下の広さです。そこでもおにぎりが売られていまして、結構な人気です。種類は四種類ほどでしょうか。

私も買って食べてみましたが、ノリは日本とほぼ同じで、具も似たようなものでしたが、ご飯は日本のコメと違ってぱさぱさした現地のお米でした。食べていると、お米が床にこぼれるのには閉口しましたが、結構いけます。

 

A君からも「日本食のレストランはどんどん増えているよ。」と聞かされていたのですが、一般庶民の食べ物としても、日本食が一定の地位を占めつつあるのではないかと感じました。

その理由の一つは、日本への旅行者の多さでしょうか。シンガポールの人口は564万人ですが、移民などを除くシンガポール人は399万人です。2018年の日本への入国者数は438065人ですので、10人に一人が日本に来ていることとなります。これだけ多くの人が日本に毎年来ているのですから、日本食が浸透するのだろうなと思いました。

 

このような状況ですと、日本企業や日本のお店らしく見せる企業が出てくるのだそうで、このお店もそうだと教えられました。「奈雪の茶」というお店です。

藻谷さんに教えられていなければ、「日本の会社だ。嬉しいね。」と思っていたでしょうね。私は知りませんでしたが、中国では中国茶の専門店として人気のお店だそうです。日本も欧米のお店に似たような店づくりをしているところもあるので、文句は言えません。

 

このようなシンガポールでの日本食の定着・拡大が、日本の生産農家の利益につながるような流れになっているとよいですね。到着した日にA君に案内された和食店は日本から魚を空輸していましたので、日本の漁師さんや漁協さんの利益につながっていると思います。

A君の話によると、佐賀牛や宮崎牛がシンガポールでも大人気だとのこと。和牛は生き物ですので、生産拡大に時間がかかりますし、和牛の凍結受精卵が盗まれてしまったので、WAGYUというオーストラリア産のライバルもいます。

このような動きも気にしつつ、日本の農家の売り上げ拡大につながるように常に努力をしていかねばならないと思いました。