今日は授業の準備のために作っていた、東京都の人口の推移のお話です。国立社会保障研究所の2018年推計に基づき作図をしています。東京都の高齢者増加問題を教えるために作っていたのですが、色々と考えされられるとことがありました。

 

まず、東京都の人口構成の特徴が、福岡市と非常に似ていることです。どちらも合計特殊出生率が非常に低い子供の生まれない町ですが、18歳から20代前半にかけて全国各地から若者が進学や就職のために東京に集まってくるので、社会増で人口が増えます。また、これから団塊の世代が70歳以上になり高齢者の増加が深刻な課題となりますが、人口のピークは団塊ジュニアにあり、高齢者の増加は2060年頃までは続きます。福岡市と東京は、若者を吸い込み、再生産があまりなされないという点で双子のように似ています。

 


そして、東京都は2045年には以下の図のように、二つの平らな山の頂を持つ独特の構造となります。

 

 

高齢者の増加を見てみると、以下のように増加し続けるのですが、福岡市の高齢者の増加の方がもっと激しいのにはちょっとビックリでした。

■ 東京都の高齢者人口の推移


 

■ 福岡市の高齢者人口の推移


 

東京都の人口構成を2015年と2045年で比べてみると、以下のグラフのようになります。


 

そして、東京都の総人口は2013年推計では1230万人でしたが、2018年推計では1360万人とほぼ横ばいを続ける予測になっていました。これは良いことでではあるのですが、東京への集中は一向に止まらないということになります。

2040年の人口構造の予測ですが、2013年推計では、2015年と比べて働く世代の数も若年人口も大幅に減るという予想だったのですが、2018年推計では、働く世代も横ばいから微減ですし、若年人口も働く世代の数が維持されるために、2013年推計よりも増えて、かつ横ばいとなりました。ということは、東京では引き続き、子供や若者向けのビジネスが成り立つこととなります。

 

他の都市は2013年推計と2018年推計があまり違わないのですが、東京都はだいぶ良い方向に変わりました。それでも高齢化問題は深刻ですし、東京都が高齢化対策にお金が必要となり、地方交付税交付金の不交付団体が減れば、その分、確実に地方の自治体に回ってくる交付税交付金は減ります。東京の人口動向についても注意を払わないといけませんね。