おそらくご訪問を受けた被災地の人々は実感すると思うが、津波に襲われて瓦礫の山になっている現場で深々と頭を下げて黙祷をされる両陛下、避難所の一人ひとりに膝をついて声を掛けられる両陛下、このように政治家のパフォーマンスとは次元の違う、真の親族のような心遣いで自分たちのことを気遣ってくださる両陛下のご存在は何と有難いことだろうか。
 被災者たちはなんで自分たちがこんな目に遭わなければならないのかと、心は打ちひしがれているはずである。
 救援物資も必要だがなにより、心が塞いでいるはずである。
 そこへ、両陛下からの慈愛に満ちた心からの気遣いのお言葉を掛けられれば、どれだけ救われることだろう。 両陛下は自分たちの気持ちをわかってくださる。
 膝をついてお言葉を賜ったことは、どんなに勇気を与えられることだろう。
 日本の先人たちは皇室という、世界にも珍しい、純粋に国民や世界の平和を祈り続けるシステムを構築し、これを続けてきた。
 ころころと頻繁に代わる総理大臣ではこの役目無理である。
 罵倒されるくらいである。
 2000年を越える無私の祈りに徹した伝統の中で培われた皇室の威光というものがある。
 両陛下の背後にはそれがある。
 両陛下を拝した被災者の人々は如実にそれを感じて感激するのだろう。
 皇室の仕事としての宮中祭祀はあまり国民に知られていない。
 正月元旦早朝から年間通じてぴっちりと組み込まれた宮中祭祀を通じて真剣にお祈りをされていることが、天皇陛下の最も重要な仕事だということを、国民はよく知らない。
 世界史を通じて奇蹟のような尊い御存在であることを日本人は外国人よりも知らなかったりするので、これは何とかしなければならない。
 説明できないくらいありがたいことなのである。