D&AD 2012 Report 、その3。 | 福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba

D&AD 2012 Report 、その3。

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D&ADのDIgitalには3つのカテゴリーがあります。
Digital Advertising
Digital Design
Mobile Marketing

Digital領域での広告表現の新しさを見るDigital Ad。
そのなかで進化/拡大が著しいモバイルに特化して
そのマーケティング手法を見ていくのがMobile Marketing。
Adという領域にとどまらないあらゆる領域のDigital表現を
対象とするのがDigital Design。

今回、フクダやライゾマの真鍋君が一緒に担当したのが
Digital Designでした。

企業や団体がさまざまな形でコミュニケーションを図る時代にあって
それがいわゆるAd的なものなのかどうかはどうでもいい時代。
Adカテゴリーが拾いにくい
あるいは、Adと同列に並べて評価していくことが難しい領域の
Digital Creativeの可能性を広く見ていくことがその役割です。

[Websites]
Websites and microsites for utility, entertainment and community
[Digital Design]
This Category celebrates development in digital. It welcomes design solutions that serve commercial purposes through providing utility or entertainment, for example, tools, apps, site features, ebooks and other digital publications, etc.
[Animation for Websites & Digital Design]
Animation that is integral to the design of a website or a piece of digital design.
[Graphic Design for Websites & Digital Design]
The graphic design of, or appearing on, a website or a piece of digital design.
[Interface & Navigation for Websites & Digitale Design]
The interface and navigation design of a website or a piece of digital design.
[Sound Design & Use of Music for Websites & Digital Design]
Sound design and/or use of music that enhances or is integral to a website, or a piece of digital design.

[Website]では
キャンペーンサイト以外のコーポレート系やメディア系、サービス系
などあらゆるサイトが対象となりその新しさが競われます。
[Digital Design]では
ツールやアプリ、ebooksやデジタル出版物などの多様な形で進化する
デジタル表現物が対象となりその新しさが競われます。
[Animation for Websites & Digital Design]では
ウェブサイトやDigital表現物における
アニメーション表現の新しさが競われます。
[Graphic Design for Websites & Digital Design]では
Graphic Desgnという視点から
ウェブサイトやDigital表現物を評価します。
[Interface & Navigation for Websites & Digitale Design]では
InterfaceとNavigationという視点での
デザインイノベーションが競われます。
[Sound Design & Use of Music for Websites & Digital Design]では
Sound Designという視点から
ウェブサイトやDigital表現物を評価します。

Adのカテゴリーとかぶるところはありながらも
Adという枠組みとモノサシでは評価しきれない
多様なDigital Design体験のあり方が議論されます。

今年の審査で審査メンバーの高い評価を得ていたのが
Hondaの「Dots」「Connecting Lifeline」という
どちらもカーナビデータのビジュアライズをテーマとした
2つのプロジェクトでした。
カーナビシステムがサーバーに蓄積していく
膨大なクルマ移動データに光をあて
美しくデザインされたインターフェースに落とし込み
価値の高い企業コンテンツへの昇華させている「Dots」。
そして、3.11の震災時に
クルマの移動情報から通行可能な道の情報をライブに提供し、
被災地救助に大きな役割を果たした「Lifeline」。
どちらもサーバーデータのビジュアライズをテーマとしながら
その高いデザイン性と
企業活動としてのユニークネス、社会性など
いろいろな面で評価を得るプロジェクトとなっていました。

Tram Sightseeing Appも評価が高かった。
路面電車サービス価値を高めるツールとして開発されたアプリ。
沿道の観光ガイド的役割を果たしつつ
リアルタイムの乗り換え情報を提供する便利アプリとしても
よく練り込まれ、クレバーにデザインされていたところが
大きな評価のポイントでした。
Digital DesignだけでなくInterface&Navigationにおいても
審査員の支持を得ていました。

3LiveShopはネットショップのイノベーション。
有人対応のオンライン販売というユニークなビジネスモデルと
それを支えるすすんだインターフェース技術が面白い。
デジタル技術をふんだんに盛り込んだ接客インターフェースは
近未来的であると同時に
とてもわかりやすく&伝わりやすいデザインになっていて
次のネットコマースのあり方に
確実に影響を与えていくことになりそうな事例です。

Sound Design & Use of Musicで評価された
Phillips Obsessed with Soundは、
ユニークな音楽コンテンツ。
オーケストラ演奏という伝統的音楽コンテンツを題材に
最新のデジタル技術の力を借りて
全体演奏と個別パート演奏を行ったり来たりできるような
これまでとは違うユニークかつ美しい体験に仕上がっています。
Interface&Navigationでも好評でした。

Pearl GTL Interactive Modelは
Yellow Pencilにはなりませんでしたが
石油プラントのプレゼンテーションというテーマで
高いクリエイティブを実現したユニークな事例でした。
BtoBという領域にも
効果的かつ高度なDegital Designの可能性があることを
感じさせてくれました。

ホンダ以外の日本からのエントリーでは、
Uniqlo NYC Nowがin Book。
かなり時間をかけて密な議論がされました。
Uniqlo Brandが展開してきたDigital Designのレベルの高さは
全員が認めるところでありつつ、
これまでたくさんの賞を受賞してきたクリエイティブに比して
抜きん出るほどの新しさがあるわけではない
ということがIn Bookで留まった理由です。

Museum of Meは審査メンバーの評価に
もっともばらつきが激しかった。
そのエグゼキューションの素晴らしさに
最上級の賛辞をおくる審査員もいれば、
扱っているテーマは
ソーシャルメディア情報のビジュアライズという
さんざんやられてきたネタだ、とか
Intelブランドとの結びつきが希薄だ、とか
冷淡なコメントをする審査員もいて
その議論が大きく割れていました。
最終的にNominationで留まったのは
そのあたりが影響した結果です。

コンタクトレンズのブランディングコンテンツ「Magic」は
コンタクトレンズという日常商材をテーマに
美しくキュートにデザインされた仕事になっていることや
そのイモーショナルな表現の魅力が高く評価され
Yellow Pencilの手前まであがっていました。

D&ADが支えてきた伝統的デザイン文脈に
時代的Digitalの力がもたらす
Designの近未来、次の形、進化のあり方。
部門や審査のあり方に試行錯誤を続けながら
このカテゴリーは
D&ADにとって重要なエリアとなっていくのだと思います。

なお、
Black Pencilの発表は、9月の贈賞式で行われます。