その情報は、情報価値がないから流通しない−11 | 福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba

その情報は、情報価値がないから流通しない−11

「その情報は、情報価値がないから流通しない」
というテーマで書き始めたら
なにやらいろいろ書きたくなって
止まらなくなってきました。
このエントリーは、その第10回の内容です。

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福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba-oneshow10

NYのOne Showが
ついさきごろ
2010年を締めくくるものとして
Best of the Digital Decadeというランキングを発表した。
この10年を振り返り
激動の時代を代表するベスト10を選ぼうという試みだ。

その並びを見てみると
メディア環境や時代環境の変化とともに
クリエーターや広告主が
広告の情報価値のあり方を
どう考えてきたか。
それがどう変化してきたかがよく見えて面白い。

BMW FILMS。
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2001年頃からスタートし
世界中の広告マンたちをたまげさせた広告キャンペーン。
TVCMのメディア購入費を
ネットの仕組みと映像制作のお金にあて
CMとは異なる4分~5分といった長尺ネット映像で
ブランディングをするという画期的試み。
今でこそ、ネット映像でブランディングすることなど
珍しくもないが、
まだ一般家庭の回線環境が整っていなかったその時代に
この挑戦がなされたことは
かなり大きな驚きだった。

BMWのブランドタグライン「Driving Pleasure」。
BMWというブランドは
「走る喜び」を最高の形で実現するブランドであり
それを実現する最高のマシンを生み出しつづけることが
BMWブランドの役割であり約束である。

時代的課題は
「走る喜びを最高のかたちで実現するブランド」という
ブランドのコアな価値を
TVCMがリアリティをもって伝えられなくなってきたこと、
だったんだと思う。
さまざまな法的規制から
究極のドライビングプレジャーを伝える映像を
TVCMが流せなくなってきたこと。
そう、
TVCMというメディアで流れる広告に
情報価値を見いだしにくくなってきた
ということだったんだと思う。

映画的コンテンツにおけるブランドの情報価値を
007映画を通じて試してきたBMWさんは
次のステップとして、
自ら映画文脈の広告映像を制作し
それをネット上の映画館で流すという新たな手法で
時代的情報価値を高めることに挑戦する。
それが、BMW FILMS。

超一流の映画監督が指名され
超一流の映画スタッフが集められ
超一流のスタントドライバーが雇われ
1本単価5億とも6億ともいわれた映像が
つぎつぎに生み出されていった。
それは、広告映像でありながら
何度も繰り返し見たくなる
価値の高い広告映像だった。

自分たちの広告映像が高い情報価値をもちにくくなった
と判断したら
それまでどっぷりつきあってきたメディアから
ドラスティックに足場を変えて
より情報価値の高い広告活動に移行する。
8、9年前にこんな思いきったことを
しかも大胆にやって見せたことは
本当に勇気のいることであったと思うし
すんごいことだったと思う。

こころから。

(つづく)