その情報は、情報価値がないから流通しない−7 | 福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba

その情報は、情報価値がないから流通しない−7

「その情報は、情報価値がないから流通しない」
というテーマで書き始めたら
なにやらいろいろ書きたくなって
止まらなくなってきました。
このエントリーは、その第8回の内容です。

すみません。前回。
7回から9回に
シリーズ番号をスキップさせてしまったので
今回を第8回とします。

ーーーーー

2009年のカンヌで高い評価を得た
「The Best Job in the World」というプロジェクト。

この仕事は
情報価値の意味をたくさん考えさせられる仕事でした。



オーストラリアを代表する観光デスティネーション
グレートバリアリーフ。
このキャンペーンは、
この著名な観光地への注目を集め、
集客を促進することが目的でした。

Create international awareness of the islands of the Great Barrier Leaf.

紹介ビデオでも書かれていたブリーフィング内容。
それは、
どこの政府観光局においても行われてきた
きわめて一般的な内容です。
ハワイ政府観光局も、タイ観光局も、タヒチ政府観光局も、
どこの観光局においても
共通に行われて来たであろう内容。

そのオリエンに対して
このキャンペーンが提案した内容が
The Best Job in the Worldという求人広告をする
というものでした。

グレートバリアリーフの素晴らしさは
みんなよく知っている。
TVの旅番組でもたびたび登場し、
地球を代表する珊瑚の楽園であることもよくわかっている。
みんな美しい!!!って思ってる。
ネットで検索をかければ
美しい海の写真が山のように出てくる。

福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba-g8

このキャンペーンのポイントは、
どんなにいいカメラマンが撮った美しい写真をつかって
どんなに優秀なコピーライターが書いた優れたコピーをもって
このデスティネーションの素晴らしさを説いても
その広告情報に
それほど情報価値が高まることにはならない
って考えたことなんですね。

同時に、PR視点で考えると、
グレートバリアリーフの海は世界一美しいってことを伝える
キャンペーン情報は
記者さんや編集者さんにとっても
情報価値が高くないから
記事になる可能性も低い。

The Best Job in the World。
世界一うらやましい仕事の求人広告をやる。
という活動に変換されると、
とてもユニークな広報活動として
TVネタになり新聞ネタになる。
リーマンショック以降
世界的に失業の波が押し寄せているという
時代背景の計算もすばらしい。

広告の現場で
日夜、いい広告の設計を
デザイン面から
あるいはコピー面から
考え続けてきた僕たちにとって、
既存の表現お作法の枠を飛び越えた
考え方にジャンプするのは
なかなか難しい。

でも、
今の時代、
情報価値を高めることに
シンプルに向き合い
そのソリューションを探っていけば
こんなみごとな価値変換もできる。

この仕事は、そんなことを教えてくれています。

(つづく)