スクリーンの光が、彼の頬を断片的に照らす。
 私は視線を前に向けながら、横顔を盗み見る。肘掛けの下で、彼の手が私の手首に触れ、ゆっくり滑って膝の上に置かれた。

 「……何」
 答えはなく、代わりに指先が太腿をなぞる。布越しでもわかる、熱を帯びたタッチ。

 音響の重低音が腹の奥を揺らすたび、彼の手もじわじわと内側へ。
 肌の薄いところを通るとき、爪の先がかすかに引っかかって、ぞくっとする。

 「やめ…」小さく言ってみる。
 「ほんとに?」と唇が耳にかかり、熱い息が頬を撫でた瞬間、反射的に肩が震えた。

 スクリーンで雷が光る。
 その音に紛れて、指がスカートの裾を持ち上げ、中へ滑り込む。
 膝の奥までくると、下着のラインをなぞられ、呼吸が浅くなる。

 「足、閉じないの?」
 わずかに開いた私の太腿の間に、指が差し込まれる。
 濡れた布が押し込まれ、そこからじゅわっと熱が広がった。

 「……もうこんなに」
 小声に背骨が反応する。布地をずらされ、直接、指腹が柔らかいところを押し分けた。
 触れられた瞬間、頭の中で火花が散るみたいに視界が白くなる。

 「っ…あ」声が漏れそうになり、慌てて唇を噛む。
 映画のBGMが高まり、場面の緊迫感と自分の呼吸が同じリズムになる。

 「バレたらどうする」
 挑発と同時に、指がぐっと奥まで入り込む。
 そこを小さく円を描くように撫でられ、腰がシートに沈み込む。

 クライマックスの爆音。
 それに合わせて、奥を押し上げられるたび、熱が弾けそうになる。

 「……いく?」
 短い問いに答えられないまま、波が押し寄せた。
 全身が強張り、次の瞬間、力が抜けてシートに沈む。

 布の中で、ゆるく脈打つ自分の感覚が恥ずかしい。
 太腿の付け根まで濡れが広がり、下着が冷え始めるのがわかる。

 彼の指がゆっくり抜ける。
 その指先を、彼は膝の上で一瞬だけ握り込む。粘つく感触がはっきり伝わる。

 エンドロールが流れ、館内がうっすら明るくなる。
 彼は立ち上がりざま、私の腰に軽く手を添え、耳元で囁く。
 「……帰ったら、もっと奥まで」

 その言葉だけで、まだ収まらない熱がまた燃え上がった。