結局、年末年始やお盆の長期休暇以外で
僕が彼女の実家に行くことはほとんどなかった。
その代わり月に一度の頻度で
3人で暮らしていたこの家に帰ってきた。
いらっしゃい。
と、皮肉まじりに出迎えることが
僕が今の生活に納得できていないという意思表示だった。
とはいえ、月に一度の家族の時間は楽しかった。
土曜日の夜に帰ってきても、日曜日の夕方には実家へ送り届けないといけない。
翌日には娘を幼稚園に通わせないといけないからだ。
その為、僕たち家族で過ごす時間は
あっという間に終わってしまう。
僕にとっては、その少ない時間だけが
唯一家族と実感できる時間となっていた。
しかし、僕の思いとは裏腹に娘はこう尋ねてくる。
ねぇねぇ。明日何時に送ってくれるの?
それを聞く度に僕は悲しくなった。
娘にとっては、僕との時間よりも
実家で同居している姪っ子と遊ぶ時間の方が楽しかったのだろう。
そしていつも、彼女と娘を送り届けた後の帰りの車中は
なんともいえない虚無感に襲われていた。
こんな結婚生活に意味はあるのだろうか。
いつの日からか、彼女たちが帰ってくることを拒むようになっていた。