(オガタマノキ:花は薄い黄色で、バナナの香りが強くバナナの木とも呼ばれています。)

今日はまだ五月の中旬というのに30度を超える暑さで、熱中症の患者さんも多くなると危惧されるほどでした。

小生の医院に通ってくれている子のお母さんから聞いた話をします。その子は小学3年生のかわいい女の子です。性格も優しく笑顔がとてもステキで、勉強もよくできます。以前からとてもほしかったキャラクターの図柄のプリントされた鉛筆を買ってもらいました。意気揚々と筆箱に入れ、当然、落としてもわかるように自分の名前もしっかりと鉛筆に書いて学校に持って行ったそうです。

ある時、大事にしていた鉛筆の何本かが筆箱からなくなっていたそうです。教室のどこかに落とした記憶はその子にはなかったそうです。ある時ふと近くにいるA子ちゃんの筆箱に自分の名前の書いてある鉛筆を見つけたそうです。でもその子は自分の鉛筆をA子ちゃんに盗られてしまったことはすぐに分かったそうですが、あえて自分の鉛筆だから返してとは言わなかったそうです。

後で、お母さんがなぜそのとき「人のものを黙って盗るなんてだめでしょ。私に返して」って言わなかったのって聞いたそうです。その時帰ってきた答えは「だって、A子ちゃんが盗ったってわかったら、だれも友達がいなくなるでしょ」と答えたそうです。

この歳でA子ちゃんが人のものを盗んだことが広まったら、だれもA子ちゃんを友達として見てくれなくなるし、いじめや無視の対象としてクラスからのけ者にされることが推測されたと同時に、自分は十分な親の愛情に包まれ、多くの友人に恵まれていることを十分に承知していたのだと思います。小さい頃から「足るを知る」子はいるものだと感心しました。