ウォン・カーウァイ制作・監督・脚本、レスリー・チャン、トニー・レオン主演の映画。1997年作。第50回カンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞。日本公開は、1997(香港返還の年),2018,2022年。私はGEOレンタルで。UーNEXTでも見られるらしい。
(私個人的に香港は嫌いだけど)香港を舞台にたくさん撮ってきた監督、ウォン・カーウァイ。トニーとも何度も組んでいる。「恋する惑星」はポップだったし、「花様年華」もよかったが・・・。これはいわゆるLGBTQ作品である。


ついたり離れたりしながら長くつきあってきたカップル、ウィン(レスリー)とファイ(トニー)は、香港からアルゼンチンに「やり直すために」やってきた。しかし、イグアスの滝を見るためにおんぼろ車を買って出かけたのはいいが、道に迷ってしまった。(人生に迷ってるんじゃないのとも思えた)ふたりはお決まりの喧嘩。


ナレーションはファイの独白。ファイはこれで別れると思っても、ウィンの「やり直そう」という魔法の言葉でついついほだされてしまう。


はいはい、綺麗な日本BLとは違い、彼らが怒鳴り合ったり力づくで何かするのは迫力が違う。この作品の性格づけでは、ウィンが攻めでファイが受けらしい。

ウィンが買ったお土産品のライトは、お盆の絵灯篭のように、中の筒が回ると滝の絵に水が流れ落ちているように見え、ファイも気に入った。
そんなライトのある小汚い風呂なし台所共同のアパートで暮らすファイ。金銭感覚のないウィンはお金を使い果たしたらしい。どうやらその旅資金も、ファイが香港で働いていた会社(父の友人が経営)からちょろまかしたもののようだ。

ファイはなんとかナイトクラブのドアマンの仕事を見つけて働いているが、ウィンはどこで暮らしているのか、ある晩ファイはウィンが白人の遊び人連中とつるんでいるのを見た。ウィンはそのグループで時々繁華街に現れた。


ウィンは、外階段で休憩中のファイに腕時計を渡し、これを金に換えろといった。ファイはそんなことしなかったが、数日後ウィンに時計を返せと言われた。きっと仲間から掠めとったのか。その後、返したのはいいが、結局ウィンは制裁にあったらしい。助けを求められたファイは手当てを受けさせ、自宅にとめて看病と世話をする。

両手が包帯巻きになったウィンのため、料理をつくって運び食べさせ、体を絞ったタオルで拭いてやる。かいがいしいファイ。ウィンは世話になっても尊大だけど、ファイは心の声で幸せだという。怪我が早く治らなければいいのにと願う。いじらしいなあ。

ベッドはマットが軋むシングルひとつなのでファイはソファに寝ている。ウィンがそこに来るが、狭くて折り重ならないと無理。そしてファイは断固拒否。

時々画面が白黒に変わるが、その区別(意味あい)をはかるのが難しかった。回想シーンというだけではなかったようなのだが。心の声で語る時?ちゃんと理解してなくてすみません。m(__)m
ファイはドアマンから中華レストランの厨房に転職し、調理しながらウィンを案じてしょっちゅうアパートに電話している。でも携帯とかはないので、(年代設定は1996年?確か冒頭の入国時のパスポートにハンコを押されていたが・・・)アパートの管理人経由でだ。厨房には台湾出身の、世界を放浪している青年チャンも働いている。まじめに働く彼に好感をもつファイ。
だんだん回復してきたある日、ウィンは戯れにファイにダンス(タンゴ)をコーチして一緒に踊る。遊び人的で洒脱なウィンに比べ、実直なファイはあまりうまくないらしい。この下は、部屋での練習風景。

そしてこの下は、共同キッチンでのダンス。やっぱり恋人たちだよね。愛情はまだあると思う。長年つきあっているカップルだっていうのがにじみ出ている感じがした。
元気になったウィンは出歩くようになった。休日にはファイと競馬にいくことも。
でもやっぱり二人は喧嘩し、とうとうファイは、ウィンのパスポートを隠した。大げんかの果てにウィンは出て行った。
チャンと酒を飲んで酔いつぶれたファイは(あまり強くないみたい)部屋まで送ってきてもらうが、ベッドに上裸のファイが寝てて、毛布を掛けたチャンが出ていく。あら?これ、何もなかったよね?
ファイは父にお詫びの手紙を書き、働いて旅費をためて帰国することにする。仕事も割がいいのか精肉加工所に変わった。(部屋自体が大きな冷蔵庫で牛の枝肉がぶら下がっている💦)仲良くなったチャンは、旅費がたまったのでこれから「世界の果て」アルゼンチン最南端の灯台にいくという。そこでは、哀しい思い出を捨てることができるといい、彼は音に敏感で、ファイさんは幸せでないと音で感じるという。そして古びたウォークマン(懐かしい!)を渡して、声でつらいことを吹き込んでくれれば、僕がそこで捨てるよと。

ファイは、何事か話し始めたが、ちゃんとした声・言葉にはならなかったようだ。少し涙ぐんだ。
お別れのとき、ファイは、しばしの間チャンをハグして別れと旅立ちを祝った。

ファイも、旅費がたまったのでブエノスアイレスを出た。ファイのいない部屋にやってきたウィンは、ライトをはじめほとんどのものが残っている部屋で、涙にむせんだ。失って初めて、大切なものが何かわかるんだよね。(´;ω;`)
いっぽうチャンは、ウシュアイアの町のエクレルール灯台にやってきた。

灯台に上ったチャンは、そこからウィンの嘆きを捨てようとするが、ウォークマンのスイッチを入れて聞いてみても何もちゃんと入っていないようだった。
帰国前にイグアスの滝にやってきたファイ。本当はここにはウィンと一緒にくるはずだったのに。ずっとたたずんで、びしょびしょに濡れるファイ。
そしてファイは、香港に帰る前に、チャンの実家だという台湾の食堂に立ち寄った。活気があり、にぎわっていて(日本人から見るとうるさい)、食事もおいしかった。
台湾は北京語で、香港は広東語だと思うけど。それくらいはお互いなんとかなるのかな?いい家族だ。チャンは帰る家があるから、放浪できるんだなと感じたファイ。

奥のトイレに立ったとき、ファイはチャンからのものらしい写真を見つけた。
そっと一枚抜き取って、ファイはつぶやく。ようやっとわかった、会いたいと思えばいつだって会えるんだ。
そして、香港にもどったのだった。
エンドロールの主要キャスト名。上から、レスリー・チャン、トニー・レオン、チャン・チェン。チャンくんはやはり台湾の人だそうだ。年齢順でもあるな。
何もちゃんと消化できてない、あらすじだけのレポートで失礼しました。
ストーリーはもっとぎゅっと詰められそうな気もするけど、そんなに長くない。やっぱり主演の俳優さんたちは存在感が凄い。引き込まれた。
映像も素晴らしい。音楽もちょっとやるせないアルゼンチンタンゴが要所要所で流れてきた。ブエノスアイレスの、そのライトアップされたオベリスクの場所も。(いったことないのでピンとは来ないが)
そしてこの原題がね、Happy Togetherなのよね。私なら覚えてる、懐メロポップのタイトルで、最後にその曲が流れてくる。ちょっと唐突なんだけど。1967年のタートルズのヒット曲だから、悪いけどリアルタイムで聞いてたのではないが。(-_-;)
ちょっと見には、一緒に居られて幸せ、みたいなラブラブソングに思えるが、実はその逆で、一緒にいたいという片思い、もしくは離れ離れの曲。
それは、ファイまたはウィンからの相手への想いなのだろうか。(え、ファイからチャン?(・。・;・・・そのほうが辻褄が合うかな。でもファイは、ウィンのことをウォークマンに吹き込んでないのでは?)
あいたいと思えばいつだって会えるのだ、って。・・・でもそれはリアルではないように思うけど、心がそれで満たされうるのかな?
ウォン監督は、ほかの映画でもそうだけど、結構ポップな曲を使用する印象がある。
今回はタイトルにもなったHappy Together。彼は私よりちょっとだけ年上なので、ほぼ同年代なんだけど、1967年に聞いてたのかなあ。当時香港は英の統治下で、
彼らも英語できるだろうし、そういう音楽事情もあったのかしら。