前のブログで、「未成年」のアフターストーリーまで入れて11年の歴史、前半はふたりの告白の歴史だと書いた。その後の二人は仲睦まじく、ほとんどずっと一緒にいたと思われる。

 

 

水無瀬は忙しくコンサル会社(上場企業かな?外資系かな?)で働き、蛭川は多分映画製作に関する会社に採用され、見習いのような立場から経験を重ねていったのだろう。水無瀬のお給料は高そうだし、福利厚生もしっかりしていそうだ。

 

 

ふたりは水無瀬が学生時代から借りていたワンルームマンションに同居して、蛭川はおそらく奨学金と車のローンを返済しながら、お互いのスケジュールを伝え合いすり合わせながら暮らしているのだろう。(共働きの夫婦と一緒ね(^^;))

 

 

 

 

高校生の頃、水無瀬と接点を持つ前の蛭川は、自宅に帰っても居場所がなく、毎日真っ暗な海に向き合っているような暮らしだった。これをやりたいというモチベーションがないから勉学にも身が入らず、トライしたかどうかはわからないが、真面目な部活の場所にも馴染めなかっただろう。自分の周りはみな生活の苦労がないお坊ちゃんお嬢ちゃんばかりに見えるだろうし(大概はそうだろう)、すっかり諦めた彼は、校内で煙草が見つかったからと教師にひっぱっていかれても、それが自分の仕業じゃなくても黙っているのだった。哀しいなあ。(銘柄が蛭川のものと違うことに水無瀬は気づいていたがこのときは言い出せず)

 

 

そんな蛭川だったが、水無瀬が関わってくれたことで、少しずつ気持ちが変わっていった。「水無瀬はやさしい」と蛭川は言っていたが、水無瀬はそれまで周囲に無関心ではあったけれど、いや母の教えもあり、危なそうな予感がするものには手を出さなかったけれど、実は優しくて正義感も強い子だった。「高天」の中で高良や田中たちは「クラスの一軍」と呼ばれていたが、水無瀬と「ねもしば」らは言ってみれば一軍で、蛭川にとってはキラキラして見えていたと、アフターストーリーで言っていたことは強ち嘘ではないだろう。人に手を差し伸べることにためらうのは、親や身近な人がそういうお手本を見せていないからで、また、兄弟がいなかったり年齢の違う子たちと遊ばなくなった今の社会の有様にもよると思う。

 

 

水無瀬と触れ合い、少しずつ別の世界に足を踏み出し始めた蛭川。好きな映画の話もできる(ここではまだ友達(^^;))。それにふとした衝動(によるキス)も拒絶されなかった。受け入れてもらったことで、固く縮こまっていた心がほぐれていく。

泉のように湧き上がってきた想いを注ぐと、静かに受けて返してくれ、抱き合うとぬくもりとともに、こちらからの思いもあちらからのも自分の殻の中に沁み入ってきた。

 

 

蛭川の心を動かし温めた水無瀬への想い。そのことを、アフターストーリー後編で海の夜明けに例えて訥々と仁(水無瀬)に打ち明けた蛭川の長台詞、まさに一世一代の恋の告白・・・はすでにしてるけど・・・「ずっと仁のそばにいる」とは、誓いの言葉、いわばプロポーズであった。仁でなくても(こちらも)涙うるうるだった。

(´;ω;`)ウッ…仁の返事は「ありがとう」。

 

 

仁からは5年前ごくごくシンプルに「結婚する?」と、「僕らはもっと幸せになっていい」という蛭川作の映画(原案は水無瀬)のセリフに応じるようにプロポーズがあって、「うん」という蛭川の答えもまたごくごくシンプルであった。(^^;)

思うに、この11年の彼らの歴史の後半は、水無瀬のプロポーズに始まり、蛭川のプロポーズで締めくくられているとも言えるのかな。

ずっと一緒にいたい、二人で幸せになりたいという願いは今もあの時も一緒だ。

 

 

♪縦の糸はあなた  横の糸は私

♪逢うべき糸に出逢えることを  人は幸せと呼びます  

と中島みゆきさんの歌にもある。

かつては交わることのなさそうな別別の海にいたのに、今向かい合って同じ海の中にいる二人は、きっと幸せなのだ。

 

 

あの日

 

今日