翌朝、目覚めたら、隣に晴喜がいなかった。また取り残されたと不安を覚えた仁だが、すぐに彼はレジ袋を下げて帰ってきた。「おきた?」


 

思わずだきついて、「勝手にいなくなるなよ。」と言うと少し驚いた晴喜。

「だって冷蔵庫に全然食物ないんだもん。」「何作るの?」

 

 

台所は結構しっかりした造作だ。狭いのはベッドだけ?(^^;)

 

 

「何でパンケーキ?」「ロケ地のホテルで朝食に出してくれてさ。うまかったんだ」

「案外優雅だな」「たまたまだよ。いつも朝はめちゃ早いし。」

 

 

できあがったパンケーキ、バナナ、ベーコンと目玉焼きも添えていて、美味しそう。晴喜、料理できる人なんだ。(実際は、本島君はできるけど、上村君はできないらしい)

 

 

「どう?」「うん、うまい!」「蜂蜜かけるともっとうまいぜ」「ほんとだ」と、仲睦まじい朝食風景。私も和むわ。(*^^*)そういえば、最終話で鶏のから揚げを一緒に

食べたとき、あれはアドリブだったそうだ。「今度本場に食いに行こうぜ。」「実家を本場って言ってるの?(笑)」

 

 

今日は根本と栞ちゃんの結婚を祝う会に二人で出かける日。晴喜には彼女から、仁には根本から連絡が入っていたが、二人ルームシェアしていることも言っていないのかな?出かけようとしたとき、晴喜が仁に「忘れ物」という。ちょっとだけ顔を見合って、仁は晴喜にキスをした。そしてお互いハグする。いつものお約束なの?お熱いことで。うちも新婚の時はキスしたけどね。(^^;)

 

 

 

 

またも、例のコリアンダイニングでの仲間内だけのお祝い会。晴喜は多分コーラを飲んでいるのだろう。

 

 

 

根本が「蛭川も映研だったとはね」、柴が「高校のとき、蛭川は凄く尖ってたんだぜ」と言うと、「意外」と栞ちゃん。晴喜は、「俺はお前たちと仲良くしたかったよ。」と言った。根本、「そうなの、なんで?」・・・何で、と聞くこともないような気がするが・・・。(;´∀`)

 

「俺、水無瀬に片思いしてたから。」ああそう持って行ったのか。仁の顔色をうかがう晴喜。

 

 

「え?」と固まる根本夫妻&柴。仁は無言。

 

 

仁が「その冗談、面白くない」というと、晴喜は、「水無瀬が凄く優秀だったから、ああなりたいなって憧れてたんだよ」とごまかし、「紛らわしい言い方するなよ」と周囲が笑った。

 

 

 
おひらきになって、結局仁と晴喜二人が同じ方向に帰るが、誰も気にしないみたいね。
 

 
駐車場にむかいながら、晴喜が怒ってるかどうかきくと、いや、誰も俺たちが付き合ってるなんて思わないだろうから、と仁。
 

 
「じゃあ何で不機嫌そうなの?」「羨ましくて。あんな風に周囲から祝福されて正式に結婚できることが」「俺たちも、全部打ち明けて結婚しようか」「いや、現実的に頭の痛くなるような問題が多すぎるよ。」「俺はいいけど」「・・・ごめん、俺は無理」
それはね、やっぱり人によって、立場もキャパも事情も違うから仕方ないよね。
晴喜はカミングアウトをせっつくことはしない。仁の考えを尊重している。
 
「じゃあ、ドライブしようか」「これから?」「行きたいところある?」「海」
割と即答でそう答えた仁。久しぶりのドライブデートになるね。「了解。花火まだ売ってるかな?」「花火?」
 

 

 

着いたころにはもう日が落ちていた。どこの海なんだろう?

 

 
どこかで買ってきた花火を始める二人。
 

 

 
晴喜が途中でやめて、話を始めた。・・・撮影終わりに、海に行ったことがあって、
 

 
星も月もなくて真っ暗で水平線もわからない、そんな怖いような海辺に何時間かいると、(なんでそんな寂しいところにずっといるの?自分から一人にならないでよ、晴喜(;´Д`))そのうちだんだん明るくなってきて、海がキラキラ✨して。そのとき、仁のことを思い出して。・・・どういうこと?・・・なんか、重なったんだよな。心が動く感じ、あったかい感じ。俺、その時思ったんだよな、俺、仁のこと愛してんだなって。
仁の瞳がみるみる潤んでいく。・・・結婚なんかできなくても、俺ずっと仁のそばにいるから。だから不安になる必要ないよ。・・・涙声で、仁は言った。「ありがとう」晴喜も目を潤ませて見つめるのだった。
 
 

 

 

 
きっと、賢くて慎重な仁はあれこれ考える性質なのだろう。《「晃は、考えすぎるから、不安になるんだよ。二人でいれば何も怖いものなんかないのに。」by西夕希from「Life 線上の僕ら」》それにしても本島君の涙顔は綺麗だ。
 
高校生で出会って、以来ずっとお互いだけを思い続けて来たふたり。その思いは、結婚という形をとらなくても、誰に認められても認められなくても、心の中でずっと温かく灯っていくだろう。そして共に手を携えて歩んでいけるだろう。
 
いつの間にか夜が明けた。車の助手席で眠っていた仁が目を覚ました。隣にまた晴喜はいない。
 

 
 
あたりを見回すと、晴喜は浜に一人立って海を見つめていた。
 
 
仁は自分の上着を脱いで、外に立っていて体が冷えたであろう晴喜にかけてやった。
 

 
言葉なく視線を交わす。でも、それだけで気持ちは通じ合っている。
 

 
 
晴喜が、いたずらっぽく笑って靴を脱ぐと海に入っていった。しぐさで促すも、仁ははじめは「無理~」と言っていたが、やがて自分も靴を脱いで海に入った。
 

 
「冷たー!」と言いながら、お互いにパシャパシャ海水を掛け合う。あの日、初めて一緒に朝を迎えた日、そうやって戯れたように。
 

 
日が昇ってきた。これからもっと明るく暖かく彼らを照らしてくれるだろう。

 

未成年 アフターストーリー end