完全にぬけていたのが、ディア・ファミリーだった💦

 

★ディア・ファミリー

 

何で忘れるかなあ。(^^;)

時は1973年。名古屋のゴム加工工場の社長(大泉洋)がアフリカから帰ってくる。販路を開拓しにいって、あちらの硬くてくるくるしたくせっ毛の女性たちに、うまく髪の毛をまとめられる日本の性能のいい髪ゴム紐を売りまくってきたのだ。そんな風に超・行動力のあるお父さんをお母さん(菅野美穂)はセーブしようとせず、むしろ背中を押すタイプ。その辺を見ると、「奇跡のリンゴ」で、完全無農薬自然栽培のリンゴ作りに挑んだ夫(阿部サダヲ)を、貧乏のどん底になっても支え続けた妻の役以来、可愛らしい見た目だけど肝っ玉母さんがはまる人なんだなと感心する。

この家には宝物の三人娘がいて、真ん中の娘(長じては福本莉子)は心臓の三尖弁に重大な欠陥があり、あと10年の命と言われていた。手術もできないといい、(今ならなんとかなるのでは?そのころは確かCTもなかった時代)この父は、娘を治したい一心で、各地の病院を訪ね歩いて、娘の心臓を治す方法を探し始めた。どこにいっても否定的なことを言われ、素人ながらものすごく心臓疾患の勉強をし(学生でもないのに東大の講義に潜り込んだりして(^^;))、いきついた答えは、人工心臓を作ることだった。(それは今でも実用化できるほどには完成していない)

これぞと選んだ病院に行き、心臓外科の教授や研究員たちに相談し、自分で費用を調達しながら試作品を作っていくが、工場の従業員にはそんな工場の行く末に危機感を抱いて辞めていくものもいた。(「永遠の昨日」に出てた生物のたまちゃん先生とか)凄い額のお金をつぎ込みながら研究をしていくお父さん。なんとか仕事をやりくりしながら支えるお母さん。工場ではゴム紐とかを作りながら、そのあとにお金をつぎ込んだ研究をしていくのだ。当の娘の佳美ちゃんは、時々具合が悪くなって入院したりしながら、必死の二人を案じていた。何かとかばってくれるしっかりもののお姉ちゃん(川栄李奈)に、いつも心配されるばかりの自分に甘えてくれる可愛い妹(新井美羽)。いい家族だ。

協力してくれる医師たちには、東大の満島真之介くんや、別の病院(光石研さんが教授役)の研究室の上杉柊平くんや徳永えりさん、そして古屋呂敏くん!もう、フライヤに名前が全然出てなかったから、見てびっくり、そして喜んだわよ~。(それにしてもなんで彼の名前が出てないのよ、プンスカ=3)松村北斗くんは同じ研究室でも別の分野を研究していたし、完成するのには無理があるとして早くも見切りをつけたけど。結局やはり人工心臓の作成には行き詰まり、医学界の厚い壁に行く手を阻まれ、信頼していた研究者たちもあちこちに分散することになって・・・それでも彼は研究をやめなかった。ひとえに愛する娘のために。

そして、緊急時に動脈内カテーテルで心臓血をパンピングする、そのカテーテルは当時(80年代終わりくらいかな)アメリカ製のものしかなくて日本人の体格に合わず、せっかく治療してもかえって事故で命を落とすことが多発していたので、そっちの製作に転換した。そしたらそのほうで助けになってくれたのが、その研究をしていた松村君だった。

余命短い娘のそばについていたほうがいいという意見もあったが、研究を続けていた父に、「私の命はもう大丈夫だから」研究して多くの人を助けてほしいという健気な佳美ちゃん。そうしてお父さんの完成させたカテーテルは、実際に実用に耐え、医師の使用感としても好評で、量産の道も拓け、多くの人の命を救った。(工場の存続にも寄与した)

そのカテーテルが完成したころ、かつて一緒に学んでいた医師たち(上杉君ら)は、たくさん製品を買ってくれたり海外から注文してくれたりして、応援してくれたのだった。ロビンくんがどこか(北海道?)の地方の病院の院長みたいな様子で登場して、「やっと坪井さんのお力になれます」と沢山カテーテルを注文してくれたが、ちょっと額が後退して貫禄のついた中年医師の様子で出て来て、あらぁ・・・(・_・;)と思った。上杉君の眼鏡をかけたインテリスタイルは、これまでの役柄にはなかったけど、よく似合っていた。

見る前までは、お涙頂戴な作品なら嫌だなと思って懸念していたけれど、それよりも「プロジェクトX」的なひたすら良いものを造ろうとする努力やプロセスの描写が多くて、それに家族愛が織り込まれていて、とても後味がよかった。ちなみに、実話です。お薦めできます。