この舞台はミュージカルではなくて、ストレートプレイなのだけど、油屋でお客様の神様たちをお迎えするときなどにスタッフが歌うとか、出演者が躍るとか、そういったシーンはいくつかある。
その中でもいいなと思ったのは、カオナシと、後で出てくるカンテラのダンスというかマイムというか、そんな動きだった。写真が悪くて申し訳ないけれど。
たとえばカオナシが舞台上に一人で登場したときのこのシーン。
マントのような衣裳も使っての動きで、孤独というか懊悩というか、悩まし気な心情が伝わってきた。そんなカオナシが、お客様と勘違いした千に庭に面したテラス窓のようなのを開けてもらって中に入っていく。早速新人いびりというか、汚い大浴槽の掃除をいいつけられた千とリン。薬湯で洗いたいというリンのお遣いで千は番台にいくが(千は今どきの子供なので番台を知らなかった(^^;))相手にされず薬札はもらえない。でもカオナシの技でいくつも薬札を手に入れた千。
彼女らが洗った浴槽には鼻が曲がりそうな悪臭を放つオクサレ様というヘドロの塊のような神様が入ることになった。「飯だぞ~」とリンが持ってきた山盛りご飯は、オクサレ様の臭気に当たったらいきなり腐ってしまった。白いご飯が急に緑っぽくなったのだが、あれはどうやったのかなあ。
オクサレ様のために高価な薬湯の足し湯をする千。(薬札はカオナシの計らいで十分持っている)釜爺がたっぷり流してくれた湯はドライアイスでの表現かな。
二階からなりゆきを見ている湯婆婆たち。千が、オクサレ様になにか棘のようなものが刺さっているといい、みなで引っ張って自転車が出てきた。そこでひらめいた湯婆婆は、この神様はオクサレ様ではないと気づき、従業員総出で神様に刺さったものを
引っ張り出す。湯婆婆なんて両手に金色の扇を持って音頭をとっている。いや、よくとおる声で迫力あったわ、朴璐美さん。彼女がソワレで湯婆婆をやるので、私はマチネじゃなくてソワレを選んだのだ。
そうしてすっかり綺麗になった自由になった川の神は、(能面の翁のもうちょっと不気味版だわ)「良き哉良き哉」と言って空に昇って行った。千になにか不思議な緑色の球を遺して。
途中で休憩がなんと25分もあり、その間映像としてははじめのように客席が映っていたのだった。(^^;)
一方、湯婆婆に仕事を言いつけられて出動していたハクは、おびたただしい数の紙製の鳥(式神)に追われ竜の姿で逃げてきた。二階にある千の女中部屋に飛び込んでくる。けがをしているらしく、心配する千。でもまた飛び去った、きっと行く先は湯婆婆の執務室だろう。(やっぱり棒で動かしている)
執務室に急いでいくと、傷ついたハクが横たわっていた。
湯婆婆は留守だったが、湯婆婆の双子の姉・銭婆が現れた。式神は銭婆がつけたものだという。湯婆婆がハクに泥棒をさせていたというのだ。そして、湯婆婆の最愛の息子の坊をネズミに、湯婆婆の顔をした監視鳥を小さなハエ鳥に変えて去った。
大きなハクは、リング状のボディが連なっていて、3分割になる。
釜爺のいる地下にいった二人。ハクは死にかかっていた。そこで千はハクに川の神からもらった球(苦玉)を半分に割って飲ませた。と、ハクは変わったものを吐き出し
た。銭婆の契約印と、それについていた変な虫。
こんなの、舞台の近くに座った人はいいけど、遠くの席の人には見えるのかなあ?オペラグラス必携だなあ。龍から人の姿になったハクは、弱いがちゃんと息をしていた。
釜爺は、ハクは千のようにある日ひょっこりここにやってきたのだという。帰るところがなくなったから、湯婆婆の魔法の弟子になりたいといって。そうして湯婆婆に使われているうちに目がきつくなったと。ハクを治すため、銭婆の契約印をハクに代わって返しに行くという千に、釜爺は40年前の電車の切符をくれた。でも行きの電車はあるけど帰りの電車はないのだという。千は、帰りは線路を歩いてくるからいい、とハクを釜爺とリンに託して出かける。「いいか、6つ目の駅だぞ」、と腕のうち2本の手指で6を示す釜爺。
そして、「愛だね」と💕をつくってみせる。
リンが、お前がカオナシという化け物を油屋に引き入れたと湯婆婆がカンカンに怒っていると告げたので、千は湯婆婆のところに行く。ちゃんと責任を取ろうとする千、成長が著しい。
カオナシは金塊をばらまいて御大尽遊びをし、金に群がった従業員と蛙男を飲み込んでいた。ふだん「あ・・・」としかしゃべられないカオナシだが蛙男を飲み込んだら蛙男の声でしゃべられるようになっていた。千にも金をあげようとしたが要らないと断られていらつき、暴れていたが、千が両親にあげようと半分残していた苦玉を飲ませたら、三人を吐き出して、肥大化していたのが元に戻った。
千はリンのたらい船で、駅のある向こう岸まで送ってもらった。カオナシが背泳ぎでついてきて、リンは追い払おうとするが、千はそれを止め、「あの人はここにいない方がいいんだよ」という。カオナシは自我がなくて、そのため周りの環境に左右され、欲望のるつぼみたいな油屋にいるとそういう人格になってしまうのだろう。それに気づく千は素晴らしい。
原作アニメだと、なぜか私は水の中の電車で行くこの銭婆の家までのシーンが凄く好きなんだなあ。「行き」しかない電車の旅なんて、つまりあの世またはその途中まで行くということなんだろうけど。ほかの乗客も車掌さんもみんな黒っぽく影のようだ。
一方油屋ではカオナシの出した金を拾い集めて湯婆婆に差し出していた。蛙男は、ずっとこうやって蛙の人形を、かがんだ「おばたのお兄さん」が動かしながらセリフを言っていたのだ。彼は身体能力が高いけど、きっと大変だったろう。
そこに回復したハクがきて、「まだわかりませんか、大切なものがすり替えられたのに」と言ったので探すと、最愛の「坊」がいなかった。金塊も土くれにかわった。半狂乱の魔女はこんなふうにあの濃い顔が巨大化する。おお、こわ💦。「坊はどこ!?」「銭婆のところです。」
ハクは、連れ戻してくるから、そのかわりに千尋の両親をもとに戻してやってくれという。(舞台は回り舞台で、場面が転換するとき回転する)
千たちは6つ目「沼の底」駅で降り、暗い中を歩いていく。原作では街灯がぴょんぴょん1本脚で跳んで現れて道案内をする。あの場面も好き。やっぱり人間が古い私はノスタルジーを感じるからかもしれない。(トトロの雨の夜のバス停シーンもよーくわかる。)ここでは、千の一行に会う前に、ソロで舞台でダンスを披露したカンテラさんが素敵だった。
カンテラの道案内でついた銭婆邸は、案外質素な家だった。千の訪問にあまり驚いた様子もなく(まあそうだろうね、情報はいろんなところから入って来るのだろう)お茶とお菓子をふるまってくれ、魔女の契約印を返すと、それを悪用することなど微塵も思いつかない千に少し驚き、印についていたものは私が踏みつぶしたというと、高笑いした。あれは妹(湯婆婆)が龍を操るために腹の中に仕込んでいたものだという。
ハクが心配だからと帰ろうとする千に、みんなで紡いだ糸で作った髪留めをはなむけにくれた。
ちゃんと糸車を動かしているのがまた忠実だなあ。グリム童話の世界みたい。帰りの電車はないが、ちょうどハクが迎えに来た。カオナシは銭婆の家に残った。ハク、生きてたのね。良かった!💕by 千尋。
ハクに乗って空を行くときは、実はこんなふうに肩車。アンサンブルさん力持ち。ハエ鳥と坊ネズミもいる。
ここで、千尋が昔近所の川におぼれたとき(推定4歳、ママに聞いた話)のことを語り始めた。その川の名は、琥珀川。今は埋め立てられてマンションが建ってしまった。ハクは、やっと自分の本当の名前を思い出す。「饒速水(にぎはやみ)琥珀主」だと。落とした靴を拾おうとしてハクの中に落ちた千尋をハクが岸まで押し上げて助けたのだった。名前を思い出したハクは龍の姿から人の姿になって(龍の後ろにスタンバっていた)、千尋と手をつないで空を飛んでくる。おでここっつんがいいねえ。(^▽^)結構私が好きな愛情表現の形だわ。(「見る」場合ね💦)
湯婆婆は「千は逃げた」というが、従業員はみんな千とハクが帰って来るのを待っていた。みんなで歓声を上げ出迎える。
無事、豚の中から両親を見つけ・・・というか、この中に両親はいないと見破って、ともに現実世界に帰ることができたのだった。
そしてフィナーレ。おばたのお兄さん、ネタの「まーきの」が入ってるかな(;^ω^)。
今日のカオナシはこのかたでした。中川賢さん。
これだけの人数であれだけやっちゃうの凄い。
演奏はなんと生だった。オーケストラピットではなく、油屋の二階に楽団席があった。
皆さん本当にお疲れ様、いいステージを見せてくださってありがとうございました。
おばたのお兄さんは、これからロンドン公演にいくとXに書いていたっけ。
休憩時間が長かったので、まんまと乗せられて、グッズを買ってしまった。でも考えたら、もっと早くに買っておかなかったから、既に売り切れたものもあったんだろうなあと気づいた。ああもういいや、考えないようにしよう。(-_-;)そしてこれが買ったもの。新キャストも含めたパンフ本と、カオナシピンズ(hitaru版)とマルチケース。ほとんど商品説明がなかったけど、ちょうどケースの大きさが私のPCサイズだったので、きっとクッション性の材料だろうと思って購入。そのとおりだった。




















































