多分2022年に初舞台化だったと思われる、ジブリの名作「千と千尋の神隠し」。
いつもどおり写真が良くないのには文字通り目をつぶってください。
これがhitaruのステージ。前方が弧を描いている。まだ全員着席していない模様。注意事項のアナウンスが流れている。ユーモアがあって、これは俳優さんがしゃべっているんじゃないかな。
舞台の進行やセリフは、ほとんどアニメ映画の原作そのままだった。つまり忠実にリスペクトして、アニメほどのダイナミックな表現ができないところは装置や演出を工夫しながら再現しているという感じだろうか。
幕の上に投射されたと思しき壁。引っ越しのために新居にむかっていたはずが、こんなところに迷い込んでしまった。そのアーチ型の門から風がくるので、あっちに抜けられるだろうと両親が入っていく、千尋は嫌だがしかたないので自分も入っていく。今回の千尋は新キャスト・福地桃子ちゃん。一番おなじみなのは、朝ドラ「なつぞら」の柴田夕見子役か。ハクは醍醐くんで、お父さんは堀部圭亮さんだけど、油屋の幹部従業員もやっている。お母さんは華優希さんで、従業員リン役も兼ねる。
その後、ご存じの通り両親が、後でお金を払えばいいだろうと言って、無人のお店の食べ物を勝手に食べてしまい、それが神様用の食事だったから、罰として豚に変えられてしまう。知らない場所でそんなことになって困惑する千尋を見つけてかばうのがハク。
千尋の体はだんだん消えていくのだが、その表現は、紗の布で千尋を覆うことで表現していた。そういう助けを、黒子ではなくてベージュ色の制服を着たアンサンブルの人たちが全部行っていた。湯屋組と油屋組というふたつのアンサンブルチームがあって、湯屋組はこの舞台の経験者、油屋組は新メンバーから構成され、湯屋組が油屋組に教えるという手法をとったらしい。そしてロンドン公演が日本公演より少し遅れて8月下旬まで行われているので、湯屋チームはあちらに行きっぱなしだそうだ。(キャストは日本から行ったり戻ったりしているが)ハクがこの世界の食べ物を千尋に与えたことで、千尋は消えてしまわずに戻った。
下は、あの「そなたの内なる風と水の名において、解き放て!」のシーン。
お料理配信番組「NUT'S LIVE」にあっちゃんが出たときに、あっちゃんがキッチンスタジオの流しでそれやってた。(^-^;おかげであっちゃんのセリフがひとつ、その声できけた。ラッキー。醍醐くんもよかった。全身びっしりハクとして定まっている感じ。
油屋は神様のために癒しを提供する温泉施設。奇妙というか、ユーモラスな見た目の神様たちが大勢くるが、中にちょっと異質なものも混じっていた。(*´艸`*)油屋スタッフは、人間の匂いがすると警戒しはじめた。
ハクはなぜか千尋の名前を知っていた。自分の本当の名前は忘れてしまったのに。そして、千尋をここから出してあげようとするが千尋が橋を渡る間呼吸を止めきれなかったので失敗した。それで、釜爺のところへ行って、ここで働かせてくださいと頼みなさいと教える。まわりに何やらカリフラワーのお化けのような人たちがいるが(💦)、彼らは植込みの花で、ここが庭だと表している。
そして階段やら梯子やらを通って地下の釜爺のところにたどりついた千尋。釜爺はこの日、宮崎吐夢さん。ドラマ「シジュウカラ」では全く嫌なオヤジを演じていたっけ。たくさんの腕はこんな風にアンサンブルの人たちが動かしている。
マックロクロスケじゃなくてススワタリでいいんだっけ?彼らも、棒をつかって動かしている。なんだかレトロというかノスタルジックというか、わかりやすくていいなあ。彼らは燃料の石炭(?)をえっちらおっちら運んでくべている。可愛い。
釜爺は優しくて、たまたまそこへ来たリンをイモリの黒焼きで懐柔して、千尋の面倒をみさせる。エレベーターで最上階の湯婆婆の執務室に行く途中、おしらさま(大根の神様?(;'∀'))が千尋を隠してくれた。その後ろやエレベーターの扉も、アンサンブルの人が持って動いている。廊下を走る時も板(壁のつもり)を動かして、通路を表現するし、花だの飾りの大壺だのに扮するし、本当にアンサンブルの人たちはすごい働きようだ。
湯婆婆に無事雇ってもらえることになり(ここでは働かないものは消えてしまう)、千という名前を与えられて、リンと同じく下働きの見習いになった千尋。女中部屋を抜け出して、ハクに両親のもとへ会いにつれて行ってもらったが、豚たちは満腹でねていて千尋の声は届かない。
すっかりしゅんとした千尋にハクは自分の名前は忘れないように、着てきた服も隠してしまっておくようにという。両親を助け出して帰るために。湯婆婆は名前を奪って支配するから。私も自分の名前を忘れてしまったので戻れないと。なのになぜか千尋のことは覚えている。
醍醐君の目力がいいね。多分演出のジョン・ケアードは、東アジア人のアーモンドアイがエキゾチックな感じがして好きなんじゃないかな。あっちゃんも三浦宏規くんもだけど、ちょっと中性的で神秘的。ハクはすごく長く生きているけど、少年のような見た目をしている神様だからね。もちろん千尋はまだそれを知らないけど。そして、自分で作ったおにぎりを千尋に「おなかすいてるだろう、お食べ」とくれるのだ。いいシーンだなあ。
始めは食欲がないといった千尋だけど、千尋の元気が出るように思いをこめてつくったんだよ、と言われ、わんわん泣きながらばくばくとおにぎりを食べる。ここは何度見ても、こんな状況に陥ったたった10歳の千尋が可哀そうでほろっとする。
それにしても醍醐君と千尋の背丈の差はしっくりくるなあ。これがあっちゃんだと(多分三浦君でも)、多分千尋の頭はあっちゃんの首のあたりだろう。
(続く)