心にもないことを言ってしまいがちな宮田君。(・_・;)それもこれも、実は先輩が好きすぎて余裕がないからだと思うんだけど。(本人自覚不足よね(-_-;)

 

先回の終わりに、先輩が実家に帰るようプレッシャーをかけられていることと、自分は先輩の妹のレナさんに「兄を愛しているんですよね?」ときかれ即答できなかったことで、つい「俺たちもう別れたほうがいいんですかね?」なんて気弱なことを言ってしまった。「そうだね、少し距離をおこうか」なんて、まさか先輩の口からきこうとは思ってもみなかった宮田。いつも愛される側の人は脇が甘いなあ。💦羨ましいぞ。(-_-;)まあ先輩が彼と別れようと思っているとは考えられないけど。

 

岩永先生には、副編集長の仕事に専念してほしいから担当を代えて、なんて言う申し出を花籠とともに送られてるし。連絡が来ないし。むしろ仕事に集中できない宮田は、こらえきれずにもらった合鍵を持って岩永宅に突入するが、寂しくも留守だった。そこへ助手の白石君からのメール。しばらく休載にしてほしいという内容で、大学の研究室を訪ねた。白石君は、「先生と宮田さん、別れたんですよね?」と。焦って「先輩がそういったんですか?」ときくと、それは「図星ですか」とブラフだった。「まだ、別れたわけでは・・・。」歯切れが悪い。

 

 
 
僕、先生の顔見てると気持ちがわかっちゃうんですよね。・・・俺には全くわからない。
愛情が足りないんじゃないですか。先生は家庭の事情で山梨に帰られてます。・・・やっぱり。
言わないでっていわれたんですけど、その顔が言って欲しいって言っているように思えて。
・・・ほんとによくわかるんだな。羨ましいよ。
先生が好きでずっと見てたから。でも今は、尊敬だけです。先生はあなたのことしか見ていないから。

 

「ありがとう。」素直にそう言えた宮田。白石君もやっと諦めようと言う気持ちになったらしい。気の毒だけど。だって、好きだから好きな人の望むようにしてあげたいものね。
 
さて、星澤の実家。立派な和風建築で、お庭も広い。名家だとわかる佇まい。お母さんと向き合って話す岩永(旧姓星澤)崇。あなたを養子に出したのは、悪かったと思ってる。でも、あのときは仕方がなかったの。どうしたらいいかわからなかった。
 
 
結局お母さんは、世間体を選んだんだよ。僕が男性が好きだと言ってから明らかによそよそしくなって、そのことは絶対隠せと。それで僕は、本音をひた隠しにして生きる術を学びました。ある意味感謝してるんです。おかげで人に好かれている。でもいまさら家を継げだなんて。
崇のいつも一歩引いた感じの、一見大人の余裕のようなふるまいは、感情のままに行動することにセーブをかけ続けていたから。(その割には宮田に対しては結構まっすぐだわね(^^))だけど崇のその話を聞くお母さんは辛そうだ。
 
崇が別の部屋にいると、椙本が現れた(ずっと離れて親子のやりとりを見守っていたけど)。「この部屋に入るの何年振り?」「恭介さん。よくここで一緒に遊んだね」「とよこさんも大変なんでしょう、お父様が亡くなって、いっきに家業と家長とを任されて。厳しくしないとやっていけなかったんだろうな。」それはそうだろうね。「随分母の肩をもちますね」「だって、僕もここ(星澤)の人間だもん」「宮田君に賭けのことを教えたのは恭介さんですよね」
 
 
14年前のあの日、家を出ようとしていた崇の前に現れた椙本。恭介さんにだけは言っておこうと思う、と駆け落ちのことを打ち明けたが、彼は、「宮田君、来るかな?」と謎めいたことを言う。「賭けをしようか。僕は彼が来るほうに賭けるよ、期待をこめて。」そんな賭け、受けなくてもいいと思うけど、崇は来ないほうに賭けた。そして宮田は来なかった。
宮田君の気持ちを賭けでもてあそんだのは僕も同じ。来ないほうに賭けたのは、自分が傷つきたくなかったから。恭介さんがあの写真を送らなくても、僕たちはきっとうまくいかなかった。これでよかったんだ。そういう崇の目には諦観が漂っている。
 
そのころ、宮田はふるさとに戻り、あの橋を渡っていた。何故あの時、写真のことを尋ねなかったのだろう。何故先輩のことを信じられなかったのだろう。岸辺には、昔先輩と腰かけて語り合った懐かしい場所があって、ありありと思い出される。「本当に一人になりたいとき、ここに来るんだ。」「いいんですか、そんな場所、教えちゃって?」「いいんだ」とほほ笑んだ先輩。
 
 
いつもさらっとなんでもこなす先輩がここで一人で泣いているところを、一度だけ見たことがある。きっと誰にも弱いところを見せることができないんだ、今もきっとそうだ。
 

 

と、宮田の携帯が鳴った。椙本からで、話したいことがあると言う。ちょうど今から先輩の実家を訪ねるところです。それは崇のことを思うならやめておいたほうがいいと思うよ。何故ですか?部外者だから?でも俺にも原因がありますよね。

崇は君のことが好きだから、連れ戻されても養子に出されても君の名前は一切口に出さなかった。君を守りたかったんだよ。

でももう俺も子供じゃないんで、行きます。それを聞いて安心した、と椙本。その口元に笑みが見える。

先輩の気持ちは心にじんわり沁みるが、いつも自分一人で抱え込もうとするんだから、と、決意してつかつか歩いていく宮田。

 

一方崇は、母に、自分で選んだ今の仕事が好きだし、愛する人がいるから家は継げないときっぱり告げていた。「愛する人って、まさか。」

家の門のところで椙本が待ってくれていた。庭にまわって、今崇を呼んでくるからと言われたが、呼びとめた。「椙本さんは、先輩のことが好きだったんですか?」おお、よく訊いたぞ、宮田君。怖いから訊けない、ってこともあるよね(私無理かも(-_-;))「それ、今訊く?」「確かめておきたくて」。「そうだよ」と笑った椙本。

 

 

でも、もともと親戚だし。今となっては本当に恋だったのかはわからない。写真のことは、すまなかった。崇は本気でかけおちするつもりだった。ずっと後悔してたと思うよ、宮田君を傷つけたこと。知らないけど。(^-^;いや君の気持ちはわかるよ。

立派なお家だと、半地下に蔵もあるんだね。そこで書籍を見ていた崇のもとへ、宮田が現れた。「どうして!?」会いに来ました。・・母に見つかったら何を言われるか。覚悟してます、もっと早くに来るべきだった、お母様と話をさせてください。俺、もう部外者は嫌ですから。先輩、お願いします。

 

 

 

宮田は、崇と並んで母の前に座り、きちんと挨拶をした。(「4月の東京は・・」での和真と蓮を思い出す(・_・;))今東京で仕事していて、偶然先輩と再会してから、仕事でもプライベートでもお付き合いしていること、14年前は衝動に任せて行動して、家族を引き裂くようなことになってすみませんでした、と。でも今は大人として責任をもってともにいることができるようになったと。当然お母さんの気は済まない。おかげでうちの家族がバラバラになったんです。

崇は言う。お母さん、僕は宮田君と一緒にいたい。あなたが、この家から離れる自由をくれたんだ。これからは二人で生きていきます。

お母さんは、二人の顔を見比べた。崇の表情がいいなあ、どんなことでも乗り越えられそうな愛を感じる。宮田は、まっすぐ真剣にお母さんを見つめ返す。「家を継ぐ気がないことも、あなたたちの気持ちもわかりました。好きになさい」

門のところで、見送りに来た椙本に、またお母さんと話をしにきます、と崇。そのときは俺も横にいます、と宮田。微笑んだ椙本は、宮田の肩を叩いて、「崇をよろしく」と。

前に「俺は崇の本当の幸せを・・・」と呟きかけた椙本だった。その続きは、「壊したのだろうか」だったのか、「かなえてやりたい」だったのか、「守りたかった」だったのか、いずれにせよ、椙本はどんな種類かはさておき崇が好きだし、宮田の事も認めてくれたようだ。良かった。

 

 

 
あのときの岸辺で寝転がる二人。一人になりたかったときに来る場所が、二人だけの思い出の場所になった。
「先輩」「うん?」「俺、ずっと先輩のそばにいますからね。愛してます」
 

 

「何でもさらっとこなすかっこいい先輩が好きでした。でも、弱いところも、かっこ悪いところも、先輩の全部を見せてください。高校の時、いつもちょっと寂しそうな先輩を見て、この人のことを守ってあげたいと思ってた、あのころから好きだったんです。」と自分からキス。💋

 

「ねえ宮田君、このままどこか遠くまで行っちゃおうか。」「東京に戻るだけですよね」

 
「全くきみは・・・」という崇の肩によりかかる宮田。あまーい。(;´∀`)

 
 

 
これが夕陽に浮かぶシルエットの美しいキス。永遠の愛を誓っているようだ。
 
 
冬の日はとっぷりと暮れ、あの日駆け落ち未遂で崇がずっと待ちぼうけしていた駅に今は
二人。

 
「ついていきますよ、先輩。どこまでも」そう言い切る宮田の表情が美しい。
 
 

 
 

 
今度こそ、二人一緒に列車に乗り込むことができるんだね。もうずっとこのまま、二人一緒の道行きを。
 

 

やっと、やっと、宮田が自分の本心に気づいて確信して、大人としての責任をもって自ら発信していくことができた、それが最終回。ああ、長い迷いの道のりだった。(;´Д`)

 

若い時は、経験不足からくる考えの足りなさに対して、熱情と衝動性が強すぎて、もし二人でかけおちしたとしてもうまくいかなかった可能性は高い。それによってお互いを好きという気持ちまで冷えてしまったら、悲しいことになっていただろう。でも、今運命ともいえる再会をして、再び確かめ合った愛は、やはり「二度目が上等」なんだろうね。もちろん「三度めはない」と思うけど。(^^;)(お母さん、養子に出してくれてありがとう?椙本さん、白石君もありがとう)

 

このお話は、宮田が気づきを得て成長するお話だったのかな。対等じゃなきゃヤダ、って、でも君は寂しげな先輩のことを守ってあげたかったんでしょう?大丈夫だよ。そのときそのときで補い合えればいいんだよ。

ロマンチストの先輩と、リアリストの宮田は良いコンビかも。(何よりビジュアルが眼福❤)(ついでにカラリングだけど、先輩はメインがブラウンで、色白の宮田君は白やアイボリーにブルーやオレンジの効かせ色がよかったかな。マフラーの巻き方も、それぞれ高校生の時と同じだったわね)

いろいろと譲ってくれた人たちのためにも、お互いに助け合ってずっと仲良く幸せに暮らしていってほしいわね。

 

(個人的感想は紫色にしました)